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野菜の日に

2008-08-31 21:07:26

8月31日は「野菜の日」。今日の朝日新聞朝刊の新聞広告に一面で大きく広告が出ていたので知りました。不肖私、今まで知らなかったのです、8月31日が「野菜の日」だなんて。
セカンドリーグの「シニアにとっての食育〜鎌倉の台所から〜」担当のリポーター、浅越さんは「野菜の日」を認識しておいででした。さすがです。浅越さんのブログ記事の写真の野菜たちの元気そうな姿にも惚れ惚れします。

野菜は写真もいいですが本日の新聞広告の水彩画による野菜とその花の姿には目を奪われました。「野菜は元気を咲かせます。8月31日は、野菜の日。」という語句を囲む野菜とその花たちの絵。水彩画でしょうね。

よく「我が家の小さな菜園でこんな南瓜が取れました」とかいった心温まるひと言を添えて出す絵手紙(絵はがき)というものががあるけれど、この広告の野菜画はそういう素人の下手上手(へたうま)の味を持った、いわゆる俳画ではなく、おしゃれな市販の絵葉書や便箋にありそうなプロの画。かといって綺麗になりすぎていない。
これ以上写実的だと植物図鑑の画になるが、かといってこれ以上抽象的(省略や誇張が加わる)だとファンタジックなイラストの分野に入ってしまいそう。
広告に描かれたどの野菜の画も花の画も見事だが、私が特に感心したのは茄子の果実の画。はじめ「これだけは写真?」と思ってじっと見入ってしまった。「そんなわけないよね。これも画ですよね」とつぶやいて、またさらに「ああ、美味しそう・・・」と見入ってしまいました。

この画とそこに添えられた説明文(親切なことに主たる産地まで書かれている)を一通り読んでからやっと、この広告主が誰なのだろうと関心がわきました。

画の右下に「キューピードレッシング」の文字があったので「ああ、調味料会社ね」と思い、左下には「全農」とあったので「ああ、昔は農協って言ったね、今JA。その全国組織ってわけね」と理解。そして「・・・でどういう広告なのかしら?」と考えました。

全農の記事の左下に小さく「8月31日、『食と農シンポジウム』開催!!」とありました。「これでは行かれないじゃん。8月31日の朝の新聞に、その日開催するものの告知を出しても、それ見てすぐ出かけられる人は少ないよなあ・・・」と、ちょっと残念。つまり私自身が行かれなかったから。

で、この一面広告からすると左下の小さな記載でしかない「シンポジウム」はどうでも良く(失礼!)、一番言いたいことは、「もっと野菜に親しんで!」ということだろうと思いました。そういう狙いだと、野菜の画と野菜の花の画を対にして載せたのは素敵なアピール方法だと思いました。

この広告を見ていてふっと思い出したのは、週刊朝日2008年6月6日号に内館牧子さんが寄せていたエッセー。
「暖簾にひじ鉄」という題の連載なのですが。この回の副題は「野菜の花」といいました。
内館さんの「暖簾に・・・」を私はよく、くすくす笑いながら読むのですが、この6月6日号の文は、読後私はしばし目頭が熱くなり、寒々とした物思いに沈み込みました。

皆さんに内館さんのエッセー全文をここに載せて紹介したいくらいですが、長くなるので省略。部分を引用して紹介します。

〜私がまだ会社勤めをしていた頃、初めて「歳時記」全五巻を丁寧に読んでみたのである。あの時はつくづく驚いた。各野菜の花が、季語としていちいち載っているではないか。(中略)私はあの時、日本人は脇役の「野菜の花」にまで目を配り、季節を感じ、愛情を持って見ているのだと、本当に圧倒された。日本人の細やかさや文化は、世界に誇れるものだと、心底思ったのである。・・・(中略)・・・であればこそ、各地で連続して起きている「チューリップ、パンジー虐殺事件」は、日本人が変質してしまったとさえ思わされる。・・・(中略)・・・弱いものを虐殺したということでは、四月に水戸市の千波湖で黒鳥五羽と白鳥二羽が殴り殺された事件もある。・・・(中略)・・・かつては野菜や果物の花、害虫にまで人格を認め、愛し、共に生きてきた日本人が、なぜこうなったのか。日本人はおかしくなった。
引用終わり。

私が内館さんのエッセーを読んで目頭を熱くしたのは、その正義感と優しさとそして、今更ながら大変な知性の持ち主だと気がついたことから。寒々したのは、内館さんの「日本人はおかしくなった」と結んだエッセーの裏に、内館さんの「今の日本人とその社会」への絶望が感じ取れたから。その絶望に共感したからなのです。

「座右の銘」というものがありますが、私はこの6月6日号の内館さんのこのエッセーを「座右のエッセー」にして暮らそうと思ったのです。

そんな私に「8月31日野菜の日」の広告の野菜の花の画は「日本人の感性の復活」を謳っているもののように思え、なんだか希望がわいてきます。

朝日新聞に載った広告は全農のホームページから見ることが出来ますよ。ホームページに入ってNEWをクリックするとあの広告が見られるようになっています。是非ごらんあれ!

それにしても、あの野菜画を描いた人は誰なのでしょう。全農さん、今度広告出す時は画の作者名も載せてね。(山本豊美)

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