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「のんびる」取材日記〜里山に遊ぶ〜

2007-01-25 14:46:51

「越生町緑とせせらぎを守る会」取材より              ’07.1.19

秩父山系の裾野に豊かな里山に抱かれた小さな町、越生があります。埼玉のどん詰まりに歴史と文化が息付いている町。秩父連山縦走のアプローチに、早春の梅林の散策にこの町を訪れる人の数は少なくありません。春霞の梅林風景は安野光雅の絵のように、まるで水彩画のような平和な光景です。

その町に突然降って湧いた「桜の郷・彩花苑」構想。これは100万人の花見客を呼ぶ大観光地をつくる目的で、大高取山の尾根を削り谷を埋め立てて何万本もの桜を植えるという計画でした。それまでに文字通り緑とせせらぎを守る生き方や活動を行ってきた会が立ち上がり、県を相手にこの計画をストップさせる運動がはじまりました。今から6年前のことでした。

この地で農業を営み、環境運動の中心となり活動を支えてきた俵山さんに聞きました。越生町の中心にある大高取山にはきれいな湧き水の沢があり、30種近い絶滅危惧種を含む800種以上の植物が生育し、ムササビ、ニホンリス、キツネなど多くの野生生物が活発に活動していました。そこに100万人の花見客を呼ぶ大観光地を造るため大高取山の尾根を削り、谷を埋め立て何万本もの桜植えるという計画でした。会は環境調査を進め、自然環境を守るために県に計画の基本的な見直しを求める活動を行いました。住民、研究者らの調査の結果大高取山一帯が人口密集地にもかかわらず、奇跡的といえるほど豊かな自然が残された地域であることも分かりました。

この活動により県は計画の撤回を決定、以後会は継続してこの里山の動植物の調査や環境の保全活動を続けています。そして椎の北限の2種、オオタカ(天然記念物)の営巣が確認され、会は保存のためのフィールドワーク、定例観察会を行っています。「桜の郷」構想がもたらした禍福の効果といえるのでしょう。

一月、厳冬の最中とは言え里山歩きはちょうど良い運動でした。フィトンチットたっぷりの山道をいのししの堀跡や、狐、狸のけもの道を確認し、木々の芽ぐみや野鳥のさえずりを楽しんだ贅沢な時間でした。山頂での昼食にはサプライズの日本酒が振舞われ「のんびる」取材のゴージャスなプレゼントでした。

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スローに働く、スローに暮らす!2

2007-01-18 20:32:05

「できるかな?ジョブ・シェア」
スローワークの実現のひとつの方法として英国のジョブ・シェアを紹介します。この方式、英国では公務職場を中心に働き方の選択肢として定着しています。大学の常勤講師の英国人男性と3歳の息子と暮らす30代の日本人女性は、同僚の女性と週37時間の労働時間をシェアしています。月・火・水と木・金の週を交互に繰り返す方法です。賃金、国民の祝日も半々にシェアします。

こうした働き方が導入しやすい条件として、フルタイム労働自体が柔軟なフレックス制だということ。つまり必ず職場にいなければならない時間が決っておりそれ以外は朝の7時から夜の7時までの間、本人の判断で実労働時間が週37時間に達していればよいのです。

英国でこのような裁量労働制が実現できたのはどうしてでしょう。2年前までは労働時間が週40時間以下のEU諸国の中で、英国は週43時間労働と最も労働時間の長い国でした。週60時間以上働く労働者も多く残業手当も支給されないという状況があったのです。サッチャー政権時代に低下した公的サービスの向上を図る政権交代後のブレア政権は、1998年EUの指令を受け週48時間の労働時間規制を受け入れました。

女性の職場進出が進む中、家庭や育児との両立や長時間労働などに関する制度の変革が迫られ「育児休業制度」「ジョブ・シェア推進」などの法整備のほか、TUC(労働組合会議)も賃金からワーク・ライフ・バランスへと取り組みを広げました。さらに「労働が終わってから次の労働開始まで、最低11時間空けなければいけない」という規定はEUの指令によるもので、英国のワーク・ライフバランスも欧州全体の生活重視による規制が背景にあるのです。

この国のワーク・ライフ・バランスは残念ながら働き過ぎと失業、ワーキングプア、若者の非正社員化など適正労働とは言い難いのが実情です。老いも若きもスローワーク、スローライフが現実になる道筋が見えてくることを望みたいものです。

*「スローワークの経済学」(参考文献)「スローワークで社会を変える」(講演録)
  『くらしと教育をつなぐWe』より          (矢口 峰子)

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スローに働く、スローに暮らす!「できるかな?ジョブ・シェア」

2007-01-18 12:59:10

スローに働く、スローに暮らす…スローライフ、スローフードはようやく耳に馴染んできましたが働き蜂・日本人には夢のような話です。しかし、“カローシ”が国際用語になるほどの今、この国の働き方は何とかしなくてはいけないところに来ています。

過労死の中高年男性(近頃では20〜30代男性も)と仕事にありつけない若者のフリーター、ニート達。このアンバランスを正す方法として“スローワーク”の実践を紹介します。

まず、スローワークの基本として「人間には労働=働いてお金を得る他に、食事、睡眠などの“再生産の時間”そして“余暇時間”、さらに家事育児、介護などお金にならないが必要な仕事“無償労働=アンペイドワーク”の時間」があります。このバランスを欠いて長時間労働をしている現実を変えるgood ideaとは?

日本の大手企業は「大量生産、大量販売」を旨とし、猛烈なCM攻勢の続く中で過労死に至るほどの働き方があります。スローワークはその逆を行く!あまりにも当然?でありますが…。いらないものを無理に売り込む手段として工業デザインが必要とされている現実に違和感を覚え、大手企業から女性たちが起業に転身しリサーチの結果、雑穀食を売る仕事をおこしました。ほかにも激烈な競争の市場に参入するのではなく“欲しい人がいるのに手付かずだった分野を発見し必要なものを売る”という姿勢でスローワークを続ける女性たちが増えていると感じます。

また、スピードを競う働き方に馴染まない統合失調症の人たちが暮らす北海道の「べてるの家」では、体調のため「ファースト」ではなく独特のスローな労務管理メニューが創られています。現実に合せ、短時間、がんばらなくても働ける働き方を開発しました。自分の体調の急変や、それをうまく伝えられないストレスから症状の悪化をまねくなどを考慮し“三度の飯よりミーティング”を行い「スローな市場」を開発しました。通院の折りに病院への届けもの(商店の代行)や地場産業の日高コンブの袋詰めなど地域の手薄な隙間労働を請け負う方法が地域のニーズにマッチしている「スローワーク」といえます。                     (矢口 峰子)

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