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穏やかさの感触〜セラピードッグ

2008-02-08 03:03:56

「のんびる」2月号「はじめる!情報」コーナーにセラピードッグボランティア募集の記事が載っています。この記事リポート、私、山本が担当いたしました。
この記事、私のリポート文章を読むまでも無く、掲載写真がすべてを物語っていると思います。「ドッグセラピーの素晴らしさ!」を。ちなみにその写真はプロのカメラマン氏によるもの。

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「のんびる」2月号掲載写真と似て非なる私の撮影写真。被写体は同じなのですが・・・。

取材に際して、いつでもわくわく感を持ちながら取材先に出向く私ですが、このセラピードッグの取材の日は常に増して期待が高まりました。私は今まで、「アニマルセラピー」とか「ドッグセラピー」という言葉は聞いたことがあり、大体どんなものか想像はつきましたが、実際にセラピーの行われている様を目にするのは初めてなので。

この日、セラピーの行われた場所は山梨県甲府市にある高齢者の入院している病院。ドッグセラピーの実施時刻の1時間ほど前から、セラピードッグとその飼い主さんが集まってきました。皆さん車で到着です。
中には長野県から駆けつけたセラピストもいて、「遠路はるばる・・・すごいなあ・・・使命感に燃えているのだなあ!」と感じ入りながら、犬に見とれました。
そう、この日集まったセラピードッグたちは、私を、その毛並みの輝き、容姿の美しさで圧倒しました。車から降りてきた犬たちは施設の玄関前で飼い主さんと休憩し、ウォーミングアップしています。穏やかな空気の中。
山梨県でドッグセラピーの活動を展開しているのは「NPO法人山梨セラピードッグクラブ」。代表の中村幹(なかむら かん)さん(56歳)は波乱万丈の人生を送ってきています。

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集まった犬たち、その飼い主たちと優しく言葉を交わす中村幹さん。

30年間警察犬の訓練士をしてきて、中村さんの育てた犬の中には日本で一番の折り紙つきの優秀な犬も何頭か。犬に賭けた、犬と一緒の人生!常にトップの犬を育てることに邁進していたのです。

ところが50歳の時、脳内出血が原因で右半身麻痺に!中村さんは失意のどん底に陥ったといいます。

中村さんの友人たちが、中村さんのお見舞いに病院を訪れました。以前中村さんが訓練した犬を連れて。そのとき中村さんの胸中を、ある感情が稲妻のように走りました。

「こんな体になった私を、人は憐れみの目で見ている。が、犬は、以前と変らぬ信頼の目で私を見つめてくれている!」と。

そして中村さんは「そうだ、私のこれからの人生は、人に信頼を寄せてくれている犬たちに、その信頼にこたえることに生きるのだ!」と、生きる気力を奮い起こしたのでした。

以来、中村さんの活動はめざましいものです。支える妻のあけみさんと2人3脚で、山梨セラピードッグクラブの設立に向けて駆け回りました。

2004年に「NPO法人セラピードッグクラブ」を設立。3年半の今までに山梨県内外の病院・学校・老人介護施設など、セラピードッグの訪問活動は90回にも上りました。

中村さんのドラマティックな人生をもっと知りたい方は「車椅子の犬訓練士ものがたり」という本があります。これはとても面白い。犬の気持ちもわかる本なので犬好きの方にも是非お薦めします。「本の泉社」刊。1200円。書店で手に入らない人は中村さんまでお問い合わせください。電話&fax0551−28−7871

中村さんの呼びかけにこたえて「NPO法人山梨セラピードッグクラブ」に集まってきた犬とその飼い主の皆さんは、冒頭のように「使命感に燃えている」はずでした。だって、こんなに健康的で礼儀正しい犬を育てるのも訓練するのも大変だと思うのです。
使命感に裏打ちされていないととてもとても・・・。

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私には初めて目にする犬種もあり、つくづくと見る犬の美しさにただ感激の連続!

それなのに、実際の彼らは、特に大変だという表情も気負ったところも無く、ある飼い主さんの言葉「この(犬)は訪問を楽しんでいると思います。優しい犬として生きて欲しいから、この活動に加わりました」に代表されるような、ただ優しさからここに来たかのよう。

セラピードッグと患者さんの触れあいが始まりました。

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はじめは「恐いよ!」と身を硬くしていた女性も、おとなしい犬の様子と、飼い主さんの優しい語り掛けに次第に柔和な表情を見せ、おずおずと犬との握手を求めてきて、いったん手を触れると、さらに犬の体をなで始めたり、気持ち全部開放したようにして、触れあいを楽しみます。

見守る看護士さんたちも一緒になって和やかな小一時間が持たれました。

この施設の看護士長さんに、今回セラピードッグを招いた理由についてお聞きしました。
「ドッグセラピーは高齢者の『回想法』に繋がるセラピーなのです。犬に触れることにより、自分が犬を飼っていた頃の記憶や、他の動物に触れた時の記憶もよみがえります。そしてさらに他の記憶の呼び戻しにも繋がるのです」と話してくださいました。
高齢者の認知症の治療効果があるのですね。

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患者さんを見守りながらセラピードッグクラブの会員とも言葉を交わす看護士長さん。写真真ん中。

犬の寿命は長くて20年。生きている間中、飼い主への、人への信頼だけが頼りの犬の一生。「優しい犬として生きて欲しい」と飼い主が願えば、必ずそれにこたえる犬。

今回のセラピードッグの取材で、人と犬との信頼の絆ということに思いを馳せました。人の人生に犬が寄り添ってきた長い歴史。数々の名犬のドラマがありました。名犬伝説が今になお私たちを感動させるのは、とりもなおさず、それをキャッチする優しく深い人間のまなざしがあったということです。

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NPO法人山梨セラピードッグクラブのこの日参加の会員たち。

セラピードッグの広がり、それは人の優しさの輪の広がりと同じことなのです。そして、犬は人間を写す鏡なのだとも思いました。(山本豊美)

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