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映画「シルク」の公開につけて

2007-12-25 20:25:07

1月19日からシネマトゥデイ他でロードショーの始まる映画「シルク」。試写会で見た人のレビューを見ると、「日本の昔の風景が情緒豊かに映されている」といった感想が印象に残りました。時代は1860年代。日本は江戸から明治に移る時代です。
映画のあらすじを見ると、「ヨーロッパで蚕の疫病が流行り、ヨーロッパの養蚕業が壊滅的な状態に陥ったため、英国の青年が結婚したばかりの妻を母国に残してはるばる日本に、健全な蚕を求めてやってくる。そこでめぐりった絹のような日本女性に魅かれ・・・」というストーリーなのです。

「シルク」(絹糸)と聞くと、耳目が活発になる私、山本です。
その話(ヨーロッパの養蚕業が壊滅的になった時代があったこと)が本当だったのかどうかちょっと調べて見たくなりました。

ちょうど、12月22日土曜日の朝、NHKニュース「おはよう日本」で入田直子さんがリポートするコーナーで群馬県「日本絹の里」をリポートしていました。そこで「日本絹の里」のホームページを覗いて見て、面白い記述にめぐり合いました。
紹介します。

伊勢崎市境島村(旧境町島村)に1869年、イタリアからサリエ・デ・ラ・トゥールという人が養蚕業の視察に訪れています。同じ年、英国からアダムスという人がやはり養蚕業の視察に訪れており、翌1870年にも再訪しています。映画「シルク」の主人公のモデルは、この英国青年アダムスだったのかも知れませんね。それはさておき、私の興味は「蚕の疫病」なのです。「日本絹の里」のホームページ周辺を検索していたら、それは「微粒子病」という蚕の病気だとわかりました。1860年、フランスから発生。ヨーロッパに拡がったのです。それで、危機を感じたヨーロッパ各国はアジアの蚕に目をつけたのです。取引をしようと、あるいは養蚕技術を取り入れようと、競ってアジア(中国や日本)に研究者を派遣したのでした。でも、まもなく、フランスのパスツール(牛乳などの液体を60℃程度で数十秒間加熱しバクテリアやカビなどの微生物を殺菌する方法を発見したことで知られる・・・現在でも『パスチャライズドミルク』=低温殺菌牛乳 の呼び名は通用している)によって病因が解明されます。

病蚕の体内に生じる微粒子が病原体(後に原虫の胞子と判明)で、これが体内で増殖、経卵伝染することを突き止めた、そうであります。そうしたヨーロッパの養蚕界の動きを日本もまた研究していたのです。

ウィキペディアでパスツールの検索をしましたところ、こんな記述が。以下引用。
・・・1865年、パスツールは養蚕業の救済に取り組んだ。その頃、微粒子病と呼ばれる病気により、たくさんのカイコが死んでいた。カイコについての基礎知識を得るためファーブルを訪問したとき、ファーブルはパスツールのあまりの無知ぶりに驚いたという。日本の江戸幕府将軍 徳川家茂よりフランス皇帝ナポレオン3世に対してカイコの卵の贈呈があり、研究用としてその一部を分け与えられたパスツールはそこから多くのヒントを得た・・・・

佐々木忠次郎という人は日本の養蚕学の開祖だと言われていますが、その父の長淳(ちょうじゅん)が明治6年にウィーン万博に明治政府から派遣されて、当時のヨーロッパの養蚕の状況を見聞して帰ったとのこと。
パスツールのお陰で、蚕の疫病の対策が打ち立てられたことも、佐々木長淳は学んで帰り、日本の養蚕業にも生かされたようです。

映画「シルク」は、蚕の疫病とその対策に寄与した人を追っている話ではないのですが、時代背景はそのあたりの歴史を踏まえているのですね。

映画「シルク」は日本・カナダ・イタリアの合作だということです。英国の女優キーラ・ナイトレイや日本の俳優、役所広司といったビッグネームがキャスティングしてます。が、私が注目するのは、日本の昔をよみがえらせる風景描写です。それと、芦名星(アシナ セイ)という日本人キャスト。宣伝フォトで見た限りですが、映画の宣伝文句どおり、まるで絹糸を髣髴させるしっとりとした美しい少女です。彼女を見るだけでも一見の価値のある映画だという気がします。1月19日からのロードショーが待たれます。

群馬県高崎市にある「日本絹の里」は、テレビでも紹介されましたように、お正月イベントも充実して家族で楽しめる処のようです。私は近くの「群馬湯の里」も楽しんだり、泊りがけで行こうと計画中です。ホームページの検索は「日本絹の里」と入れて検索してください。

この一年、自分の掲げる「農業と地場産業の助っ人になろう」テーマから遠い世間の巷を漂っているような、流行の後追い記事ばかりお届けしたのではないかと反省している山本です。でも、この一年いろんな出会いがあって、それをブログで紹介させていただくことで、自分の世界が広がったことも事実だと自負しています。

2007年中、当ブログにお付き合い、励ましをありがとうございました。来年は広がった世界を私なりに系統だててつなげて追求してまいりたいと思っております。どうか更なるご鞭撻をよろしく。さあ、今年もあとわずか。

皆様、どうぞ健康で、良い年2008年をお迎えください。(山本 豊美)

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