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子どもの遊びとリスクNO.2

2007-09-24 13:27:27

前回の記事で子どもの遊びにおける「リスク」と「ハザード」について紹介しました。
今回はそれについてもう少し突っ込んで考えてみます。

遊具■安全な遊具は物足りない
・子どもたちがブランコで旋回したり、飛び降りたりするのは当たり前です。すべり台にしても、サイズが小さいものであれば、ぶら下がったりもします。
 しかし、「リスク」を求めるのは子どもの本能で、それを摘もうとすればするほど、子どもは別の場所に危険を求めます。米国では遊具のサイズを小さくしたり、転落する床を柔らかくしたりと努力はしましたが、残念ながら事故の総数は減りませんでした。
子どもは小さなケガをすることで、より大きな事故や危険を回避する能力を高めることができます。ですから、そうした危険回避能力を身に着けるための小さなケガや事故の数までも減らそうと努力することには意味がありません。そうした努力は子どもたちの成長を妨げる空間をつくることになってしまいます。

・ドイツ安全基準(DIN)を策定したジュリアン・リヒター氏は、「安全はできる限り最小限で良い。それよりも遊びの価値を中心に考え、子どもにとって、本質的な遊びの価値を提供するような『遊び場づくり』をしなければならない」と提言して、注目を集めました。
私たちが子どもをのびのびと遊ばせる、より良い遊環境を守るために、こうすれば完璧、絶対だというようなことはありません。子どもたちにどれだけのチャレンジを与えることができるかは、それをとりまく、大人や社会環境によって決まるのです。私たち大人がどれだけ子どもに対してチャレンジできる環境を提供できるかは、保護者や周りの人が「ハザード」をきちっと認識したうえで、「リスク」を提供するかを考えの中に持っていられるかが、安全対策の一つの“鍵”になると思います。


■遊環境の具体的な「ハザード」対策
・子どもの遊び環境における「ハザード」の中で、今、一番問題になっているのは、アスファルトやコンクリートへの転落です。「高い」ところを好む子どもの心理・行動特性から、すべり台や雲梯などからの転落・落下事故は多くの国で半数以上を占め、最もポピュラーな事故原因となっています。子どもは無防備なので、そうした硬い設置面への転落によるダメージは、特に脳や頚椎の損傷につながります。基本的にそうしたハザードによる事故やけがは、子どもの遊び環境に存在してはいけません。

 写真はアメリカの公園のブランコ。下にチップを敷いています。USA.jpgそこで欧米では、転落・落下時の負傷を軽減するため、遊具の周辺には、衝撃を吸収するために特殊な加工をしたゴムマット、一定の深さの砂・ウッドチップなどを敷設することや、落下防止の手すりや柵を設けることを安全基準に定めています。
基本的には、重大事故に子どもたちが遭遇しないようにする方策として、重大事故の3大原因である、つくる側(製造・設置者)、つかう側(利用者)、まもる側(管理者)が三位一体となって取り組まなければなりません。
・遊具では9〜23cmという隙間が頭部が挟まれる可能性が高く危険です。足や腰は入っても、頭が引っかかってしまう隙間です。つくる側は、こうした構造上のハザード作をらない努力が必要です。
 また、まもる場面のハザード(実例)としては、木製遊具や金属の支柱も、内側から腐ってくることが多く、突然根元から遊具が倒壊するような事故も後を絶ちません。そうした維持管理上のハザードは利用者も、なかなか目で判断できませんから、専門業者による点検を依頼したり、大人の力で揺すってみるなど、十分なメンテナンスが必要です。
看板最後に、つかう場面のハザード(実例)としては、すべり台になわとびやロープをひっかけて登ったりして遊んだ後、そのまま放置してしまい、幼児が首にかけてしまう事故があります。なわとびやロープを「持ち込むな」ではなく、それを見た大人が「取り除く」ことが望ましく、遊び場の見守りが必要です。周りにいる人が無関心でなく、そこに目を注ぐことが最も大事なハザード対策なのです。写真はそうした、地域住民による見守りを呼びかける、ニューヨーク市の公園にある看板です。呼びかけに応じて、ニューヨーク市では4〜5万人ものボランティアが、公園や遊び場を見守る体制ができています。公園や遊び場を支えるのは地域住民であり、どうやって市民を参画させるかが今後の課題です。

※プレイグラウンド・セーフティ・ネットワーク(PSN)代表、大坪龍太氏の講演から引用しました。

PSNとは
 1995年にアメリカで開催された第1回「遊び場安全国際会議」をきっかけに、世界的な遊びの価値と安全の問題に関する意識の高まりに呼応。遊び場の抱えるさまざま課題に対し、関係者および保護者のネットワークによる関連情報の収集や問題の解決を目指す有志が集まって、1996年に発足したNPO(非営利組織)です。

遊びと安全の大切さを分かりやすく解説、安全確保のポイントを例示しています。(絵の上でクリックすると大きくなります)
■PSN版 楽しく安全な遊び場のガイドライン

■ちょっと一言
「公園や遊び場を支えるのは地域住民であり・・・」。かつては当たり前だった地域ぐるみでの見守り。核家族化、共働き家庭の増加など生活環境の変化が、その「地域ぐるみ」での対応を困難にしている一因でもあると思います。
団塊世代の地域デビューなどと大げさに構えなくても、日々の生活の中でかつての子育て世代が出来ることはたくさんありそうです。
山崎礼子

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