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本の紹介<おしゃべり心療回想法:小林幹児著>
2007-07-02 04:43:50
2007年2月19日に「回想法は楽しい『学問』」のタイトルでご紹介しました認知症予防に早くから取り組んでいらっしゃる、小林幹児さんの新刊が出版されました。
おしゃべり心療回想法
発行所:論創社
初版発行:2007年6月25日

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本の帯に、このように書かれています。
『少年少女時代の楽しかった記憶をよみがえらせ、おしゃべりする・・・それが認知症の予防となり、その進行を抑制する。施設で日々高齢者をケアする若い介護士や、高齢者を抱える家族のためのやさしいガイドブック』。
またサブタイトルに、『認知症予防のための「脳環境」づくり』とあります。
「脳環境」・・・小林先生の認知症予防と哲学の中心は、この「脳環境」にあるようですね。
認知症になる原因が遺伝の影響からくると言う人もいるそうですが、小林先生は、「もしそうであったとしても、遺伝素因を活性化させる環境要因が揃わなければ発病には至りません」と言い切られています。
その実証例として、「高齢者が骨折入院をして、退院時に認知症になっていた事例はたくさんあります。(略)要するに認知症を発症させる環境内にいた(略)」と挙げています。
このことに頷く方は多いのではないでしょうか。
「うちのおばあちゃんは、しっかりしていたのに、病気で入院したら呆けてしまった」という話や、「引越ししたら、おじいちゃんがぼんやりするようになり、認知症と診断された」などの話をよく聞きます。
この本は、そうした環境変化の重圧やストレスに耐える脳というものを思い遣りながら、「認知症予防」のノウハウをはじめ、認知症の説明、回想法で回復したり、症状が軽減された実例、誰でもできる心療回想法のインタビューの仕方、そして認知症の早期発見のつぼなどを、実に丁寧に書いてあります。
また、小林先生の認知症の人や介護する人への親身さも感じさせられ、読んでいるうちに励まされていき、いつの間にか元気になってくる気がするほどです。
施設で働くヘルパーの方は勿論、認知症の家族を介護されている方にお薦めしたい一冊です。そして、認知症や高齢者の方々の思い出話しを、じっくりと聴いてあげて欲しいと心から思いました。遠い昔の楽しかった時代を回顧しながら、心も脳も生き生きしてくる・・・本当に素敵です。
小林幹児(こばやしかんじ)先生のプロフィール
1953年東京生まれ。日本大学大学院で心理学を終了し渡米。行動科学博士号取得後、文部省認可財団法人にて発達と加齢研究を行う。
退職後北海道の中核病院にて地域医療介護担当者として臨床経験を重ねる。
老人施設の管理職や教育職を歴任し、現在は心療回想法の普及に活躍している。
剛柔流空手道三段。
内閣総理大臣認証法人 日本回想療法学会長
社会福祉法人 日本家庭福祉会 理事
産業能率大学 講師
7月の予定
「認知症予防のための心療回想法」の公開セミナー
日時:7月8日(日)午後2時から
場所:自由が丘にある東京体育専門学校
出版記念講演
日時:7月12日(木)午後1時半から3時半まで
場所:茨城県龍ヶ崎市 サプラ・多目的ホール
(イトーヨーカドー2階・ボーリング場となり)
「龍ケ崎市回想法センター」代表の赤嶺愛子さんの講演もあります。
参加申し込み先:龍ケ崎市回想法センター(先着40名)
電話・FAX:0297-65-4443
リポーターの独言
私が特に好きな章は、『楽しさは感情の共有によって生まれる』です。
ここでは笑いの質にふれ、例えば落語の小話が引き起こす笑いは、大脳の緊張が瞬間的に緩んで笑顔を作るが、それはすぐ元に戻るもので、快感というより脳の緊張をほぐす質。
それに対し、自分がこどもの頃に体験したことを思い出し語り合うことから湧き上がる喜びは、快の想起となり、いつでも笑顔がおこり、心が満たされ、これこそ脳の活性につながる、という意味のことが述べられています。
私は常日頃、「感情の共有」は普遍的に人間を支え、人格を円満に成熟させるに大切なものだという思いを抱いているだけに、これが認知症の人のケアに最も必要なことのひとつ、と認識できたのは嬉しく、また要介護4の認知症の夫を介護する上の指標のひとつとなった気がします。
(佐々木和恵)
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