『のんびる』の取材でちばMDエコネットの経営するコミュニティカフェ「ひなたぼっこ」をたずねた。知的障害者が社会の中で障害のない人と共生をという理念のもと、地域の人たちの交流の拠点となるカフェを開き、障害のある人たちがない人と共に働いて、しかも、地域の人たちとの交流も図っている活動を目の当たりに見た。このカフェについては、『のんびる』創刊準備号に掲載されるので、ここではその会報誌『じゃなかしゃば』について取り上げたい。
知的障害のある子に普通の学校で障害のない子と一緒に教育を受けさせたいという母親たちがNPO法人ちばMDエコネット(MD=Mental Disabilities、エコネット=環境改善のネットワーク) を立ち上げた。子どもたちを普通学級へという母親たちの熱い思いは行政・学校を動かし、子どもたちは小学校、中学校、そして高等学校で障害のない子達と共に机を並べて勉強し、沢山の友達を作って卒業した。その間、地域清掃活動や農園での作物作り、そして子どもたちの学校生活を撮りつづけたドキュメント映画「ひなたぼっこ」を製作し文部科学省選定・千葉県推奨優良映画に指定された。卒業後、障害のある若者が障害のない人たちといっしょに働ける場所をとコミュニティカフェ「ひなたぼっこ」を開設し、共に働く場所であると同時に、地域の人たちの交流の拠点にもなっている。20年以上の活動の経験を生かして、障害児、障害者そしてその家族が「自分らしく地域で生きる」ノーマライゼーション相談事業も行っている。
ちばMDエコネットは会報「じゃなかしゃば」を年間10回発行している。創刊当時、水俣病患者を支える活動をしていた人の提案により、「じゃなかしゃば」と名づけられた。水俣地方の方言で、「じゃなか」は「今のようでない」(「そうじゃなか・・・」)、「しゃば」は娑婆、「世の中」という意味。 障害のある子とない子が共に育つことのむずかしい世の中をかえたい、「今のようでない世の中」を実現したいという熱い思いを込めたものだ。
B5版で表紙を入れても白黒の8ページのものだが、ノーマライゼーション相談事業や講師を招いての自主研修のスケジュールのお知らせや報告、農園日記、コミューニティカフェ「ひなたぼっこ」からのお知らせと実に充実した内容が掲載されている。山田理事長の晶生くんを育てて26年の深い思いも連載されている。どのページも読み捨てに出来ない愛情が溢れているのには山本千枝子編集長の暖かな目を感じる。そして何よりもどの記事も肩肘を張らない、さらっとした、それでいて心がほっと温まる気持ちにさせるものばかりだ。この運動に携わってきた人たちの「障害があってもなくても共に生きよう。」という熱い思いがしみじみと伝わる会報である。
(徳重 富士子)