いよいよシリーズ最後は日本のホームスパンの進化を支えてきた“縁の下の力持ち=羊飼い”を紹介します。
日本の羊飼い達が本気になって国産羊毛のグレードアップに取り組んで16年ほど(シンポジュームより)、それまで英国より何ケ月もかかって船便で送られた来た羊毛しか知らなかった私達にとってギューギューに押し詰められた羊毛とは雲泥の差、艶やかに輝くようなクリンプス(カール)はまるで初雪を掌に頂くような感動でした。
出逢って無くてはならない存在となって久しいシゲ子さんは富士の裾野で夫とともに羊を育てて20数年。農大で羊を学んだお二人です。一頭ずつに「ムッチ」「パッチ」「姫」「黒姫」等など、名付けられ愛おしまれ、それはそれは美しい輝くようなステイプル(房)の羊毛を蓄えた羊ばかりです。織物教室では、各々の作品を「○○のブランケット」、「△△のマフラー」などと呼び合い愛着のほどが忍ばれます。羊の年譜のように作品を作り溜めている生徒さんも…。
そしてもうひとつのは、北海道は弟子屈、奥春別原野で羊を育てるチエ子さんの牧場です。彼女は産まれも育ちも関東で、若かりし頃広告会社で仕事をし同僚だった夫と共にアメリカに渡り、帰国後北海道の地を選んで移住したという経歴の女性です。夫と共に出版するグラフ誌は、美しい北国の風景が空から大地から語りかけるように迫り、おおらかな大地そのもののような静かで豊かな文章が読んでいて心地良い冊子です。出版のかたわら育てている羊たちの毛は織物教室の生徒さん達とモニタリングよろしく作品作りにいかさせてもらっています。
こうして羊が取り持つ縁が有機的に繋がり、これからもそれぞれの角度から有機的に『羊WORLD』を育てていくことでしょう。