前回は「
山梨県富士工業技術センター」の五十嵐哲也さんに甲斐絹の名品を見せていただきながらレクチャーを受けたことを報告いたしました。
今回は甲斐絹の真髄「ほぐし織り」の生産現場を見学させていただいた内容を報告します。
山梨県郡内(ぐんない)の甲斐絹産業は、甲斐絹の最盛期から現在に至るまでの歴史で、もともと都留が生産・流通の中心だったのが、しだいに富士吉田へと移っていったそうです。
五十嵐さんの案内で富士吉田市小明見にある「舟久保織物」さんの工場を見学しました。
舟久保勝さんはここの3代目のご主人。昔から織物工場は家族経営が主です。32年前からの機械も現役で活躍しています。

柄を染め上げた経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を織り込んでいく。これは傘の生地を織る過程。

柔らかな柄の輪郭線は「ほぐし織り」ならではの特徴です。

舟久保さんの工場で織られた布が骨つけ専門の工場に送られ、出来上がった洋傘。
ここで作られるのは「ほぐし織り」の洋傘とネクタイ。ネクタイの図柄などはアイデアをパソコンのフロッピーに入れ込むと、30分で織りあがってしまうのだとか。

「ほぐし織り」は「まだまだ工夫の余地があり面白い世界です」と語る舟久保さん。
五十嵐さんらとアイデアを出し合い、世界に売れる日本の洋傘を作り出そうとしています。
世界に売れる傘とは、伝統の絵柄を取り入れることももちろんですが、富士山を斬新にデザインしたものを作ったりしています。私はここに「浮世絵」の「東海道五十三次」の富士山の画を連想してわくわくしました。
でも「浮世絵」の絵柄そのままの富士山ではなかったようでした。企業秘密もあることから、アイデアをここに紹介することは出来ませんが。
工場は、昔と違って今は、特に忙しい時期というものはないのだそうです。政府が音頭を取った「クールビズ」の普及でネクタイの需要が減ったことも関係あるそうです。

織り糸は傘に使われるポリエステルは国産。

生糸は中国産が使われています。
甲斐絹にルーツをもつ昔からの製法を受け継ぎ、そこにどんどん新しいアイデアや製法を加えて生産の現場を守る舟久保さん。仲間の郡内の織物生産者たち。
最近起こっている動きとして、日本製の生糸(それも甲斐の国の)を使用した甲斐絹の製品を作ろうという動きがあることを、五十嵐さんのレクチャーから伺っていました。
舟久保さんたちの頭の中にあるいろんなアイデアがヒット商品を生み出し、それによって、それに喚起されて、日本の生糸の生産が復興する日がいつか必ずやってくる気がしました。
世界中に日本の遺産「甲斐絹」の素晴らしさを広めたい!まずは私たちから甲斐絹にルーツをもつ甲斐の国の織物を暮らしに取り入れていく贅沢をちょっとやることでその後押しになると思います。
パルシステムでも時々取り扱かう「
モンブランヤマグチ」さんの「ほぐし織り洋傘」。以前このブログでもお伝えしましたね。
9月21日付けのブログ。あのときは「モンブランヤマグチ」さんのブログに載っている傘があまりにきれいだったので、「素敵なマイ傘欲しいな!」ってただ夢中でした。でも今回自分で生産現場を取材してみて、複雑で丁寧な幾つもの行程を経て作られている事に驚嘆し、さらには、日本の誇る「浮世絵」の美を受け継いだものであること、日本人の美意識に感じ入りました。
美しいもの手にし、美しい伝統を守る。そんな暮らし方、していきたいですね。(山本豊美)