「280億円はたったの4日分にすぎない」
この冊子が
アジア太平洋資料センター(PARC)から送られてきました。これは1985年アフリカ難民の救済の目的で行われた
チャリティ・コンサート(ライブ・エイド)でおよそ280億円ものお金が集まり、アフリカに贈られたのですが、それがたった1週間で債務返済に消えた。つまり、コンサートで集まったお金がアフリカの人々に使われることなく、先進国に戻っただけ。これを現在の債務返済額に換算すると、たったの4日分−これが、この冊子のタイトルです。
どうしてこんなことになったのだろう?このままの仕組みでは、いくら援助してもどうしようもないのではないか?「この仕組みを変えなくちゃダメじゃないか!」という問いかけから始まるこの冊子を読むと、最初「援助」として途上国(135ヶ国)に貸し付けられたお金は多くが借金であり、植民地からの独立後、それは高金利のせいで雪だるま式に膨んだとのことです。
巨額の債務を抱えた貧しい国々は、限られた予算から必死になって返済していますが、そのために毎年多額のお金が新たに貸し付けられ、毎年借りる額より返済額の方が多いとのこと。つまり、貧しい国から豊かな国に流れるお金のほうが大きいのです。
なぜ返済できないお金をそんなにたくさん借りたかについては、貸し手が無責任に貸したことが大きな原因のようです。真に途上国を援助するというより、先進国の都合で融資合戦が行われたとのこと。
完済が長引いているのは、借り手と貸し手双方の癒着や腐敗により、利益を生まないプロジェクトが多かったこと。東西冷戦下での米ソにおる途上国への援助合戦があり、その結果、途上国の軍事費や、独裁者の私財に入り、開発や援助の目的には使われなかったこと。唯一の輸出品の農産物などの一次産品の価格が暴落し、ドルを稼げなくなったこと。アメリカの金利の大幅引き上げに伴い、世界中が高金利になったこと。(実質金利20%)これらがあっという間に債務残高をとんでもない数字にしたとのことです。
「返せないんだったら、小学校を有料にして、経費のかかる病院は整理すればいい、補助金・関税を撤廃すればいい、熱帯雨林をじゃんじゃん切って輸出してお金を作りなさいよ」と、貸し手側が「解決策」を提案しているとのことですが、従うしかない借り手国では、学校に行けない子供や初歩的な医療も受けられない人がたくさん出てきた、また補助金のお陰で安くなっていた食料、生活必需品は高くて買えなくなったそうです。また熱帯雨林の伐採が続けばどうなるか・・・
返せなくなったときに借り手側のみが責任を負うという仕組みを変えなければ、貸して側が軽率な貸し付けを行ったリスクを将来にわたってずっと持ち続けることになります。
最も債務負担が大きいとされている国々40ヶ国にとって、最大の債権者は私たちの国、日本です。
私たちは借金のかたに途上国の子供達から教育を取り上げ、飢えさせてまで、自分たちが豊かであろうとしているのでしょうか?
この冊子を読んでいると、貧困の問題は実はそんなに複雑な話ではないと思えてきます。最近日本でも消費者金融の問題がようやく公の問題となり改善が見られました。発展途上の国々に高利でお金を借りさせ、債務をテコに、市場を海外に開放させ、その市場で儲けることを勘定に入れているのは「援助」でもなんでもありません。
「第三世界の人々は、そこから利益を得たこともなければ、その恩恵が彼らに届きもしなかった債務の支払いをしなければならない」1980年ノーベル平和賞受賞者のこの言葉にあるように、こういう形の「援助」が問題なのは明らかであり、「援助」については、少しづつ変化の兆しが出てきてようです。
「借りたら返す」というルールですが、お金を借りた方はそのお金を使って改善して、そこから上がった利益の中から返済して行くのが普通のルールであり、借りた方がその恩恵が得られるどころか、奪われることの方が多く、貸した側は更に豊かになる。これは「借りたものは返す」というルールが当てはまらないのでは?
2006年10月ノルウェー政府は、途上国5ヶ国に貸していた総額8000万ドルの債務を一方的かつ無条件で帳消しにすることを発表しました。ノルウェー政府は途上国の貧困削減や開発の為にこの貸し付けをおこなったのではなく、自国の利害から行われた無責任なものだったことを認め、「貸し手側の責任」をとったとのことです。
借金が帳消しになったら、飢餓に苦しむ8億人の1年分の食料が得られ、エイズ対策で50万人の命、幼い子供達の450万人の命が救えます。地雷撤去などなど、多くの問題が一挙に改善されます。そしてなにより、これらの国々の人々は自分達の未来を自分達で決められる自由が得られます。
私たちにできることは、まずこういったことを知ることから始まります。この冊子は、A5判の17ページでとても読みやすく、わかりやすく書かれています。以下の連絡先に冊子を申し込めば無料で送ってくださいます。
電話:03−5209−3455
ファクス:03−5209−3453
メール office@parc-jp.org
ノルウェー政府を動かしたのは粘り強い市民からの働きかけだったそうです
(文は冊子からの抜粋と要約が大部分です) (鈴木由利子)