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バリアフリー旅行学術論文

2007-04-23 00:58:15

先日、知り合いがバリアフリー旅行の論文を見つけて教えてくれました。本格的な学術論文なのでそうたやすく取り上げられるものではないのですが、世の中にはこうしてきちんと学術的に体系化して、私が目指そうとしているものを整理していらっしゃる方が居られることを知り心から感嘆し、かつ励まされました。ここではほんの概要だけをご紹介させていただきます。

財団法人アジア太平洋観光交流センター(http://www.aptec.or.jp/)は、毎年観光に関する学術研究論文を募集しています。平成17年度第11回の一席に入賞した論文が、『当事者からみたバリアフリー旅行の実証的考察 −旅行環境のバリアフリー化と旅行介助の軽減に関する研究−』でした。(http://www.aptec.or.jp/kakonyuusensha.htm)

この論文は、草薙 威一郎さん(JTMバリアフリー研究所<http://www.tourism.jp/unit/accessible/>所長 )と 勝矢 光信さん(江戸川区福祉電話相談員)のお二人によってかかれたものです。

1991年から2003年までの12回、電動車いす旅行を行い、障害者の旅行とその介助の経験をとおして、この12年間で、社会環境のバリアフリー化が障害者の旅行にどのような変化をもたらしたかを実証的に検証したものです。このころ日本は、ハートビル法や交通バリアフリー法、福祉のまちづくり条例などによって、社会環境のバリアフリー化が急速に進んだ時代でした。

この中で、草薙氏と勝矢氏のお二人が、公共交通機関を利用する電動車いす利用者とその介助者として、これまでの旅行体験を振り返ると、困難な旅行が多かったと書いていらっしゃいます。

進行性筋萎縮症で、筋力が失われていき、20年前から電動車いすを利用している障害者とその介助者の検証記録です。歩行は不可能ですが、食事、着替えなど日常の身の回り動作については、少しの介助だけで独力で済ませられるかなりの自立度を保った方です。

旅行目的地は国内・海外の両方にわたっていますがこの論文では国内のバリアフリーをテーマにしているので、国内旅行のみに絞っています。北は北海道から南は奄美諸島まで、驚くほどの広範囲に及んでおります。検証を始めた1991年と2003年の比較をすると大都会のバリアフリー化は非常に良く進んでいますが、地方の空港や駅はまだまだといってます。これは私がガイドとして気付いているのとまったく同じ結論だったので、私も意を強くしました。神社仏閣の坂や階段が障害者にとってはいまだに大きなバリアであるという検証もまったくその通りと思いました。公共施設や宿泊施設の手すりやスロープなどもすべて具体的に数値を出して検証し、まとめてあるので、学術論文としての信憑性、説得力に感銘を受けました。私は感覚的・感情的な見方をしていたと深く反省しました。

そして、お二人の論文の中での「バリアを越えてでも旅行しようという行為は、今日的な意味での安楽な『旅行』ではなく『冒険レベル』のものであった。今日の高齢時代を迎え、障害のある人の旅行が特殊・冒険ではなく、誰もがごく普通に楽しめるものとなるには、旅行環境のバリアフリー化をより進めるとともに、旅行介助の特殊性の分析、旅行介助のシステム化を行うことが必要であると思われる。」という結論には心から賛同し、私もこの視点でバリアフリーをもっと深く考えていこうと心を新たにしています。

草薙さん、勝矢さん、もう一度バリアフリーを考える新たな機会をおあたえくださいまして有難うございました。この場をお借りして心より御礼申し上げ、お二人の更なるバリアフリーのご検証を伺わせていただけることを楽しみにしております。

(徳重 富士子)

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