このところ豪華客船のショアー・エクスカーションを担当する機会が多いです。日本の港に入港して船から半日なり日帰りでツアーに行くお客様のお相手をします。
今回はクイーンエリザベス号に負けず劣らずのイギリス船籍(三菱造船が建造)の豪華客船サファイア・プリンセス(2600人の乗客)のエクスカーションを横浜港と鹿児島港で担当しました。人数が多いのでバスも三十数台の大口で、お客様のリクエストでさまざまな観光地へと行きます。そのなかで鹿児島でのツアー『薩摩半島のたび』(7時間)へのエクスカーションをバリアフリーの視点からご報告したいと思います。
一台のバスに約40人が乗ります。船旅をする人たちの平均年齢はかなり高く、65歳以上と思われます。当然、杖はもちろん、車椅子の人も多いのが船の乗客の特色です。日本の団体旅行よりその比率はずっと多いと思われます。
薩摩半島では、知覧の武家屋敷・長崎鼻・池田湖・薩摩焼の陶芸窯とかなり盛りだくさんのプログラムをランチを含めて七時間で回ります。武家屋敷は江戸時代の島津藩の家来たちの屋敷です。まだ子孫たちが生活しています。普通の屋敷ですが外城(とじょう)と呼ばれる守りの堅いつくりを誇りにしています。敵が攻め込んでくるのを想定して、入り口の門の足元は強い武士でも走りこもうとすると引っかかって転ぶようなつくりになっています。庭園は桜島の火山灰を敷いてあります。
車椅子の人たちは、だいたい配偶者に押してもらっています。駐車場からの道は問題ありませんでしたが、屋敷に入るのが大変です。杖にすがって立ち上がって時間をかけて門のバリアを超えます。まさしくバリアフリーのま反対です。でもあきらめないでひとつでも見ようとする意欲には本当に感心させられました。周りの人たちもそれをごく自然に受け止めて、必要なときに何気なく手伝っています。障害者が日常の生活のなかで活動することについて当たり前という、欧米の歴史の長さを感じました。そして障害がある人たちも卑屈になったり遠慮したりしないでごく自然に振舞うのです。
長崎鼻や池田湖の自然の中はもっと道がごろごろしているところもありましたが、根気よく参加していました。この前向きの気持ちがこの人たちの明るさの理由なのでしょう。
東京では、最近ノン・ステップバスが多くなりましたが、ここの観光バスは昔ながらの高いステップで、普通の乗客でも踏み台がほしいほどの高さです。観光誘致をするならこんなところにも配慮がほしいと思いました。ランチでよったホテルはさすがにスロープやエレベーターが設置されていました。
社会には本当にさまざまな人が共生しているのですから、みんなが住みやすいような工夫が必要です。それをみんなで考えられるようになるといいなと思います。
(徳重 富士子)