1ヶ月以上前のイベントのお話になりますが、4月19日に山梨県大月市でステキな催しがありました。「花咲本陣コンサート」です。毎年恒例のコンサートとして定着。11回目の今回も大月市内外から100人以上のファンが駆けつけました。「花咲本陣」は、中央自動車道大月ICを降りて大月市内に向かい、すぐ左にある旧家「星野家住宅」の呼び名です。
明治13年(1880年)明治天皇御巡幸の際に御小休所(おこやすみじょ)となった建物。大規模な本陣建築で当事の形態がよく保存されています。付属建築とともに宅地を含め、昭和51年に国の重要文化財に指定されました。
普段見学もできますが、年に一度、コンサートを開催して荘厳なたたずまいの日本建築の中で音楽や観劇等を楽しむという豊かな文化体験を提供してくれているのです。

星野家の床の間に掛けられた掛け軸。漢詩「楓橋夜泊」です。江戸・明治時代の文化の香りがたっぷり。
今回は星野家所有のお雛様にちなんで、「人形」をテーマにしたコンサート&芝居でした。コンサートは地元の大月市民合唱団と、日本のクラシック畑で活躍中の若手演奏家の皆さん。お芝居は大月市の至宝、「笹子追分人形芝居」と山梨県北杜市から松村雅子さんの主催するパペットシアター。

旧家の歴史を物語る歴代当主の写真が飾られた間に控えた笹子追分人形。
合唱を聞く、クラシック演奏を聞く、文楽の人形芝居を見る、西洋人形芝居を見る・・・それぞれ単体でも十分聞き応え、見ごたえがあるのに、それらが一同に会したものを堪能できるのです。それも荘厳なたたずまいの席で。スゴイ文化シャワーが降り注いでいる感じ。
さらに演奏会の休憩時間にティーコーナーが用意されて、この館の奥様の手になる手作りケーキやら大月市で作られたお酒などが供されます。

余談ですが、大月市笹子にある「笹一」という酒造は笹子の山の湧き水を使ってお酒を作っています。甲州街道沿いの「笹一」の「酒遊館」に立ち寄る方は、湧き水をもらって帰られますよう、ポリタンク持参でどうぞ。
なんだか、昔の西洋貴族の文化サロンにタイムトリップしたような気分。いや元へ。ここは江戸時代からの名主の家。日本の豪族の文化サロンにタイムトリップした気分、というべきでした。お茶とお菓子で喉を潤し、星野家に代々伝わるお雛様を目近に鑑賞し、そして星野家当主、天野さんの説明に耳を傾けました。

江戸時代からのお雛様。驚くほど傷んでいません。大切に保管されているのですね。

奥の男性がご当主、天野さん。ブレていて、顔がわからない?!そうなんです。カメラの腕も悪いけど、天野さん、動きが活発で、静止画像が取りにくかったの・・・言い訳です。
天野さんがほんとに「この星野家を活用することで地元の文化発展に貢献できたら・・・」と思っておられるのが、その活き活きした表情から、声から伝わってきます。国の重要文化財の家を維持すること、現代に生かしていくことに対して、前向きに取り組んでおられる、星野家当主の天野さん、そして毎年「花咲本陣コンサート」を主体となって準備されている大月市民合唱団の人々・・・。この人々の奏でるハーモニーが大月の町の文化を、ひいては山梨県の文化を押し上げていくのだな・・・。と感じながらほぼ3時間にわたるコンサートを聞き終え、幸せな気持ちで会場をあとにした私でした。
来年のコンサートも是非参加したいものです。ちなみにコンサートは昼・夜の2回持たれます。今回は昼の部に大勢のお客様がつめかけ、座る場所がなくやむなく入場制限をしたとのこと。夜の部のほうが席に余裕があるかも知れません。来年いってみたいなあ・・・と思われた方、開始時間には余裕を持って来られたほうがいいでしょう。
(山本豊美)