pagetop

リポーターブログトップ > 記事詳細

山梨でキューバの都市農業を学ぶ

2007-04-03 20:46:26

3月25日、山梨県北杜市高根町にある古民家「輿水邸」で開催された「シネマ&トーク2007」を取材してきました。

0703251.jpg
道の駅南清里に近い住宅地にある輿水邸。豪壮な農家です。

この催しは北杜市で環境にやさしい農的ライフスタイルを追求しているボランティア団体「緑のネットワーク21」が毎年行っているもの。
今年は「ほくと未来ネットワーク」との共催で行われました。「キューバ有機農業の現場から」と題して第1部に映画「Salud!ハバナ」上映。第2部にお話と意見交換の時間ということで、知見邦彦さんの講演と参加者の意見交換が行われました。
映画「Salud!ハバナ」はキューバ都市農業レポートで、井坂泰成さんの監督・撮影・編集によるものです。

0703252.jpg
参加者25名ほど。風通しの良い古民家の座敷は寒いのですが、皆じっと座って熱心に学んでいます。

映画は、小林卓也さん、原田寛子さんという日本人の若者がキューバに出かけ、ハバナとその近郊の農業の様子を見聞し、農業を体験している様子を現地の人のインタビューも交えながら記録したものです。
日本にはあまり社会主義国キューバのことは知られていません。でも、10年ほど前から日本で農業に携わっている人々の中に「有機農業大国キューバ」に熱い視線を注ぐ人たちが増えてきました。

不肖私、リポーター山本も10年前、1999年に生協の仕事でキューバに出かけ、首都ハバナを中心に国内あちこち見聞し、特にコーヒー農園を訪問し農業者たちと交流してきました。
そのツァーの途上、首都ハバナの町の一角で、たまたま日本の農業者たちのグループとばったり出会ったことがありました。彼らは、私たちの生協で取引させていただいている、日本でも有数のパワーのある農業者たちだったので、私たちは異国の土地で、見知った顔に出会った喜びもあり、彼らにしばし合流し、日本人同士で盛り上がった時間を過ごしたのでした。

話が横道にそれましたが、そんなことで、日本の農業者がなぜキューバに熱い視線を注ぎ、何を学ぼうとしているのか、10年前のおぼろげな自分の記憶をつなぎ合わせながら、その問いの答えを今回の映画の中に、また続く講演のお話の中に見出そうと思いました。

なぜ日本人が(農業者だけでない)キューバに熱い視線を送るのか?
答え=いくつかありますが、まず、キューバは世界で1、2位を争う食料自給国であるということがあげられます。
亜熱帯で土地が痩せている。砂糖きびやタバコ栽培が主な産業で、長いことスペインやアメリカの植民地で、自国の農業で自国の人が食いつなぐなどの歴史が無かったのに、いまや世界に冠たる食料自給国になったことはスゴイ!と思われるのです。
また、50年近く大国アメリカの経済封鎖などの制裁に耐え続け、世界で独自の路線を貫いている国の強さに感動をおぼえる人もいます。

日本の農業者はキューバ農業の何を学びたいのか?

答え=いくつかあるようですが、まず、キューバでは農業者が他の職業と比較して、豊かな収入が得られるからです。
社会主義国キューバですから、どの職業についても、それほど収入に隔たりはないようですが・・・。
日本ではまず「専業農家で食っていくのは大変」というのが常識ですから。日本の農業者から見れば安定した暮らしの保証されるキューバ農業、キューバの国策に関心が行くのは当然ですね。

それと、キューバは自然農薬の研究開発の先進国であること。自然農法に関心のある人には逃せませんね。

10年前にキューバを訪問したときに現地で出会った日本のりんご生産者の方も「“ニーム”という防虫自然農薬に関心が沸いた」と言っていました。有機堆肥もキューバではミミズの糞を主に、いろいろ開発されているようです。

0703253.jpg
熱い国キューバの学習会なのに、私の寒い体は、横の部屋に燃えている囲炉裏の火を恋しがっていました。


知見邦彦さん(農林業環境問題研究会理事)のお話は、前段に上映された映画の補足説明にとどまらず「キューバとネパールで持続的農業を考える」という地球的規模のテーマでのお話でした。

お話の中で何回も出てきた言葉は「オルガノポ二コ」。
キューバの都市農業では、土が雨などで流れてしまわないように、板やスレートなどで囲った畑を作ります。日本でも自宅ベランダや庭に魚屋さんからもらってきた発泡スチロールの四角い箱を置いてそこに土を入れて野菜や花を栽培している光景を良く見かけますね。それをもっと大きな規模にしたものと考えればいいでしょう。
「オルガノポニコ」はこれから、日本でも定年後、趣味で農業をしたいとお考えの方に参考になるキーワードかもしれません。

0703254.jpg
輿水邸の土間から上がりはなにある浴室。レトロな外装に私はうっとり。「何でこんな上がりはなに浴室を作ったのか不思議でねえ・・・」とは、現当主輿水順彦(こしみず よしひこ)さんの話。

参加者の意見交換の時間には、高根町で農業を営んでいる生産者何人かが発言しました。
日本の「有機認証制度」の問題点・・・日本農業の実態との乖離・・・など、厳しい現場からの声が聞こえてきます。
自分と同じ時期に、農業への志をもってはじめた農業者仲間が、「農では食べていけない」と次々離農していく姿を見てきたという農業者の発言もありました。

でも、最後に司会の角野さん(高根町の農業者)が〆た言葉が印象的でした。「農業で食っていくのはギリギリだ。だけど、自分の体、家族の体を守るために、『日本の土に変なもの(化学農薬など)は入れられない!』という思いで作っている」「日本の土で作る事に意味があるんだ!」という言葉!
素晴らしい農業者です!熱い感動に満たされて高根町をあとにしました。(山本豊美)

この記事のURLコメント(1)トラックバック(0)

http://secondleague.net/user/006/006/cwtb.cgi/529

Posted by 山本豊美 at 2007-04-05 04:53:19

ほくと未来ネットワークのhalunet様。トラックバックをありがとうございます。キューバのカストロ・インタビューがBS1で深夜0時から放映されていたのですね。私も眠ってしまい見逃して残念です。録画するのも忘れていました。キューバという国の先見性については私も大いに興味があり、今までにいくつか本を買い、読んでいます。「シネマ&トーク」で知見邦彦さんが紹介していた本、吉田太郎著「200万都市が有機野菜で自給できるわけ」も持っています。他に首都圏コープ事業連合(現パルシステム)編「有機農業大国キューバの風」、大窪一志著「風はキューバから吹いてくる」、田中三郎著「フィデル・カストロ」など。それらの本全部きちんと読み込めば相当なキューバ通になれるはずなのですけれど、まだどれも斜め読みした程度。これから一念発起して完読したいと思います。

名前
メール
URL
コメント

▲このページの上へ戻る