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天蚕に魅せられて・山梨

2007-05-17 03:44:23

5月16日(水)晴れ。ドライブ日和。山梨県市川三郷町の「山保地区」に向かう。「天蚕(てんさん)に魅せられた人」小林さんに会うために。家を出発し国道20号をひた走ること2時間。甲府市内で市川大門線に入ります。「四尾連湖(しびれこ)」の道標を目標に30分。山保地区に到着しました。「耕して天に至る」という言葉がふっと浮かぶ風景。

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写真真ん中にある建物が小林貞雄さんの家の養蚕場。右の樹の陰に(見えませんが)生糸工場があります。

標高560メートル。山あいの斜面に張り付くようにして集落があります。めざす小林貞雄さんのお宅は山保地区の公民館のすぐ隣にありました。
家の玄関で挨拶すると、すぐに小林さんが出てきて、敷地の一角にある生糸工場に案内してくれました。

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小林さんが山梨県に頼みこみ、県からの助成金で建てたものだとか。現在は稼動していません。工場内を見学させていただきました。

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織機や糸繰り機が並んで置かれています。
奥の倉庫には繭を入れた袋や「てくず」の糸が入った袋がありました。
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一目見てみたいと願っていた「天蚕の糸」も保管の缶から出して見せてくださいました。

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小林さんと天蚕の糸。

緑色の糸。
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光沢が素晴らしい。天蚕の糸で織った布はなかなか染まらないそうです。糸が強いのです。そしてこの糸で刺繍すると他の刺繍糸の中では際立って目立ってしまうそうなのです。つまり輝きが違うということ。相場ではこの糸束一つで4万5千円ぐらいでしょうか・・・。

小林さんの話から〜天蚕の織り物の現状〜

○バイヤー側は「本物の天蚕である」というお墨付きを欲しがる。つまり消費者のブランド志向。(この糸の光沢を見たら一目りょうぜんなのに・・・と私なんかは思うが・・・)一反100万円以上する最高級の絹布なので宝石と同じで鑑定書がなくては・・・ということらしい。
○天蚕は山の中で生育する蛾の繭から作る出すもの。自然条件に左右され、一定した量産は不可能。
○天蚕の織ものは手織り。機械織りは出来ない。
○後継者がいない。昔小林さんのように天蚕の生産に携わっていた村人も高齢で次々にやめていきました。後継者は今のところ無し。小林さんも戦後からずっと60数年、農業を多角的に経営(鶏を飼ってブロイラーを売り、牛を飼って牛乳を売るなど)しながら、傍らで天蚕に携わって来ました。小林さん(82歳)は今でも意気盛んですが、如何せん、独力では・・・。

以上のような諸事情から、ここ山梨の山保地区のみならず今の日本では天蚕業が成り立っていません。ほんのわずかに天蚕を地域の記念物扱いにして学校で理科の学習で飼ったり、資料館で見せているといった形で残されているのです。
大変残念なことではないでしょうか。次回に続きます。(山本豊美)

この記事のURLコメント(4)

Posted by 山本豊美 at 2007-09-02 22:50:31

中塚様。コメントありがとうございます。市川三郷町の小林さんには8月中頃連絡を取りました。お元気で天蚕を追い続けられている由。「お盆過ぎに山へ入る」とのことでしたので様子をうかがったのですが、「今年は早かったので、もうこれから山へ行っても見る様なものはありません」とのこと。繭になるのが早かったようです。小林さんの後継者はまだ現れませんが、小林さんは「趣味ですので・・・」と悲観も焦りもない様子。
9月3日から東京農業大学で「ワイルドシルクフェスタ」が開催するという情報、ありがとうございます。是非取材に行きたいと思います。中塚様から励ましの言葉をいただき、また「シルク」を追う情熱が湧いてきました。好奇心のおもむくまま、目的に対して、散漫で、あちこち迷走を続けるわがブログ。ここで一つ示唆いただいた気がします。今後もよろしくお願いします。

Posted by 中塚 ひろし at 2007-09-02 17:45:50

 はじめまして。
 野蚕と市川大門に関心があります。
 8月31日は、福島県霊山で「全国天蚕交流セミナー」に行ってきました。
 9月3日からは、東京農業大学(世田谷区、馬事公苑前)で「ワイルドシルク フェスタ」が開幕します(9月30日まで)。
 期間中にぜひご取材ください。
 小林様の後継者についても、いろいろ情報を知りたいところです。
 ますますのご奮闘を祈念いたします。

Posted by 山本豊美 at 2007-06-03 05:57:12

柏樹民子さま、コメントをありがとうございます。ご返事遅れてすみません。天蚕の糸の織り込まれた着物をお持ちなのですね。素晴らしいですね。柏樹さまのおっしゃるように、天蚕は反物で身に纏う時が一番輝くと思います。着物を着る人が増えるよう、柏樹さまも努力しておられますね。着物を着るコツ満載のDVDビデオを創られたとは素晴らしい。自分一人で着ることが出来ればもっともっと着物への愛着を持つ人が広がるでしょう。そうすれば着物の原料(生糸)の生産者も復活しますね。そうです!生産者応援は消費者応援でもあったのですね!着物の消費者がもっと栄えんことを祈ります。

Posted by 柏樹 民子 at 2007-05-26 12:01:00

キープラネットのMLで http://secondleague.net/のご案内があり、こちらを知りました。

一昨年より身体が不自由になった母と暮らすため郷里に帰っています。東京におりました時に人形町で問屋をやっていらした方から天蚕を教えていただきました。

その糸の光沢に魅せられ、それが細い縞で入っている紬を見せられて、いつもは地味〜なものを選ぶ私ですが、その時は、天蚕の淡い黄緑を引き立たせる黄緑の反物を購入いたしました。

全部が天蚕の生地には及びませんが、小柄な私を充分華やかにして存在感を与えてくれます。

こちらに来てその着物に手を通す機会がないのですが、とても好きな一枚です。

URLをご覧になれば判ってしまうのですが、誰でも短期間できものを着るコツ満載のDVDビデオを創りました。
反物を身に纏う心地良さを多くの方に味わって欲しいと陰乍ら応援しています。

天蚕も、反物で身に纏う時、一番輝くように思います。
きものを着る人が増え、生産者の方も増える日がくることを願っています。

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