代表の今野さんは、かって喫茶店を経営していました。その時、いろいろな人と出会い、親しく話すようになっていましたが、一人暮らしの高齢者の方や障がい者の方の姿を見かけなくなると気になって仕方がなかったそうです。『よく見かけていたおばあさんの姿を最近見ないけれどどうしたんだろう?』『コーヒーを飲みに来てくれていた身体の不自由なAさん、具合がわるいのではないかしら、食事などは大丈夫だろうか』と。
NPO法人 チェリー館の誕生
そして次第に、高齢者や障がいを持ってる人に、自分のできることをして役立ちたいと思う気持ちが強くなっていきました。すると今度は、「自分にできることって何だろう?」と考えるようになりました。行き着いたのが、『自分にできることは、食事作りだ!』でした。
「お料理が得意なんですね」
「ううん、得意というんじゃないの。食べることが好きなのよ。ハハハ」
思いつくとすぐに行動に移すのが今野さん。2002年から高齢者の人、心身に障害を持つ人への配食サービスを開始しました。
「その時お仲間は何人ぐらいいらしたんですか?」
「私ひとりだけ。最初は誰もいなかったの。一人で注文をきき、お弁当を作り、配達していった。そうやっていたら、知人が、“そういう活動ならNPO法人にしてやるといい”と教えてくれて、そこから、『高齢者、障害者の方に安く美味しいお弁当を届けたいので、一緒にやる人いませんか?』と仲間を募ったんです。通常なら、最初に仲間がいて、何かやっていて、それをNPOにしていくんでしょ。私の場合、逆だったの。ハハハ」
こうして2003年10月に、「NPO法人 チェリー館」が生まれました。
活動
現在、20名のスタッフで、ひたちなか市からの委託を受け、一日にだいたい180人分のお弁当を作り配達しています。アレルギーや腎臓に問題があるなどの申し出があると、勉強をして特別食を用意しているそうです。
お弁当を配送した時、『待ってくれている高齢者、障がいのある方と必ず3分間は会話を交わす』ことを決めているそうです。“3分なんてちょっとじゃない“と思う方がいるかも知れませんが、この3分は、20人のお宅に配送すると、1時間余分に時間がかかるということになるのです。なかなか貴重な3分です。でも今野さんたちは、待ってくれている人のために、この3分を惜しみません。必ず笑顔で会話をします。
「身体の調子はいかがですか」「元気ですか」と訊ねるだけで明るさが漂うといいます。
スタッフ紹介
そうした心遣いをもって調理や配送の仕事を担当しているスタッフの方々の声をご紹介しましょう。

後列向かって右が代表の今野さん。左は大塚さん。前列右、佐藤さん。左は山口さん。(写真をクリックして下さい)
調理を担当している佐藤良子さんは、「近所なので参加しました。食事は、お年寄りなので、細かくする、柔らかくするなど工夫をしています。卵はだめなどのアレルギーの人もいて、とても神経を使いますが、“美味しかった”と喜ばれると、苦労も吹き飛びます」。
山口千恵子さんは、「週二回、来ています。これまで社会に出て働いたことがないので、全てが勉強になります。自己流だったお料理の仕方を、先輩が、“こうやるといいよ”と教えてくれるなど、とても自分にとってもいいです。親ほど年齢の方もいて、いろいろ教えられます」。
大塚道子さんは、71歳だそうですが、とてもそうは見えません。「私はこの有償ボランティアで生活をしているので、大変なんですけど、でも、お年寄りの方の家にお弁当を配達し、少し話していくんですが、その時の一人暮らしのお年寄りの方の、私を待っていてくれた、という感じを受けると、自分の苦境は忘れられる。人の役に立てる、ということは本当に生きがいになる」。