情報化が進み、家庭にいながらにして必要な情報を得られる時代です。子育て世代でも家の中に閉じこもらず積極的にそれらを活用し、子育てができるようになりました。
また子どもと共に出掛けられる居場所(子育て広場等)もあちこちで見受けられるようになり、同世代の人たちとのつながりを持つこともできるようになりました。
しかし、「居場所」を必要とするのは子育て世代だけではありません。
■誰でも気軽に立ち寄れる「居場所」
都市地域では誰でも気軽に立ち寄れる「居場所」が少ない、と作家であり「北沢川文化遺産保存の会」会員のきむらけんさんは言います。
世田谷区地域コミュニティ活性化支援事業報告交流会で、きむらさんは下記の報告をされました。
「 現今の我々の社会、とくに都市地域は個別化の様相を深めている。個々人が個々に生活を営んで他との繋がりをいっそうに希薄にしている。都市住宅は単なる居住地域と化しつつある。むしろそれを好むというのも都市人である。けれどもそれによって地域の活力が失われているとも言える。むすびつきが希薄な分、紐帯感がなく、孤立的である。けれども個々の人物に出会ってインタビューしてみると、それぞれが地域に思い出を残して生活をしている。自分とてそうである。家の前の遊歩道の桜には愛着がある。
現今の地域コミュニティはなお一層連帯性を薄めつつある。それが安全安心というものを脅かしつつある。互いに知らないというところの隙を衝いて犯罪が起こっている。小学生の登下校の安全すら脅かされている。都市近代が抱える大きな問題だ。
参加者の多くは年齢の高い人が多かった。活動に若い人が入って来ないという悩みが述べられた。世代間格差の大きさも課題である。それでも報告から見えてくることは都会人の苦悩である。若い母親の子育ての悩み、また、生きる上での悩みを都市人が抱えている。また、インターネットテレビを運営している人は地域のどこに行ったら情報が得られるのか分からないとも洩らしていた。我々の住む都会には「場」がないということだ。 そこに行けば、誰かがいて気軽に話せるという場、くつろげる空間がない。地域コミュニティというとどうしても形が先に来てしまう。なんらかの会とか、団体となる。するとそこには入りにくい。なんらかの目的を持っていればいいが、たいがいはそんなはっきりとしたものは持っていない。 都市には面白い話がいくつもいくつも転がっている。そういうことに目を向ければ生活も面白くなる。ちょっとした話をする、そんな気楽に集まれる、気楽に誰もが過ごせる空間ができるとベストだ。」
(2006年5月 世田谷区地域コミュニティ活性化支援事業報告交流会において)

代田一丁目、住宅街のなかにある喫茶店「邪宗門」。かつて森鴎外の娘、小説家・随筆家である「森 茉莉」が日頃通っていたということです。昭和40年12月23日開店、珈琲の心地よい香りが漂う喫茶店。「北沢川文化遺産保存の会」の事務局であり、マスターの作道明さんはもちろんこの会の会員でもあります。そして何よりもここは「ちょっとした話をする、気楽に集まれる、気楽に誰でもが過せる空間」であり、出会いを楽しめる「居場所」なのです。
きむらさんは「地域コミュニティというとどうしても形が先に来てしまう。なんらかの会とか、団体となる。するとそこには入りにくい。なんらかの目的を持っていればいいが、たいがいはそんなはっきりとしたものは持っていない」といいます。
しかし「 都市には面白い話がいくつもいくつも転がっている。そういうことに目を向ければ生活も面白くなる」ともいいます。
地域文化に目を向けそれらを後世へと語り継ぐ・・・シニア世代の生活を豊かにする、面白くする一手段としてこのような活動も意義のあることと思います。

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きむらけんブログ「東京荏原都市物語」資料館