<第五日目>
東北道を走って平泉中尊寺へ。バスを降りて舗装こそしてあるものの、かなり急な傾斜の月見坂を登って中尊寺境内へ入ります。中高年の日本人団体が多いですが、修学旅行の学生もたくさんいて広い境内がかなり混雑しています。
目玉の金色堂は敷居が高くてとても車椅子は通れそうにもないので、受付のおじさんに尋ねたら、少々むっとした顔で、「ちゃんと係りに言ってくれたら車椅子の入り口へご案内します。」といわれました。でもどこにあるのか教えてくれません。表示のひとつでも出しておけばいいのに。
中尊寺の建物そのものにも階段があるので、高齢者にも結構大変でしょう。どこかにスロープがあるかと見回してみましたが、目に入りません。又叱られそうなので聞くのをやめました。ぐるっと回ってかなり長い坂を下ってバスのいる駐車場へ。その前にある道路を渡るのに交通が激しいからか、歩行者用の地下歩道が設けてあるのですが、階段だけ。車の行き交う道には横断歩道もなく階段を歩けない人はどこを渡るのかしらと思います。
駐車場そばのお土産屋兼レストランで昼食。二階の席へ案内されました。エレベーターやエスカレーターはありません。気になる「洋式トイレは?」と聞いたら、「階段下りて隣の建物の奥。」という返事。まったく!と口の中でつぶやいて、行ってみました。本当に階段を下りてちょっとだけですが外を歩いて、隣の建物に入って、ごちゃごちゃ、お土産を売っているところを通り抜けてその奥にありました。六つほどのトイレの一つだけ洋式。まあ、ないよりはましだけど。
観光地ってお土産を売るのが一番大切で、トイレに行く人たちの前にも関所のように立ちふさがっているようです。午後から八幡平に上るので皆さんにここでとりあえず出発前に行っていただかねば。
昼食を済ませてちょっとお土産屋をのぞいて、八幡平に出発。東北道の松尾八幡平ICからアスピーテラインへ。東北はどこもかしこも美しいですが、ここアスピーテラインはことさらすばらしいです。ぶなやとどまつの原生林と遠くに岩手山が見えて、改めて自然の偉大さを感じます。
二時間ほどのドライブで見返峠。ここから頂上まで往復約40分ほどのハイキング。バスから一歩出てびっくり。冷たい風がほおを切ります。半分のメンバーが歩くといっていたのが、屋根のツララを見ておそれをなし、ギブアップ。結局、男性二人とガイドの私の合計3人だけが登りはじめました。登山道はしっかりと整備され標識もきちんと出ていたのですが、とにかく寒いのです。なかなかの坂道なのでもっとゆっくり上りたかったのですが、あまりの寒さに身体を動かさないでいると凍えそうなので、はあはあしながら登りました。途中美しい沼が二つ、八幡沼とガマ沼です。ちょっと雲がかかってはいましたが岩手山が展望台からきれいに見えました。沼のそばの木はもう樹氷になっています。
頂上までもう少し。がんばって歩きました。
八幡平頂上(1,613m)という標識が見えてやれ嬉しと思っても、とにかく寒いのでゆっくりしていられません。ちょうど登ってきたハイカーにシャッターを押してもらって記念撮影後、すぐ下山。
駐車場でバスに飛び込んだときはほっとしました。残りのメンバーは駐車場の売店で温かいコーヒーを飲んで悠然と待っていました。ドライバーさんによると「ただいまの気温0度。」寒いわけです。昔、スコットの南極での遭難を英語のテキストで読んだのを、はからずも思い出してしまいました。
鹿角(かずの)八幡平から十和田湖までは紅葉のアーチの中を走りぬけるよう。私たちの頬も赤く染まるのではないかというほどです。
早くお風呂に入って身体を暖めたい、そればっかりでした。チェックインして今日もやれやれ。
<第六日目>
今日は皆さんお待ちかねの奥入瀬渓流ハイキング。全長14kmですから、普通に歩いても5時間以上かかります。部分的に歩くことにしました。バスで「阿修羅の流れ」で降ろしてもらい、「石ヶ戸」まで45分歩きそこで待ってもらったバスに拾ってもらうという計画です。紅葉の時期はバスを止められるかどうかと心配顔のドライバーさん。何とかよろしくと頼んで出発。SさんとYさんはバスで「石ヶ戸」に先に行ってることになりました。
奥入瀬の秋は本当に美しいです。岩に砕ける水しぶきと周りの色づいた木々の葉のコントラストは、自然の造形。いったい誰がこんなに美しいものを作ったのかと改めて思います。
渓流沿いの道は平坦で歩きやすいですが、やはり杖をつきながらでは、無理がありそう。SさんとYさんには車窓からで我慢していただくしかありません。
ゆっくりと写真を撮りながら渓流沿いを歩いて「石ヶ戸」に着いたら、ちゃんとバスも駐車する場所を見つけ待っていてくれました。先行部隊のSさんもYさんもバスから出て、渓流のそばまで行ってました。よかった。みんなそれぞれの形で楽しんでくれました。今回のツアーのハイキングはこれで終了です。
バスで「子ノ口」まで戻って、湖上遊覧。
50分の遊覧のあいだ、岸辺や小さな島々の紅葉をみなさんも思う存分満喫されました。ツアーのハイライトも無事終わりました。
<第七日目>
チェックアウト後、八甲田山麓をドライブして青森市内へ向かいました。途中酸ヶ湯温泉を過ぎて駐車場で又トイレを探しました。売店のおばさんに聞いたら、ずっと遠くを指差して「あそこに車椅子用のトイレがあるよ。」と教えてくれました。今日は今まで恵まれていたお天気がついに小雨と強風に変わってしまい、あんな遠くまで皆さんを歩いていかせられません。気のいいドライバーさんに頼んですぐ近くまでバスで行ってもらいました。ひとつの車椅子用トイレをみんなで順番に使いました。ここは洋式といっても水洗ではありません。
でも、下が見えるようなものではなく、臭いもしなくて助かりました。ただ冷たい風が下から吹き上げて、寒い、寒い。お尻が風邪を引きそうでした。今回はいろんなトイレを経験しました。
山麓の紅葉も見事でした。ここは黄色を中心とした林の連続です。黄色にも濃淡があって美しいのです。
ねぶたの里で、展示されている屋台を見、三内丸山遺跡に立ち寄りました。津軽三味線と津軽民謡を聞きながら津軽の郷土料理で最後の夜を過ごし、別れを惜しみました。
<第八日目>
この8日間はなんと速く時間が経ったことでしょう。ここでは、トイレのことばかり書いていましたが、もちろん本来のツアーの目的である東北の秋を楽しむという基本はしかっり達成できました。ずーっとバスという密室で一緒だったこともあってみんな本当に身内のように仲良くなりました。私よりちょっと年上の方たちのいきいきとした老後の過ごし方も学ばせてもらいました。この方たちは旅行をしていないときは、家庭でかなり手作りのものを作ることに時間をかけ、インスタントや冷凍食品好きのアメリカの主婦という印象はぬぐわれました。もしかして今は私たち日本人のほうがデパチカヘ行っておかずを買っている率のほうが高いかも。私も深く反省してます。そして教会にまじめに通い、ボランティアに励むという古きよき時代のアメリカ人の生活をまだしているようです。
心配りのいいツアーリーダーも気のいいバスのドライバーさんもみんな仲良くなりました。このツアーは大成功だったと自画自賛です。
青森空港から羽田に飛び、又の再会を誓いつつ、お別れしました。本当によいツアーでした。
(徳重 富士子)