セニア・カー「MIO」
少々、時間が経ってしまいましたが、10月下旬にアメリカからやってきた新聞記者のグループにアテンドして幕張で行われた東京モーターショウに行きました。
プレスデイだったのでメディア関係者だけが来ていて、ベンチのそこここで、持参のパソコンに記事を打ち込んでいる姿が見受けられました。
世界中からの新車やコンセプトカーが展示され壮観でした。福祉関係の車両はほとんど展示されていませんでしたが、シニア用のカート、スズキ・モーターの「MIO」が普通の乗用車ばかりの中で特に印象に残りました。
最近街中でも電動車椅子を使っている障害者をよく見かけますが、今回モーターショーで見たセニア・カーは一見スクーターのようなデザインです。わたしが非常に興味を持って見ていましたので、スズキの電動車両担当の福森さんがご親切にこんな説明をしてくださいました。
デザインよりも何よりも画期的な違いは燃料電池で走る点です。従来は鉛蓄電池だったので20km走ると充電しなければならなかったのが、ダイレクトメタノール型燃料電池に置き換えて、4リットルのメタノール燃料を搭載し、60kmの長距離走行が可能になりました。カセット式の補助燃料ボトルの装着もできて短時間での燃料補給も可能となり、燃料切れの不安も解消されました。運転用のパネルも非常に見やすくて高齢者でも容易に運転できそうです。
ご存知のように燃料電池は環境にも優しいし、高齢化社会で、元気で行動的な高齢者が増えている現在、安心で快適な外出のサポート役として役立ってくれるだろうとのことです。来年はモニターをしてから実用に踏み切ることになるようです。私も車を運転しないようになったらこんなセニアカーのお世話になるのかなと思いました。
その時、横でやはり熱心に見ていた車椅子に乗った方が、「燃料電池はいいですが、ハンドルといすの間が狭すぎてわたしには乗れませんね。足が伸ばせません。」といわれました。短足のわたしが乗ってみたら、ちょうどいいのですが、なるほど背の高い男性だったら足がつっかえるかも知れません。声をかけてくださったこの男性は、バリアフリー環境・福祉車両ジャーナリストのふるかわ年明さんです。
ふるかわさんは福祉車両を沢山見ていらっしゃるし、ご自分でも使用していらっしゃるのですぐ気がつかれたようです。スズキはきっと高齢者の平均的な体格に合わせて開発しているのでしょうが、大柄な高齢者もいるわけですから、開発というのはなかなか難しい問題ですね。高齢者と障害者のニーズは共通な部分もあるでしょうが、そうでないところも多いでしょうから、やはりどこにターゲットをおくかということになるのでしょう。そして、スズキはこれを高齢者向けに開発したのでしょう。改めてバリアフリーとユニバーサルデザインを考えるべき機会を与えられた気がします。よいヒントを与えてくださったふるかわさんとご親切な説明をしてくださった福森さんに感謝します。
今年のモーターショウはおかげでとても有意義になりました。
(徳重 富士子)