古賀美帆さんの朗読会で読まれた本『ハチドリのひとしずく』
セカンドリーグの公式ブログの冒頭の『情報ボックス』で紹介されていた古賀美帆さんのミニ朗読会に行きました。古賀さんは朗読ボランティアのグループを指導したり、「のんびる」の校正を受け持ったりと実に多彩な活動をなさる方で、しかもすばらしい詩をお書きになる詩人です。以前古賀さんの朗読を聞いてとても感激したので、今回も飛んでいきました。
三軒茶屋の『ギャラリーつきや茶房』が会場です。20人も入ればいっぱいになるようなカフェですが、暖かい家庭的な雰囲気で、オーナーはこの朗読会のためにこの日の午後は貸切にしています。部屋いっぱいの聴衆は今日は全員女性。平均年齢はシニアに近いようです。休憩を入れて約二時間の今日の朗読プログラムは、
『最後だとわかっていたなら』ノーマ・コーネット・マレック作 佐川睦訳
『ろくでなしのサンタ』浅田次郎「鉄道員(ぽっぽや)」より
『ハチドリのひとしずく』南米アンデス地方に伝わる小さいお話ほかです。
古賀さんの落ち着いたこころにしみる声の朗読を聴いているとどれもこれもみんなジーンとしてしまい、すべてをご紹介したい本ばかりですが、とりわけ『ハチドリのひとしずく』の中の一言、“私は、私ができることをしているだけ”が強烈な印象を心に残してくれました。
ハチドリはご存知の方も多いと思いますが、北米から中南米にかけて生息する体長わずか10センチほどの鳥で、花の蜜を主食として空中でホバリングしながら静止して蜜を吸い、「ブーン」とハチのような羽音を立てるため、ハチドリと名付けられました。英語でも、その羽音からハミングバード(Hummingbird)と呼ばれています。
これは南米の先住民に伝わるわずか17行の短い物語です。主人公はハチドリのクリキンディです。森が火事になって燃える中、生き物たちはわれ先にと逃げています。
でもハチドリのクリキンディだけはいったりきたりして、くちばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としています。
それを見た動物たちは「そんなことをして何になるんだ」と笑います。
クリキンディはこうこたえます。「私は、私にできることをしているだけ」
物語はこれでおしまいです。でもこの言葉を聴いて私は、はっとしました。日ごろ、環境問題を意識はしていても、地球はこれからどうなっていくのだろうと気にはしていても、私は何をしているかと考えた時、このクリキンディのように自分でできることをしているだろうかと反省しました。小さな力の積み重ねがやがては大きな力になることを観念的には知っていても日ごろの生活で実践していないことを恥ずかしく思いました。
この本は文化人類学者・環境運動家の辻信一氏が監修し、その友人であるカナダの先住民族ハイダのマイケル・ニコル・ヤグラナス氏が絵を描いています。この短い物語の後にクリキンディのように「私ができることをしている」沢山のハチドリたちが紹介されています。
そしてはからずも、「のんびる」1月号ののんびるインタビューで取り上げられているセヴァン・カリス=スズキさんもそのハチドリの中の一人として紹介されていました。カナダ生まれの日系四世のスズキさんは12歳のとき環境会議「地球サミット」での6分間のスピーチが「伝説のスピーチ」として世界中に紹介されました。現在も環境活動家として活躍中です。
「私は、私にできることをしているだけ」という朗読会での古賀さんの柔らかい落ち着いた声が今も耳元に響いています。
<ご参照ください。>
『ハチドリのひとしずく』 辻 信一 監修(光文社)
『のんびる』1月号 (パルシステム生活協同組合連合会)
『最後だとわかっていたなら』 ノーマ コーネット マレック 作 佐川 睦 訳 (サンクチュアリ出版)
(9.11同時多発テロのあと世界中が涙した感動の詩)
『うたう』 古賀 美帆 著 (文芸社)
(朗読をした古賀さん自身の詩集:身の回りのことを詠いながら古賀さん自身の温かい落ち着いた生き方が心に響き共感する詩集です。)
(徳重 富士子)