この番組は、アルツハイマーや脳卒中で認知症になった人が、ある学習で生きる意欲を取り戻していく様子を追っています。
学習とは、「花」「川」などと書いたカードを、認知症の人に見せ、声を出して読んでもらうこと。「5+1=」「2+6=」と書いたカードを見せて、答えてもらうものです。
こうした学習が、認知症の人の脳を鍛えることになり、その人自身が生きる意欲を取り戻す、と主張するのは
東北大学教授で脳科学者の川島隆太氏。
脳の中のどこを鍛えるのか? それは、頭の前頭部にある前頭前野。前頭前野は脳の司令塔。この司令塔は、複雑な計算などより、簡単な計算や音読をする時に活発に活動することが、光ポトグラフィ測定でわかったというのです。ということは、認知症の人に、簡単な計算、音読を学習してもらうと、前頭前野が活動をはじめ、欠損して認知症になった脳が鍛えられ、活性することになる、ということのようです。
福岡県大川市にある社会福祉法人「永寿会」。ここに入所されている、アルツハイマーや脳卒中で認知症になった人に、音読や計算の学習がされます。
石橋ヤエノさん(105歳)の場合
ヤエノさんは、重度の認知症でずうっと車椅子の生活でした。3年前から、音読と計算の訓練を始めました。川島教授が撮影されたという訓練をはじめる前のビデオで観るヤエノさんは、無表情でいかにも頑なな様子でした。
それが、訓練を開始して三ヵ月後のヤエノさんは、介護士さんに両脇を支えられて、歩行の練習をされているのです。驚いたのはその表情の明るさと、自分の歩行を手伝ってくれた人に、明確に、「ありがとうございました。」と嬉しそうに挨拶をされていることでした。
ほかにも、視聴者は、不安を感じると悲観的になり、「死なせて下さい。」と言い続ける
キヲさん(97歳)、夫の死と認知症が重なり、誰とも目を合わそうとせず、見るからに無気力になった
フミヨさん(77歳)、施設の中でみんながする体操などにも決して加わろうとしなかった
春子さん(83歳)が、スタッフの温かい親身な語りかけとともに促される音読と計算をやっていく中で、次第に変化がおこってくることの目撃者になります。