「認知症の予防」についていくつか書物を読んでみますと、「認知症を引き起こす脳血管性の病気の原因となりやすい、高血圧、肥満、糖尿病などの生活習慣病に気をつける」「楽しいと思うことを続ける」の二つが要点になっていますね。
ということは、認知症になってしまった者にとっても、この二点は、症状を悪化させないために必要なこと、と言えるかもしれません。
そこで認知症の夫を介護している私は、特に、夫が「楽しいと感じることを持つ」ことを大事にしています。
反応なし
この「楽しいと感じること」は、健康な時ならそれぞれが日々の生活の中で、スポーツ、映画鑑賞、美味しいものを食べに行くなどなど特に意識しなくても自然に身についているものですが、認知症という病気になると、そうしたことへの関心がなくなってしまうのです。
夫の場合、以前は、図書館に通って本を読むことや、自宅でクラシック音楽を聴くことや、パソコンで将棋や囲碁をやるなどが楽しいことでしたが、認知症になって、そうしたことをするのが億劫そうになり、やがて全く関心をもたなくなってしまったのです。
きっかけはソフトクリーム
「このままではいけない。何か楽しみをもたなくては・・・。」
書物を読むまでもなく、私はこう思ったのです。
最初は、あれこれ夫の好きな傾向の娯楽の本(歴史小説など)をすすめたり、観光スポットを回ったり、一日中モーツアルトを流していたりしましたが、本人は無反応でした。
そうしたある日、スーパーマーケットに買い物に行った折、歩きつかれた夫がロビーのベンチに座って動かないので、仕方なくソフトクリームを買ってきて、「私はもう少し買い物があるので、終わるまでここでアイスを食べながら待っていて。」と言ったのです。すると夫は、とても嬉しそうにしたんですね。それ以来、スーパーに行くとアイスクリームを食べる、ということが夫の楽しみになったのです。
私は、こうしたささやかな楽しみでいいのだ、と思いました。そして、こんな小さな楽しみを折につけ見つけていこうと心がけるようになりました。
いい湯だな
現在の夫の一番の楽しみは「朝風呂」です。
夫は夜尿がひどく、夜間にトイレに誘導して排尿しても、朝に必ずもらしてしまいます。それで起床した時、お湯でぬらしたタオルで清拭していたのですが、ある時、起きたらそのまま入浴にしたらなんともいえずゆったりとした様子になりました。以後、朝風呂が夫の一番の楽しみの時間となったのです。
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これが認知症の進行をとめる、とまでは思わないのですが、「楽しいと感じること」が毎日の生活の中にあるのは、本人と家族の幸せ感になる、と実感しています。
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(佐々木和恵)