交通事故による死者数は、ここ10年間では減少傾向が続き、年齢層別にみても、各年齢層とも減少しているそうです。ところが、65歳以上の高齢者については、死者数が年々増加しているということです。
そこで、高齢者が事故にあわないようにするにはどうしたらいいかを知るために、2007年9月5日に茨城県八千代町の公民館で開かれた、『いきいきシルバードライバーセミナー』を受講してきました。
この
「歩行者の皆さん、『車が止まってくれるだろう・・・』と思っていませんか?」
「シルバードライバーの皆さん、『つもり運転』していませんか・・・?」
会場に集まったシルバー世代の皆さんに、真剣に語りかけるのは、茨城県下妻警察署の交通課の課長さんです。2007年9月19日から道路交通法が改正になりますから、高齢者の皆さんによく理解もらって、違反や事故がないようにという願いがこもっているのがよく伝わってきました。(写真をクリックすると大きくなります)
シルバードライバーの一人である私も、いただいたチラシを見ながら、運転者として、歩行者として、気をつけなくてはならないことを襟を正して聞きました。
講義は、シルバー世代に注意を促すだけでなく、運転をする人、歩行者全般への注意にも及びました。特に飲酒運転をなくすためのお話は熱が入っていました。
「運転する前は、お酒を呑んではいけないのは皆さんわかっていると思いますが、運転する人にお酒を出してもいけないことはわかってましたか?」
「へ〜、そうなんかね〜」とちょっとびっくりした人、「そりゃ、当たり前だワ」とわかっている人、ちょうど半々のリアクションでした。
「お酒を呑んだ人の車に、『ちょっとそこまで乗せてくれや』と同乗してはいけません。呑んでいる運転者の車に、誰かを乗せさせてもいけません。今度の改正から罰金ですよ」
「ありゃ、知らなかった・・・」「気をつけねば・・・ね」とお隣の人と頷き合う声。
「お酒を呑んだ人から、『車を貸してくれ』と言われたらどうしますか?」
「そりゃ断るさぁ」「危ないから貸せんでしょ」という返事に、課長さんは、「そうです! どんな事情があっても、酒を呑んだ人に車を貸してはいけません」と笑顔できっぱり。
シートベルトをつけましょうというお話しもありました。
「皆さん、運転する時はもちろん、助手席に乗ってる時も、シートベルトをつけますね。法律が改定になって、後部座席の人も、シートベルトをつけなければならなくなります。
不幸にして事故にあった時、シートベルトをつけていた場合とつけていなかった場合の死亡率、怪我の重さは、大分違うんですよ。つけていれば助かった命が沢山あります。シートベルトをつけるのは面倒だとか、窮屈だと思わないで、車に乗ったらまずシートベルトを忘れない! ですよ」
次は、茨城県警察本部交通企画課巡視さんの、腹話術、絵、絵カードを使った楽しい指導です。
「ケンちゃん、皆さんに挨拶をしましょうね。私の言った後をついて言うのよ。・・・皆さん、こんにちは〜、わたしは人形のケンちゃんです」
「・・・・・・・・・・・・」
「あれ? ケンちゃん、どうしたの? 挨拶よ。・・・ではもう一回言うわよ。皆さん、こんにちは〜、わたしは人形のケンちゃんです」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうしたの? なんで黙ってるの?」
「だってぼく・・・男の子だから、わたしはって言わないもん」
「あ、そっか、ごめんごめん。では、もう一度。皆さん、こんにちは〜、ぼくは人形のケンちゃんです!」
「皆さん、こんにちは〜、ぼくは人形のケンちゃんです!!」
(ケンちゃんの可愛らしさと上手なことに感歎の拍手と笑い声がわく)
・・・と、こんな調子に軽快にユーモアたっぷりに、巡視さんとケンちゃんの掛け合いで、横断する時の指導が始まりました。
それによると、高齢者の人の交通事故は、車道を横断する時が一番多いそうです。
「信号が青だけど、もうすぐ変わりそうな時や、信号のないところを横断する時、車が来ているのが見えてるのに、『遠いからまだ大丈夫だ』、と渡っていませんか。
これが一番危ないんですよ。渡る時は、急いでいても、次の青信号を待つ、信号のないところは、車が完全にとぎれてから渡って下さいね」
「今度はこの絵を見ながら聞いて下さいね」
「人間は1秒間で何メートル歩くか知ってますか? だいたい、1メートルです。では、時速60キロで走っている車は、1秒間で何メートル進むと思いますか? なんと、17メートルも進むんですよ。
道を渡るとき、車が見えるけどまだ遠いから大丈夫、と思っていると、あっという間にこっちに来るんです。急いでいても、信号では、青になってから渡ること、信号のないところでは、車がとぎれるのを待ってから渡ることにしましょう。
それから、道路を斜めに渡ると、その分、危険にさらされることになります。真っ直ぐに最短距離を渡るようにしましょう」
洋服の色についてのお話しもありました。
「夕方からだんだん暗くなっていきますね。そうすると、自分が歩いているのが、車を運転する人に見えにくくなって危険です。そこで、暗くなっても目立つ色の洋服を着るのはいいですね。白、黄色は暗くなっても目立ちます。反対に、黒や灰色や茶色は周りの暗さに溶け込んで見えにくくなりますから、避けた方がいいですね」
一つとや 人の命の大切さ 注意一つで守りましょう
五つとや いたわりつくせ 高齢者 小さなこどもに気を配れ
七つとや 泣いてからではもう遅い 小さな時からよいしつけ
十とや 尊い命を守るため 交通ルールを守りましょう
(註:二つ、三つ、四つ、八つ、九つは省略しました)
最後に、大きな絵カードを使ってゲームをしながら、交通ルールを学びました。
リポーターの独言
講師のお二人のお話は、熱意がこもり、はっきりとしてわかりやすく、またお笑い芸人顔負けの面白さで、参加者の皆さんは真剣に聞き入りながらも、明るい笑い声をあげていらっしゃいました。
改定から、事故は勿論、軽く見られがちだった交通違反への罰則も重くなるようです。
「車は走る凶器」と言われながら、実際は、見つからなければいい、という自分に甘い認識で、車を運転している人は多いのではないでしょうか。私なども、この講座を受講して、あらためていい加減な気持で運転していたとろこがあるなぁと反省するところが大でした。
「罰則が重くなるから」ではなく、「自分に便利で快適な車が、自分の使い方一つで人を殺したり、傷つける凶器になるのだ」ということを肝に銘じたいと思いました。
そして、こうした講座によって、みんなの、特に車を運転する人、一人一人の自覚が高まり、交通事故がなくなっていくことを願いました。
(佐々木和恵)