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老人介護 常識の誤り  三好春樹著

2007-01-14 15:10:12

詩人の谷川俊太郎さんが、本の帯に、この著者を、『(略)現場で工夫し行動し発信するトリックスターだ、そしてなによりも老人と介護者の真の味方だ。』と絶賛していらっしゃいます。
これを見て、手に取らない介護者などあまりいないでしょう。何たって介護者は頼りになる味方が欲しいのですから・・・。


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序章で、介護の時代と言われるようになった現在、介護の専門職を養成する学校が続々と新設され、ケアマネージャーの試験には、看護士や理学療養士、医師までが受験に殺到した、どうしてこんなに介護が注目され、介護に関わる人が必要とされるようになったのか? と問い、医師、看護士を中心とした医療・看護の専門家によっては、現代の老人と家族が抱えている問題を解決できなかった、と答えています。

これだけではなく、この本は、これまで医療の専門職が、寝たきりと呆けを作り上げてきた、そして医療の発達が、<元気>と<病気>の間の人を増やしてきた、とかなりシビアな現実論を展開しています。

こうした医療と介護の実状をふまえ、1章で介護の定義のこと、2章、3章で寝たきりの原因、痴呆の原因を探っています。
4章、5章、6章で、介護という生活を主体にする、という意識の転換を主張しています。

意識の転換、発想の転換は、全体を通して、この本の中心になるものでもあります。
例えば、2章の中で、寝たきりの人を、建前で作る、というものがあります。どういうことかというと、寝たきりになればいろいろなサービスが受けられるが、不自由な手足であっても、頑張って歩いていると、殆ど援助が受けられないのです。そこで優秀な保健婦さんや訪問看護士は、”寝たきり”を作るのです。
これを、三好先生は、「えらい!」と褒めます。「これが制度の不備を埋める知恵」と。
まさに、介護者の味方、ですね!

また、高齢者の排泄のさせ方をことこまかに書いておられる章があるのですが、内容そのものは、ある程度介護の経験のある者なら誰でもわかっていることですが、書き方がユニークなんですね。介護者と一緒に走っているような臨場感を湛えているんです。だから読んでいて、自分ひとりが頑張っているのではなくて、こうして一緒に頑張ってくれる人がいる、という気にさせられるのです。そう、谷川さんが、『トリックスター』と評されるのはここでしょう。
鳥取赤十字病院内科医 徳永進医師のコメント
介護保険という言葉がうねりとなって全土をおおっている。政治もビジネスも医療や福祉もそのもとで奔走している。

この本は、そういううねりの真ん中に打ち込まれた温かさのある杭である。
老いは病気か、呆けは病気か、片麻痺は病気なのかという問いが全体に流れている。
近代医療が敗北した「ねたきり」や「床ずれ」や「呆け」を「生活障害」「関係障害」としてとらえ、ベッド、移動バー、お風呂、トイレ、遊び等を工夫していく技術と思いは、今までにない新しい哲学の展開と言えるだろう。

新鮮な感動で一部の専門職の人たちに受け入れられた著者の世界が、ここで一般の人たちに投げかけられた。読むと、読者も変わるが、日本人の老いそのものが変わる、と思う。

著者紹介
1950年、広島県呉市生まれ。’74年から特別養護老人ホームに生活指導員として勤務。その後、九州リハビリ大学校へ入学。卒業後、再び特別養護老人ホームでPTとして老人のリハビリテーションに従事。
’85年退職し、「生活とリハビリ研究所」を主宰。各地の通所訓練や在宅訪問に関与しながら、全国で「生活とリハビリ講座」を開催。年間動員数は5万人にものぼる。個人編集の生活リハビリの情報誌「Bricolage(ブリコラージュ)」を発行している。主な著書は、『介護覚え書』(医学書院)、『専門バカにつける薬』『老いの見方、感じ方』(筒井書房)、『生活リハビリ講座シリーズ』(雲母書房)、『じいさん・ばあさんの愛しかた』(法研)など多数。

老人介護 常識の誤り
発行:2000年2月20日
9刷:2004年6月10日
発行者:佐藤隆信
発行所:株式会社新潮社

リポーターの独言
この本は、夫の兄が送ってくれたものです。兄は医学博士で長い間大学で教鞭をとってきた人ですが、現在、いくつかの介護専門学校で講師を務めています。医学畑の兄にとったら、三好先生の医療界への厳しい批判の視点は受け入れがたいものではないかと思うのですが、その兄が薦めてくれたこの一冊、それだけの説得力のあるものなのでしょう。
私自身は、時に吹き出しながら面白く読みました。元気になる一冊、です。介護に疲れた方にお薦めです。発想の転換をして、自分を追い詰めないでいられるようになりますよ。

(佐々木和恵)

この記事のURLコメント(8)

Posted by 佐々木和恵 at 2007-03-28 09:57:07

miyataさん、ようこそ! こちらに来ていただいて嬉しい限りです。
miyataさんにこのように言わせる三好春樹さんは凄い人なんですね〜!
昨日、夫が通っているグループホームの社長さんとお話ができたのですが、その方が、自分が介護の仕事を長くやって介護とはこういうものだと思い込んでいた旧いやり方、考え(高齢者や痴呆の人格などを考えない)を、180度一変させてくれたのが三好春樹さんだったとおっしゃっていました。
ほんとに目が覚めた! という感覚だったと。涙を滲ませていらっしゃいました。

Posted by miyata at 2007-03-27 07:47:18

こんにちは。三好さんの本がここで紹介されていたとは、ついうっかりでした。この本は読んでません。が、読もうと思って積んでいた本は、ほぼ読み終わりました。いやはや、驚きました。私が繰り返し答がでない自問をしていたことがほぼ網羅されていました。いるんですね、こういう人が。あんまり感動したので生まれて初めてのファンレターを、つい書いてしまいました(^^ゞ

Posted by 佐々木和恵 at 2007-01-23 07:13:52

fujiさん、おはようございます。
えー! そうなんですか! 嬉しいですね〜。ほんとにありがとうございます。頑張る意欲がわいてきました♪

Posted by fuji at 2007-01-22 23:53:58

長男の嫁がデイサービスの看護師をしていて、佐々木さんのブログのフアンです。いつも絶賛しています。三好先生の本も読もうとしているところだと言ってました。

Posted by 佐々木和恵 at 2007-01-17 22:13:10

真春さん、コメントありがとうございます。
ディサービスで紙芝居をされたのですか。いいですね〜♪ 盛り上がった様子が目に見えるようです。

Posted by 真春 at 2007-01-17 20:22:22

佐々木さん、いでさんにお世話になりデイサービスのクリスマスに紙芝居をしました。
若い女性の職員が演じたそうですが皆さんとっても
喜ばれて大層盛り上がって楽しい会だったそうです

Posted by 佐々木和恵 at 2007-01-16 15:32:43

いでさん、三好先生のお名前は新聞などでよく見かけていましたが、そんな人気者でいらっしゃるのですか。そうした講演や紙芝居の会の予定があったらぜひ教えて下さい。紙芝居は心身のケアにいいでしょうね。

Posted by いで at 2007-01-16 08:55:18

佐々木さん、三好先生は追っかけが居るほど、人気者ですよ。「老人介護に紙芝居を」の著者遠山氏は何度も一緒に講演して廻ってます。いつでも遠山氏をご紹介します。彼は練馬の老人ケア施設の職員でレクにはいつも紙芝居をしているそうです。『オムツはずし学会』にも紙芝居の友人達が紙芝居で講演しています。

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