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元気な亀さん物語<幼児から高齢者までー共生ケアの源流>瀧本信吉 著

2008-08-31 23:37:10

何かに強烈に共感したり感動することを、「雷に打たれたよう」と表現しますが、まさにこの本は“雷様”です。いえ、本が雷様なのではなく、日本に民間福祉が根付いていない頃、その必要性を感じた夫婦が、制度に頼らず二人三脚で真の地域福祉を求めて歩いた・・・この夫婦こそが“雷様”なのです。

福祉や教育や医療の場にありがちな修飾語はいっさいない。今、目の前で自分の手を必要としている人がいたら、その人が高齢者であれ赤ちゃんであれ障害者であれ、ひたすらその人の手をつかみ、ともに生きようとしてきた夫婦。

この本は、夫の瀧本信吉さんが、施設を作ろうと思われたきっかけから、ひたすら手を差し伸べているうちに、次々と必要な施設やグループを立ち上げることになった顛末、そして、そこに集まってこられたたくさんの人々のことを書いたものです。
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底抜けに慈愛深く、天真爛漫にやるべきことをやっていかれる根底には、欺瞞や狡さを毅然として拒否する純粋な強さと、人を救うにはお金がいる、そのお金を作る算段を駆使して厳しい現実を乗り越える才覚があり、読み物としても痛快無比で、かつ読後に生き方の伝授をしてもらったような充足感を覚えます。
瀧本さんの壮絶と言っていいだろう生い立ちも書かれており、この人の、悲しみを持つ人によせる友愛心の源を感じ、静かな感動にも満たされました。

リポーターの独言
先にイデオロギーや理念があって、それに添うものを善しとする活動や指導者の多い中に、かならず、この亀さん夫婦のような、溺れかけている人、人の手の必要な人がいたら、後先考えず手を差し伸べる行動の慈愛の人はいるものなんだなぁと、清清しい気持ちで感動しています。
マザー・テレサしかり、宮城まり子さんしかり、藤田迪子さんしかりです。
この人たちに共通しているのは、目の前の助けの必要な人に対してはいっさいの計算やかけひきなく、ただただ必死に手を伸ばされることです。マザー・テレサと宮城まり子さんは知ってるけど、藤田迪子さんて誰? と思う方がいるかもしれませんね。誰あろう、この人は、人間に捨てられ、飢えと寂しさで泣き叫んだり、弱っている動物(特に犬や猫)に出会ったら、一匹たりとも見捨てることなく掬い上げ抱きしめ、懸命に守ってきた人です。

福祉の世界には、元気な亀さんあり! なんと素晴らしいことでしょう。
この本を下さった、紙芝居作家で演者の井出裕子さんに、心から感謝します。ありがとうございました。

(佐々木和恵)

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