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観光地のバリアフリー・・・2006年祇園祭山鉾巡行の前後

2006-07-24 11:15:39

大雨の中の山鉾巡行、ああ、動く美術館も雨の神様の前には降参!日本有数の観光地京都・奈良のバリアフリー状況は?

7/17の山鉾巡行をはさんで、京都で医学会が行われ、私はアメリカからの教授夫妻にガイドとして一週間アテンドした。仕事でさまざまな観光地を訪れる機会はあるが、今回は特にバリアフリーの視点から観光地情勢を垣間見た。

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<空港編>
羽田空港も関西空港もさすがにハード面は整っている。遠い搭乗ゲートへ障害者や高齢者を送るカート(電気自動車)はいつでも稼動できる体制で待機している。搭乗ゲート前の待合のソファにも優先席の表示のついた椅子が沢山ある。でも、おやおや、座っているのは30代、40代の若いサラリーマン風の人たち。出張前から疲れているのね。優先席を必要とする人が来たら彼らもきっと席を譲ってくれるでしょうと期待したい。搭乗案内のアナウンスも高齢者や障害者を優先している。勿論、車椅子の一人旅もスタッフのケアーで問題なさそうだ。

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<ホテル編>
京都でも一流のホテルが学会会場だったので、合間に色々と探索した。トイレは車椅子でも入れるところが少しはある。駐車場はベルボーイに聞いたら約二百台中障害者用は入り口に近い3台だけとか。バリアフリーの部屋は?と聞いたら大恐縮して「まだ用意しておりません。」とのこと。他のホテルまで調べる余裕がなかったが、まだまだなのかなという気がした。最近、ビジネスホテルが障害者用の駐車場や部屋を普通の形に改造して当局の取締りを受け、新聞をにぎわしたが、法令としてどうなっているのか、きちんと知りたいと思った。アメリカのある州では障害者用の駐車場に一般車をとめると罰金を課せられると聞いているが、このホテルの障害者の駐車位置には最新のポルシェがとまっていたし、障害者のマークもついていなかった。でも、こんな見方をしているとなんだか、意地悪ばあさんになった気がしてしまう。
後から一泊した奈良の格式高いホテルは新館はエレベーターやエスカレーターがあるが、よい部屋のある本館は階段だけしかない。昔アメリカで古い格式あるホテルがそうだったのを思い出した。
便利さと伝統の維持、難しい問題だ。

<祇園祭宵山編>
7/17の山鉾巡行の前に、各街角でライトアップされた山鉾を見る宵々々山、宵々山、宵山がある。
この宵々々山に日本人の先生方と一緒に我が教授夫妻も同行したが、朝のラッシュアワーの満員電車の冷房装置が切れた状態とご想像あれ!京都の夏は湿度が高いとは知っていたが、全身自分の汗でシャワーを浴びたよう。自分の意志で進むことも出来ずただただ押されるだけ。浴衣で着飾ったお嬢さん方もさぞや暑かったことだろう。高齢者や車椅子なんてとても無理。祭りとはこんなものかもしれない。

<山鉾巡行編>

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祇園祭のハイライト山鉾巡行の当日は先日とは打って変わって、活発な梅雨前線で土砂降りとなった。この伝統行事はどんな天気でも(暴風雨は知らないけど)日取りは変更しないとのことで、予定通りの時間に始まった。有料観覧席をとっておいて貰ったが、何せ雨ざらしのベンチ。邪魔になるという理由で、傘をさすことも許されないから、先生方は急遽沿道のレストランへ。お祭り値段のランチを食べながらの巡行観覧となった。
15世紀、16世紀に作られた重要文化財、中には江戸中期の円山応挙の描いた天井画など国宝級の鋒が、かわいそうに、ビニールをかけられて動いている。江戸時代に輸入されたペルシャじゅうたん風の綴れ織りも何重ものビニールで絢爛豪華な模様は何も見えない。山鉾を引いている人たち、本当にご苦労様。千年以上の歴史を持つ祭りの維持伝承の大変さをつくづく思った。これが晴れていたらいたで地獄の暑さだったろう。熱射病で倒れる人も出たかもしれない。自然の力の前に人間は屈せざるを得ない。バリアフリー以前のことだ。

<観光地編>

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今回の教授夫妻は京都には過去何回も来ているので、一般的な寺社仏閣には行かなかった。「哲学の道」を散策し、その後立ち寄った「白沙村荘」(橋本関雪記念館)の日本画家関雪自身が設計し石造美術をそこここに配した日本庭園は静かで京都の市街地にいることを忘れさせるものであった。池の周りを廻って歩くのには足元が危ない高齢者でも、関雪が創作に取り組んだ画室は一般に開放されているのでそこから庭の趣を眺めることができる。これは貴重なバリアフリーだと感じた。

一方、奈良は初めてとのことで法隆寺、東大寺と廻った。法隆寺は敷地が広い上に砂利道も多く車椅子の移動は制約がありそうだ。東大寺は写真にもあるようにきちんとスロープが作られ車椅子対応が出来ている。

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春日大社は大雨になったので中止したが、私の知る限りでは途中までは車でいけても本殿までの石段にはスロープがないのでアプローチは難しい。日本の神社仏閣は高いところに建てられていることが多く、階段が多い。日光東照宮の陽明門前も階段を上らなければ本殿に入れない。車でぐるっと回る道はあるかとかつて聞いたことがあるが、「ありません。」との返答だった。

<fujiのつぶやき>
バリアフリーの視点から漠然と考えたことはあっても、こんな風に真剣に見つめたのはこの度が初めてであった。普通の都市でのバリアーはハード面ではかなり改善されてきているようでも、観光地はまだまだである。歴史的・伝統的建造物を保全しつつ、誰でも皆共に楽しめる環境作りを考えたい。
もう一つ、大きな点は言語のバリアーだろう。京都や奈良のような観光地として進んでいるところは案内板などもかなり整備されているし、観光スポットのパンフレットも数ヶ国語でかかれていて海外からの観光客も不便を感じないで済む。
しかし、何よりも大事なのは、人の心。訪れる人たちは、その場所の自然・伝統文化を大事にし、尊重し、理解したい。そして受け入れる人たちは、一時的な観光収入に目をくらまされることなく、自分たちの大事な観光資源を持続しつつ「もてなしの心」を持って、外から訪れる人たちを如何に受け入れるかを念頭において、観光振興に励んで欲しい。その両方の心が合致した時、真のバリアフリーが生まれるのではなかろうか。

(徳重 富士子)

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