pagetop

リポーターブログトップ > 月別の記事一覧

女性の羊飼い達(メーメー母さん)

2006-11-28 13:02:47

いよいよシリーズ最後は日本のホームスパンの進化を支えてきた“縁の下の力持ち=羊飼い”を紹介します。

日本の羊飼い達が本気になって国産羊毛のグレードアップに取り組んで16年ほど(シンポジュームより)、それまで英国より何ケ月もかかって船便で送られた来た羊毛しか知らなかった私達にとってギューギューに押し詰められた羊毛とは雲泥の差、艶やかに輝くようなクリンプス(カール)はまるで初雪を掌に頂くような感動でした。

出逢って無くてはならない存在となって久しいシゲ子さんは富士の裾野で夫とともに羊を育てて20数年。農大で羊を学んだお二人です。一頭ずつに「ムッチ」「パッチ」「姫」「黒姫」等など、名付けられ愛おしまれ、それはそれは美しい輝くようなステイプル(房)の羊毛を蓄えた羊ばかりです。織物教室では、各々の作品を「○○のブランケット」、「△△のマフラー」などと呼び合い愛着のほどが忍ばれます。羊の年譜のように作品を作り溜めている生徒さんも…。

そしてもうひとつのは、北海道は弟子屈、奥春別原野で羊を育てるチエ子さんの牧場です。彼女は産まれも育ちも関東で、若かりし頃広告会社で仕事をし同僚だった夫と共にアメリカに渡り、帰国後北海道の地を選んで移住したという経歴の女性です。夫と共に出版するグラフ誌は、美しい北国の風景が空から大地から語りかけるように迫り、おおらかな大地そのもののような静かで豊かな文章が読んでいて心地良い冊子です。出版のかたわら育てている羊たちの毛は織物教室の生徒さん達とモニタリングよろしく作品作りにいかさせてもらっています。

こうして羊が取り持つ縁が有機的に繋がり、これからもそれぞれの角度から有機的に『羊WORLD』を育てていくことでしょう。

この記事のURL

2.内弟子時代そして「アトリエ風舎」の日々

2006-11-21 02:00:41

20代半ば、英国の伝統織物“ホームスパン”の修行を決め、二年先のその日が来るのを心待ちにしていました。思いがけず順番が早まり26歳の春に工房通いが始まったのです。無給の内弟子修行に際し、入門料、交通費、手弁当、そして独立後に仕事を始めるための織機、紡ぎ車、染織器材、羊毛や糸等の原材料購入にわずかな貯えをあてるとギリギリのスタートだなあ、と思いつめていた自分がいとおしくさえ思われます。

1年〜2年の修行の日々を共にした弟子仲間の前歴はカメラマン、新聞社勤務、横笛修行、新卒とさまざま。当時は月〜土勤務は当然の時代。同じ釜の飯仲間と学んだ「若き日の苦労(などと思った事はなかったけれど)」によって、あれから30年この仕事に活かされ、鍛えられ、そして癒されてきました。辞めたいと思ったことは一度たりとも無く、今も“この仕事が好き!”と思いながら仕事ができる私はきっとしあわせ者…。

この記事のURL

〜英国の伝統織物(ホームスパン)を日本で継承する私達〜

2006-11-06 19:58:22

 1、織の道にいざなわれて
ふとした時に思い出す事があります。今から30年余り前の
こと。ニート、フリーター対策が叫ばれるこの頃、彼等彼女
等の心情を察する時に、真っ暗な明かりの見えない闇の中で
次なる仕事を捜しあぐねていた頃の自分の姿が重なります。             
                                              新卒の私が社会人としての第一歩を記したのは児童館。地域             の子供達との日々はそれは楽しく、幼児から「セン公ぶっ飛             ばしてえ!」と叫ぶ中学生までを相手に、下町の人情にドッ
プリ漬かり地域に開かれた児童館を地で行っていたのです。
が、お役所仕事に変わりなく、想いと現実のギャップに健康              を害し病休に入り、そして退職。                          
                                              
休暇中に陶芸、染織の現場に赴き技を覚えながら次なる仕事             を捜し続けた日々。20代半ばの出口の見えないトンネルの             中で、やっと出会えた「ホームスパン」という英国の手紡ぎ             手織りの毛織物。越後上布、絹織物の産地に生まれ育った私            に、思い出の中に息衝く和の布とは異なる英国紳士の雰囲気             漂うツイードの服地を手仕事で創り出す工房の内弟子入門が             許されたのです。先生御夫妻の下に学ぶ、5人の弟子仲間と の輝ける(?)一時代を記してみようと思います。                
                                         
                    (矢口 峰子)                                                                     

この記事のURL


▲このページの上へ戻る