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日本聞き書きボランティアの実践場面

2007-04-01 23:08:36

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ブログで12月5日に取り上げ、『のんびる』12月号にも掲載された「日本聞き書きボランティア協議会」の実際の聞き取りの場面を見せていただく機会を得ました。「日本聞き書きボランティア協議会」は“人は物語を創り、その物語のなかで生きていく。「聴く」ことは分かちあうこと、「書く」ことは自分を知ること。人は必要とされてはじめて、生きることの意味を発見する。”の信念のもと、お年寄りが語る人生を聞き、手作りの冊子 〜『世界に一冊しかない本』〜 を作って贈る「聞き書き」のボランティア活動をしています。代表の秋山希美子さんは「聞き書き」は傾聴の延長線上にあるとの信念から活動し、時には認知症の改善につながった経験もお持ちです。

どのようにして高齢の方から何十年も前のお話を聞きだして繋いでいくのか、皆様に是非お伝えしたいとおもいます。
今回の「聞き書き」活動は代表の秋山さんと内藤さんが担当していらっしゃいます。秋山さんと内藤さんは何年もの間、組まれて「聞き書き」のボランティアをしていらっしゃいます。活動の場所は、横浜の有料老人ホームです。聞き取る相手のお年よりは、94歳の中村博子さん。このホームに入居なさって2年9ヶ月になります。息子さん一人と娘さん二人があり、入居までは二番目の娘さんの隣りに暮らしていましたが、ガスなどの扱いが心配な状態になって、ここで暮らすことになりました。

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中村さんのお部屋にお邪魔しました。

「中村さん、はじめまして。中村さんのお話を伺いに参りました。」ニコニコと、秋山さんが話しかけます。娘さんのお話によると、中村さんは認知症まではいかないけど年齢なりに物忘れがひどく、自分の過去なんて話せるかしらとの心配があるようです。年齢、子供のこと、亡くなったご主人のことなどを何気なく聞き始めました。

「ご主人てどんな方でした?」「しずかな人でしたよ。めったに怒りませんでした。」これから始まって、中村さんは上海でお見合い結婚をしたこと、ご主人の仕事のことまで説明し始めました。女学校を出てからイギリス系のパブリックスクールで英語を勉強したおかげで、戦後日本に引き上げてから、子供の学費の足しにと英語の通訳を始めたことなどを上手に聞き出しました。もちろんまともな順番で話が出てくるわけではありません。あっちに跳んだりこっちに戻ったりする話を秋山さんは何気なく話し相手をしながら聞きだしています。一方内藤さんは相槌を打ちながらメモを取っています。テープレコーダーもまわしています。二人の娘さんもそばで聞いています。

聞き書きとはなんと根気の要る仕事でしょう。笑みを絶やさずに温かにやさしい口調で話しかける秋山さんと内藤さんに、中村さんは初対面であるにもかかわらず、すっかり打ち解けていました。一時間で初日は終わりました。「あまり長いとお年よりはつかれますから。」と秋山さん。このような形で一週間に一回ほどの聞き取りが始まりました。

二回目は、「昔の写真があったら、持ってきてください。」という秋山さんのリクエストで、娘さんたちは自分たちの七五三や幼稚園、小学校入学記念写真などを持ってきました。中村さんは娘さんたちの写真を判別しながら、「これは上の子、これは下の子、この子は弱かったのよね。」などと感想めいたことを言います。娘さんの七五三の着物の刺繍の説明までしています。娘さんによるとこの数年はあまり昔のことは言わなかったようですが、なるほど、写真てこんな効果があるのです。それも秋山さんたちの上手な引き出し方のおかげです。あっという間に一時間が過ぎてしまいました。

秋山さんが三回目を予定していたとき、中村さんは原因不明で高熱を出して入院してしまいました。結局、腎盂腎炎だったと分かり抗生物質を点滴して二週間で退院しましたがまだ、食欲も元気もなく、聞き書きを再開できないでいるとのこと。秋山さんは後3〜4回は聞きたいといってらっしゃいますので、中村さんの回復が一日も早いように、そして秋山さん方の『世界でたった一冊の本』が完成されますようにと祈っています。

(徳重 富士子)

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