そば打ち
オーストラリアからのグループ一行が東北一周をするツアーにアテンドしました。夫婦7組と女性2人の計16人の平均年齢は75歳前後、10人が日本大好きのリピーターです。したがって、ツアーの行程もありふれた観光地をさけ、日本体験が含まれたものになっています。その中から山形そば街道でのそば打ち体験と津軽こけし館でのこけしの絵付け体験を二回に分けて書きます。
山形県村山市には、「そば街道」と呼ばれるそばの専門店が並ぶ地域があります。板のような器に地粉でうったそばを供するので板そばと言われます。その中の自分でそばをうち、茹でて、食べるという体験をさせてくれるお店に行きました。
日本旅行は4回目という人たちもいるグループなので、おそばがどんなものかは当然知っていますが、さすがにそば打ちは初めての経験です。みんなバスの中からわくわくしていました。到着して手を洗ってエプロンをしたら、すぐに始まりました。まず、こねる作業からです。水加減に気をつけながらしっかりとこねます。楽しそうに、でもとても真剣にこねていました。
次に、麺棒を使ってのします。これが難しい。なかなか円になりません。この店のご亭主が先生役でとても指導上手、「大丈夫、心配しないで。」と、のしているうちにひん曲がった人をも、励まして手伝ってあげて直してくれます。
「さあ、次に切りましょう。」という先生の声にいっせいに包丁を取って、定規を当てて切っています。太く切る人、細めの人、太い細いが入り混じっている人と、上手下手はありますが、あまりおしゃべりもせずに一生懸命切っています。
「ほら、上手に切れたよ。」と大喜び。
大なべに煮立ったお湯で茹でるのも自分たちでします。茹で加減はさすがに先生に見てもらっていました。後、冷水で洗うのも手際よくしていました。
本来、板に載せるのですが、量がおおすぎるので、今日はざるに盛り付けることにしました。お店の奥さんがお座敷のテーブルの上に揚げた野菜のてんぷらも出してくれました。
ずっと立って作業をしていたので、畳に座ってやれやれという顔をしています。日本びいきといえども、さすがに正座はできなくて、みんなテーブルの下に足を投げ出しています。自分たちで作ったおそばと思うと、感無量なのでしょう。しばし、黙々と食べていましたがそのうち、そば打ちの工程を思い出して、あの人はのし方が上手だったとか、切り方が太さをそろえにくかったとか言っています。
日本体験は、こんな風に無事に楽しげに、行われました。でも、その最中のみなさんの実に真剣な顔つき。美しくさえみえました。異文化への興味は異文化の壁を簡単に乗り越えていました。日本のよい思い出となることでしょう。 (徳重 富士子)