前回の記事で子どもの遊びにおける「リスク」と「ハザード」について紹介しました。
今回はそれについてもう少し突っ込んで考えてみます。

■安全な遊具は物足りない
・子どもたちがブランコで旋回したり、飛び降りたりするのは当たり前です。すべり台にしても、サイズが小さいものであれば、ぶら下がったりもします。
しかし、「リスク」を求めるのは子どもの本能で、それを摘もうとすればするほど、子どもは別の場所に危険を求めます。米国では遊具のサイズを小さくしたり、転落する床を柔らかくしたりと努力はしましたが、残念ながら事故の総数は減りませんでした。
子どもは小さなケガをすることで、より大きな事故や危険を回避する能力を高めることができます。ですから、そうした危険回避能力を身に着けるための小さなケガや事故の数までも減らそうと努力することには意味がありません。そうした努力は子どもたちの成長を妨げる空間をつくることになってしまいます。
・ドイツ安全基準(DIN)を策定したジュリアン・リヒター氏は、「安全はできる限り最小限で良い。それよりも遊びの価値を中心に考え、子どもにとって、本質的な遊びの価値を提供するような『遊び場づくり』をしなければならない」と提言して、注目を集めました。
私たちが子どもをのびのびと遊ばせる、より良い遊環境を守るために、こうすれば完璧、絶対だというようなことはありません。子どもたちにどれだけのチャレンジを与えることができるかは、それをとりまく、大人や社会環境によって決まるのです。私たち大人がどれだけ子どもに対してチャレンジできる環境を提供できるかは、保護者や周りの人が「ハザード」をきちっと認識したうえで、「リスク」を提供するかを考えの中に持っていられるかが、安全対策の一つの“鍵”になると思います。
■遊環境の具体的な「ハザード」対策
・子どもの遊び環境における「ハザード」の中で、今、一番問題になっているのは、アスファルトやコンクリートへの転落です。「高い」ところを好む子どもの心理・行動特性から、すべり台や雲梯などからの転落・落下事故は多くの国で半数以上を占め、最もポピュラーな事故原因となっています。子どもは無防備なので、そうした硬い設置面への転落によるダメージは、特に脳や頚椎の損傷につながります。基本的にそうしたハザードによる事故やけがは、子どもの遊び環境に存在してはいけません。
写真はアメリカの公園のブランコ。下にチップを敷いています。

そこで欧米では、転落・落下時の負傷を軽減するため、遊具の周辺には、衝撃を吸収するために特殊な加工をしたゴムマット、一定の深さの砂・ウッドチップなどを敷設することや、落下防止の手すりや柵を設けることを安全基準に定めています。
基本的には、重大事故に子どもたちが遭遇しないようにする方策として、重大事故の3大原因である、つくる側(製造・設置者)、つかう側(利用者)、まもる側(管理者)が三位一体となって取り組まなければなりません。