9月4日(火)から東京都世田谷区にある東京農業大学「食と農の博物館」で開催されている「
ワイルドシルクフェスタ」に行ってきました。
「ワイルドシルク」とは野生のシルクのこと。野生のシルクとして以前このブログでも取り上げました「天蚕(てんさん)」は知っていましたが、この展覧会場に来て見て「ワイルドシルク」野蚕の奥の深さを知り、まさに目からウロコの心境になりました。
世界中に多種多様な「繭を作る」昆虫がいてそれらを一まとめに「ワイルドシルク」と呼ぶのですね。
また、天蚕の取材時、日本の絹糸の産業の衰退、後継者不足の一端を見たことから抱いていた心細さがここで払拭されました。「絹糸=高級着物」という単一な思い込みに縛られていたのです。蚕のつくり出すシルクには、見た目の美しさのほかに、紫外線をカットする力、抗菌性などがあり、吸脂性もあることなどから、美容品、介護用品、医薬品に至るまで様々な分野に用途が考えられ研究されているのです。会場にはそれらの製品もたくさん展示されていました。これからの日本の絹糸産業の新たな地平を見せていただいた気持ちでいっぱいになりました。
今回の「ワイルドシルクフェスタ」を紹介してくださったのは、「
野蚕広報センター」の中塚さんです。会場でお会いすることが出来、展示の解説をしていただきました。このブログを借りて御礼申し上げます。
今回の「食と農」の博物館を会場にしたフェスタは私にとって、スケールも手ごろと言いますか、じっくり見て楽しむには適当な規模でした。
9日は特別講演「ワイルドシルク繭からの糸紡ぎ」が開催され、
加藤幸子さんによる講演と糸紡ぎの実演、そして参加者による糸紡ぎ体験がありました。

糸紡ぎの機械は長野県の農村の女性たちが使っていたものを加藤さんが譲り受けたものだそうです。
60年ぐらい前まで、日本の養蚕の盛んな農村では、田んぼの作業が休みとなる農閑期に、女性たちがこの機械を使って夜なべ仕事で糸を紡いでいたという事です。

長野県生まれの私ですが、はじめてみる機械でした。

加藤さんの作品。野蚕の繭を貼り付けて作られたバッグ。繭そのままを使うというアイデアが新鮮ですね。

多孔性の茶色の繭も暖簾のフリンジにぶら下げるとこんなに面白いインテリアに。

奥にあるのは野蚕の繭。その繭の糸を紡いで作られた織物の数々。

ざっくりした風合いが素敵なバッグ。いわゆる「クズ繭」からこんなに美しい製品が生まれるのです。

タサール蚕(インド産)の繭。これで作ったベッド用シーツは抗菌性が高く、肌に優しいため、床づれなどしにくいため介護用にも良いそうです。

ムガ蚕(インド産)の繭から紡いだ糸。繭を先ほどのような糸紡ぎ機械で手で紡いだものです。

ウスタビ蛾の作る緑色の繭。この繭は硬くて手で紡いで糸にすることは出来ません。でも濃い緑色の繭は魅力ありますね。ただ今用途を研究中だということです。

会場の一角で、シルクのコースター作りの実演をしていました。誰でも参加でき、簡単です。シルクの土台に草花を置きその上に薄くシルクを被せて、水を吹きかけます。そして当て布(手ぬぐい)をし、アイロンで押し付け乾かすだけ。

子どもたちもこうした体験参加が出来るのでこの展覧会は家族で楽しめますね。私も一枚作って見ました。家に帰り使ってみますとわりあい水をはじくコースターで紙で作られたコースターとの違いを感じました。改めて絹の特性のあれこれに思いを馳せました。
「ワイルドシルクフェスタ」は、シルク製品の美しさや感触のよさに魅入られている女性には必見。
そして昆虫に懐かしさを覚える(子どもの頃、蝶や他の昆虫の標本を作ったなあ・・・などという記憶のある)男性にも、昆虫と人間の親しい関わりを再発見出来る格好の展覧会です。
「食と農の博物館」にあるレストランで、期間中にメニューに載せているシルク入りのシフォンケーキも是非お試しあれ。
「ワイルドシルクフェスタ」期間は9月30日(日)まで。月曜休館。(山本豊美)