演歌とゴスペルの組み合わせって想像したことあります?
「ゴスペルって、あの黒人霊歌でしょう?圧倒的声量の豊かさを誇る黒人が教会で、神への賛美を歌い上げる、あのスピリチュアルな歌声でしょ?・・・で、演歌って、あの演歌ですよね・・・怨歌のことですよね?!どこか貧乏臭い、路地裏の酒場で酔いつぶれた女の、人生の哀しさ、怨み節みたいなの。歌詞がどれも似ているんだけど、ちょっと変えて、あらゆるバリエーションでもって歌われてきた、あれですよね。日本人のじめじめした部分の象徴みたいな歌。その演歌と、ゴスペルを組み合わせるって?!どういう風に?一体どうすれば結びつくんですか?!」とかいった声が聞こえてきそうです。私自身、それを体験するまで想像がつきませんでした。
1月19日、山梨県富士吉田市にある教会で「賛美しよったら賛美しよ!」というコンサートを体験してきました。歌うは「演歌フレンズ」の3人。

女性ふたりは日本人。男性はアメリカ人。3人が日本語で、演歌のメロディーとこぶしを回して、主イエスを賛美する、「ゴスペル」を聞かせてくれました。
そも、生活協同組合コープやまなしの「わくわくイベント情報」でこのイベント「賛美しよったら賛美しよ!」を見かけた私が、行ってみたくなったのは、そこに「子どもからお年寄りまで年齢に関係なく歌えるゴスペル」という言葉があつたからです。
私は今まで、日本でゴスペルを歌う日本人たちって、自分の声量によほど自信がある人たちなのだ、そして英語がしゃべれる人たちなのだ。だから、ある程度若い人たちなのだ、みたいな思い込みがありました。
ですから、「
お年寄りまで」というフレーズに興味がわいたのです。「一体どんなゴスペルなのだろう・・・?」と。ほんとに日本人のお年寄りもゴスペルを歌っているのか・・・と。
会場は雪化粧をした富士山のふもとにある富士吉田バプテスト教会。礼拝堂がコンサート会場となりました。

写真は本日の企画をした富士吉田バプテスト教会の牧師、伊藤さん。
教会の牧師、伊藤さんの挨拶と歌手紹介に続き、歌手が客席の後方入り口から客席の間を通って登場して壇上に上がりました。「演歌フレンズ」の3人です。真ん中の原美由紀(はらみゆき)さんが軽快なおしゃべりで盛り上げつつ、歌がはさみ込まれていきます。
原さんが「演歌フレンズ」の発案者。今年84歳になる祖母の「私ももうじきだよ(もうすぐ死ぬよ)」という口癖を聞く度に哀しくて、「もっと生きた言葉を、楽しい言葉を口癖にしてもらいたいな」って思ったとき、ゴスペル演歌を思いついたそうです。

祖父母が民謡の名取という環境の中で、演歌のこぶしが体に染み付いて育ったという原さん。現在ゴスペルクワイアでピアノ演奏、指導をしています。
演歌ならお年寄りの耳にすんなり入るし、神様が与えてくださる喜びの毎日を歌う歌、ゴスペルで「生きる喜び」を口癖にして欲しいなと語ります。
冒頭は「賛美しよったら賛美しよ!」。この歌の三節にある「新しい歌でぇ〜ほめたたえぇ〜よ〜」の歌詞。ホント、新しい賛美歌だ!
そのあと私たちの耳に親しい日本の演歌を替え歌にしたものが3つ披露されました。「夜桜お七」の替え歌「主イエス・キリスト」や、「酒よ」の替え歌「友よ」。

ギルバート・エスピネリさんはアメリカ、サンディエゴ出身。演歌の作曲家、中山大三郎氏の弟子というだけあって、着物姿も堂に入った演歌歌手ぶり。普段は会社で英語の先生をしているそうです。
そして「天城越え」の替え歌「み国まで」。オリジナル曲も3つ披露してくれました。
「敵を愛せよ」は歌詞中、「人を裁けば、自分も裁かれる。人を許せば自分も許される」などの主の教えが演歌調で歌い上げられます。
日頃、周りの人をきつく批判しがちな私にとっては、痛い言葉です。(人を批判し裁く私は、さぞかし周りの人の間で批判され、裁かれているのに違いない・・・)と考えていると自然に頭がうなだれてきます。敬虔な面持ちで・・・という図でしょうか・・・。

村上さんは教会での活動を中心にゴスペルを歌う。普段は東京三鷹の教会で活躍。富士吉田にも月2回ゴスペルクワイアの指導に来ている。
「聖歌161番」を演歌のこぶし回しで歌う。「死んでも生きる」という曲については、原さんの84歳のおばあちゃんが「死んでも生きるって、変だよ!死んだら生きてはいけねえんでねえの?」と、まっとうな感想を述べたというエピソードを紹介して、会場を笑いで沸かせ、そのあと「死んでも生きる」という聖書の言葉の真の意味をおばあちゃんに語って、納得してもらったくだりを原さんが語ると、会場に感動の静けさが広がりました。コンサートの展開もよく練られていると感じました。
「演歌フレンズ」のゴスペル演歌を聞きながら、ゴスペルも黒人にとって、黒人の出身地の民謡や子守唄など、受け継いだ音が、反映されているのではないか。黒人にとっての演歌といえるものなのだと考えました。日本人の血脈に流れている音とリズムで演歌調賛美歌を歌うのは、今回知って、耳新しいけれど、「あって良かったことなんじゃないの?」と思うようになりました。
コンサートのハイライトは「joy音頭」で、身振り手振りも簡単で踊れて歌える賛美歌に心がhappyになっている自分に気がつきました。そして英語でも音頭が踊れるのだ、と気付き、回りを見回すと
お年寄りも「ジョイ、ジョイ、ジョイ」と手振りよろしく歌っているではありませんか!
「
日本のお年寄りも歌えるゴスペル」とは、まさにこのことだったのですね!

聴いていた人たちも立ち上がって一緒に「joyjoy joy !」っと歌います。
「joy」という英語にこれほど深く考えさせられるなんて!「毎日に感謝!感謝!」という言葉の繰り返しで心も軽くなってくるのです。教会でゴスペルを歌って辛い毎日のくらしの憂さを昇華させた黒人たちと同じね!と連帯感を感じました。
コンサート終了後、教会の広間でお茶をいただくことになり、そこで何人かの人たちとお話することができました。
信者で教会に週に一度通って来られている女性の方は「普通に賛美歌を歌うのに慣れていますが、ああいう歌い方も良いですねえ」と目を細めていました。
教会の信者ではないけれど本日のコンサートのことを知り、来て見たという人は、「楽しかったです。教会でああした催しをこれからもやって欲しいですね」とおっしゃっていました。
富士吉田バプテスト教会では「ゴスペルクワイア」が定期的にもたれていました。
○「ゴスペルキッズ」は毎週土曜日の午後練習しています。
○「ブリランテ」は富士北麓地域在住の女性たちを中心に、都留や甲府方面からも参加者のあるクワイア。子連れで参加する人も多いそうです。富士吉田バプテスト教会の保育サークル「ちいさなおてて」の参加ママ中心に結成6年。毎週水曜日の午前中練習しています。
○「ワン イン クライスト」中高生から社会人、主婦など幅広い世代構成。結成されて3年。2007年夏、アメリカに演奏旅行。テネシー州ナッシュビルのGreater Nashville Community Choirとの合同コンサートを実現。毎週水曜日夜7:30〜9:00練習。
以上3つのゴスペルクワイアは随時仲間を募集しています。宗教は関係なし。歌うことが好きな人、歓迎しています。お問い合わせは富士吉田バプテスト教会へ。 ?0555−22−2027
「演歌フレンズ」は2007年2月に結成されたばかりですが、関東あちこちで活躍。ネット上のミクシィーでもコンサートを聴いた人たちの間で「面白い!」「笑えて、そして感動した!」などの評判が飛び交っているようです。皆さんも是非一度体験してみてはいかがでしょうか。(山本豊美)