『生涯現役』のキャッチフレーズのもと
高齢者・障害者等が、お互いに助け合い豊かに楽しく安心して暮らせる街づくりに寄与することを目的に、会員制の有償ボラティア
NPO法人「あびこ・シニア・ライフ・ネット」が立ち上げられたのは、平成14年のことでした。佐々木敏夫理事長(73歳)は「現役を卒業して、コミューニティ・ビジネスの講座で学び、折角勉強したのだから、何かに活かそうと思ったんです。はじめは中高年者対象のパソコン支援グループを設立しました。」と回想します。平成17年にはNPO法人資格も取得しました。
シニア向けのパソコン講習会を開いて、その講習会だけでは習得しきれない人たちを訪問指導をしているうちに、「庭の草取りをしていたら腰を痛めちゃってね。」とか、「換気扇の掃除を業者に頼むと高いね。」などの声が聞こえてきました。そこでシニアの日常生活のニーズのサポートとして庭木剪定、家周辺の便利屋、防犯対策機器・火災報知機の取り付けなどにまで活動を広げました。
「現役を卒業したら、もう地域の人間でしか生きていけないんです。それだからこそ、地域の役に立つことを考えたかったのです。」と佐々木さんは熱い思いをこめて言います。
活動拠点と人材
現在、活動会員30名、利用会員240名で、利用会員は口コミで月に3〜4名ずつ増えています。集会拠点となっている「あびこ市民活動ステーション」は県の施設の「けやきプラザ」の一部を我孫子市が借りて市民活動の場として提供しているところです。現在、事務局は佐々木理事長の自宅においてありますが、近い将来、会員がいつでも自由に立ち寄って情報交換できるような「常設コミュニティーサロン」併設の事務所を設置することが当面の大きな目標です。
取材当日、この「あびこ市民活動ステーション」に佐々木理事長初め4人の理事の斉藤氏(72歳)、秋山氏(66歳)、丹羽氏(67歳)、牧野氏(64歳)がお集まりくださいました。
組織が見事に出来上がっており、各理事は活動グループごとに配置されています。この会の会員は、現役時代何をしていたか、どんな地位にあったのかは一切問わず、語らずの原則を貫いていますが、ほとんどの人がベッドタウンの我孫子から都心に通勤していた勤め人で、パソコン、庭木の剪定、便利屋活動など、必要な技術は、定年退職後、趣味として培われたものとのこと。しかし、そのレベルはプロ並みで、高い評価を受けています。活動分野が男性向きなせいか、女性活動会員は30%しかいないので、受付事務、犬のお散歩その他など女性向活動分野を広げることが目下の課題のひとつになっています。と同時に「利用会員数が口コミでどんどん増えているので、需要に応じるため活動会員を増やさなければなりません。」と佐々木理事長はいわれます。
我孫子市には退職者が地域で活動するようにと斡旋するインターンシップ制度があります。市民活動支援課がインターンとして受け入れる団体を紹介するのです。「あびこ・シニア・ライフ・ネット」も受け入れ団体のひとつとなっています。前任の我孫子市長(任期満了で新市長に交代)は地域の振興をはかり「あびこ・シニア・ライフ・ネット」の活動を市民活動のよい例としてよく取り上げたそうです。
なぜ有償ボランティア?
「私がボランティア活動を始めたころは、役所を初め、世間がみんなボランティアは無償であるべきという考え方でした。一度二度のうちは無償でもいいのです。でも度重なるうちに、支援を受ける側にしてみれば、なにかお礼をと考え始めるし、ボランティアする側はなぜ無償で?・・・と考え始めて活動がうまく進まなくなることがあります。そこで私たちは会員となるための入会金を払い、活動の対価として1時間1,000円を利用会員に支払ってもらい、活動会員は得た報酬の10%を会に還元するというシステムにしました。」(佐々木理事長)
活動現場
活動現場を見せていただきました。
庭木の剪定
閑静な住宅街の一角で活動会員の山中さん(66歳)が高い木に登って剪定作作業をしています。切り落とした枝をまとめる手伝いをしているのは会の事務局長で会報の編集もしている鈴木さん(67歳)。山中さんはもともと庭仕事が趣味だったのが、退職後、本腰を入れてすっかりプロ並みの腕前となりました。このお宅は、口コミで「アシラネ」を知って利用会員として登録してから、山中さんたちに仕事をお願いして、その腕前に感服し、すっかり気に入られたそうです。
千葉県けやきブラザふれあいホール受付
女性活動会員の伊藤さんがにこやかな笑顔で受付に座っています。センターとのコラボレーション活動で、会から人材を派遣しているのです。理事の秋山さんも時々受付に座ります。
犬のお散歩
老夫婦のHさんのお宅で娘さん家族の柴犬の子犬を預かっていましたが足の悪いHさんは、柴犬がどんどん成長するので散歩させられなくなり、アシラネに相談しました。上記の伊藤さんが日を決めてお散歩をしてあげるようになって、Hさんは大変助かっているし、犬も伊藤さんを待ち焦がれるようになったそうです。伊藤さんは「最初犬の散歩をと聞いたとき躊躇しましたが柴犬と聞いたとたんokと言っていました。我が家にも柴犬が15年間居て沢山の思い出があり、『あの子に会える』がこの仕事を引き受けた要因です。柴犬の『太郎』は賢い犬で散歩中に吠えたことは有りません。飼い主の仕付けがしっかりしていたおかげだと感謝しています。『太郎&飼い主&私がハッピー』を目指し、散歩に行っています。」と言っていらっしゃいました。
会報『アシラネ』
季刊会報誌『アシラネ』(あびこ・シニア・ライフ・ネットの頭文字)を発行し、会員間のよりよいコミューニケーションを図っています。インターネット接続可能な会員にはインターネットで、それ以外の会員にはボランティアが各家のポストに投げ込みをして全員に読んでもらっています。その内容は理事会からのお知らせ、活動報告、活動会員・利用会員双方の活動に対する感想、豆知識とA4両面のコンパクトな紙面ながら実に充実しています。
会員名簿
美しく調えられた会員名簿を見せてもらいました。なんと活動会員と利用会員がすべて通し番号で並んでいます。入会順だそうです。
<fujiのつぶやき>
活動していらっしゃる皆さんのなんとはつらつとしたお顔つき。もう一度青春を取り戻したような雰囲気です。「現役を卒業」なさった方々が「地域に生きる」とは、かくあるべしのお手本とお見受けしました。日本中にこのような笑顔があふれる地域社会が次々と生まれますようにと切に祈ります。
(「のんびる」4月号掲載予定)
(徳重 富士子)
特定非営利活動法人「あびこ・シニア・ライフ・ネット(通称アシラネ)」DATA
我孫子市及びその近辺のサポートしたい方、サポートを受けたい方、下記までご連絡ください。
事務局:〒270-1165 我孫子市並木9−5−12
Tel :04-7182-5719 Fax :04-7182-5719
E-mail :tsasaki1@jade.plala.or.jp
URL :http://www.abikosln.org/NPO/
集会拠点:〒270-1151千葉県我孫子市本町3−1−2
けやきプラザ 10F あびこ市民活動ステーション
活動拠点:我孫子市とその周辺地域
創設:平成14年 発足 / 平成17年NPO法人化
理事長 :佐々木 敏夫