〜『もっと優しい旅への勉強会』9月定例会より〜
『もっと優しい旅への勉強会』9月定例会で「アメリカ短期留学記」のテーマでお話を聞きました。講師は畠山尊子(はたけやまたかこ)さんです。畠山さんはNPO法人「ともに生きる」(
http://www.normanet.ne.jp/~tomoni/)の理事長を務めておられます。
畠山さんはこれまでも車椅子で積極的に旅に出ていらっしゃる方で、海外旅行もお好きでいらっしゃるようですが、少し腰をすえてアメリカに滞在してみたいと考えられ、昨年10月に一ヶ月の短期留学をなさいました。以下、ご講演の概要です。
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7月から準備を始めました。インターネットで留学情報を調べているうちに日系アクセシブル・インフォメーション&サービシーズ(NAIS http://blog.goo.ne.jp/nais6247)を知りました。NAISはロサンジェルスの日系社会に住む障害者や高齢者、日本からの障害者を支援しているNPOです。当初、よく知られているUCLAを留学先にと考えていましたが、NAISの「巨大都市のような大学でなくこじんまりとした方がよい」というアドバイスで、カリフォルニア州立大学リバーサイド校を選びました。次の難問は書類作成です。複雑な内容を読み取って必要事項を記入しなければなりません。何度もメールのやり取りをして入寮や学科選びなどその大変さに、一時はあきらめようかと考えたこともありました。
知人に「アルク」に相談したらどうかといわれ、相談をした結果、申し込みはすべて代行してくれて、質問もアルクを通してでき、しかもこの代行料金は振り込み料(約5000円)を除いて無料でした。アルクは学校からマージンをもらうからだとのこと。後は航空券です。出来るだけ安いという事も重要な条件ですが、車椅子を大切に扱ってくれる航空会社を考えました。日本の航空会社に勝るものなしとわかって、結局、JALをえらびました。JALプライオリティサービスに連絡し、電動車椅子を持参するものの、機内では機内専用のものを使いました。空港でも機内でもスタッフの細やかなケアに日本も成田も捨てたもんじゃないなと思いました。
空港でNAISの担当者に迎えられ、UCR Extension Center (カリフォルニア大学語学校)の寮に到着。いよいよ一ヶ月の留学生活が始まります。寮には、カフェテリア、地下には電子レンジ、コインランドリーもあり、TV、冷蔵庫、たんす、バス、トイレのすべてか揃っている車椅子対応の部屋、快適な生活ができました。
クラスメイトはタイからの女子高生2名、台湾から男性ひとり、日本の主婦がひとりです。待望の授業が始まりました。朝の九時から4人の先生が入れ替わり立ち代り講義をしてくれます。宿題を山ほど出す先生、アメリカの文化、生活の紹介、日常生活に必要な会話、映画、ゲームと、あっという間に時間が過ぎてしまいます。寮と教室が同じところだったので移動の必要がなく、楽でした。月〜木は授業、金〜日は有料ですがツアーがあって、ディズニーランドなどを楽しみました。
1990年、アメリカでは、身体的・精神的な障害を理由とした差別を禁止した「障害を持つアメリカ人法(Americans with Disabilities Act; ADA)」が制定されましたが、学校にはリフトバスがなかったり、車で10分のスーパーマーケットへ行くのに大きいバンしかなかったり、シャワーチェアがなかったりと、ハード面が整えられているとは、思えませんでした。が、いったん必要と分かったら、バンには抱えて乗せてくれるし、次回からはセダンを用意してくれるし、リフトバスも備え付けてくれたしと、たちまち、ソフト面が働いて充実させてくれるのには嬉しくなりました。
学校の周りにはなにもなく、散策も一人ではしないようにといわれて、親切な台湾からの同級生ゲイリーがよく一緒にお散歩にいってくれました。そのとき、私が日本から持参したヤマハ簡易電動車いすがかなり注目されカタログまでほしいという人もいました。アメリカは広いから電動を持って来てよかったと思います。
ハロウィーンの季節には、仮装パーティーにも参加して日本では味わえないアメリカらしい一面にも触れることができました。
何からはじめたらいいか分からないけど、とにかく行きたいという思いに突き動かされての短期留学でした。以前、脳性まひの方が3ヶ月間ひとりで留学をした例がありました。デイサービスをしている家でのホームステイができたという幸運もあってこれが可能となったのですが、重い障がいがあっても「行きたい」という強い思い、熱意と努力があれば道は拓かれます。「アメリカでの生活をしたい、英語を覚えたい、体力がないからゆっくりとした旅にしたい」という思いででかけて、親切にされ、何にも替えがたい沢山の想い出も得て、みなさんには本当に感謝しています。
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こう結ばれた畠山さんの顔は本当に美しく輝いて見えました。障がいがあってもこんなに生き生きと生きられるのだというお手本を見せていただきました。畠山さんも『優しい旅への勉強会』の会員になられたとのこと、これからも生き方のお手本を見せていただけると思うととても楽しみです。
<エピローグ>勉強会が終って、畠山さんは車でお帰りになられるとのこと、外へ出て、車までご一緒させていただいたら、車椅子をたたんで車にしまって運転席に乗られるまでを見せていただいて更に感激しました。お許しを頂いて写真を撮らせていただきましたので、ご覧ください。
車を開けて、松葉杖を出して身体を支えながら、今乗っていた車椅子のタイヤをひとつずつはずし、
最後に重そうな車椅子のボディも松葉杖で支えながら車にしまいます。
その手際のよさ、お見事です。
「この車椅子はスエーデンのパンテーラで8キロなので私でもこれができます。車のおかげで自立して行動できるのよ。」とにこやかに乗りこまれ、「じゃ、またお目にかかりましょう!」と颯爽とエンジンをかけて手を振って帰られました。車が見えなくなるまで、畠山さんのおっしゃった数々の言葉を頭の中で反芻していました。
(徳重 富士子)