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春うらら 東北ツアー (5の4)

2007-05-16 00:16:44

(在米数十年のシニア日系人ツアー)
〜遠野昔話の村・横手かまくら・秋田編〜


次の朝、メンバーみんなでMさんと別れを惜しみつつ、松島を発ちました。今日の第一番目の目的地は岩手県遠野市です。

ご存知の方も多いでしょうが、遠野は日本民俗学を学問として体系づけた柳田國男がまとめた伝承民話『遠野物語』によって、民話の原点の里として広く知られるようになりました。柳田は語り手佐々木喜善(きぜん)の語る遠野の民話を書き取って『遠野物語』を書きあげました。ごく普通の人々が語り伝えた話が、単純な昔話のように見えても、それを突き詰めれば、人間の歴史にあたたかい血をかよわせるものになると信じた柳田國男の民俗学の根幹となったのです。柳田国男が逗留していた旅館が保存されて資料館になっているところを訪れて、柳田がどんなに血の通った民俗学を大切に考えていたかを知りました。

YanagitaLodge.jpg
小さいときから、子供向きに書き直された遠野の河童や座敷わらし、妖怪の物語を怖いもの見たさで読んだものでした。今日は遠野の昔話の村で語り部の話を聞けるのがとても楽しみです。東北の素朴な田園風景を抜けて遠野の町へ入りました。周りを山で囲まれた盆地のせいか温度が1〜2度は低そうで、もちろん桜はまだ固いつぼみのままです。町の中も人通りが少なく静かです。おおきな建物といえば遠野市立博物館ぐらいです。

とおの昔話村に着きました。遠野物産館の2Fに語り部ホールがあります。
〒028-0523 岩手県遠野市中央通り2番11号
Tel: 0198-62-5808
http://tabidoki.jrnets.co.jp/localline/shosai2/17048.html

7人あまりの語り部さんがいて、順番に話を聞かせてくれるそうで、今日は菊池さんという語り部さん。「おしらさま」を聞かせてもらいました。


TohnonoKataribe.jpg


「むかし、あったずもな。」で語り出します。東北のなまりはテレビや映画で聞いたことはあっても目の前で肉声で耳にしたことはありませんでした。東北なまりも地方によって異なるのでしょうが、今この遠野で聞く・・・ずもな、の音の温かみ、ゆったりとした語り口に感動しました。「時間がゆっくりと流れる。」といいますが、まさしく東京などの都会では味わえないときの流れを感じました。ところどころ、よく分からない部分もありましたが、最後に「どんとはれ(おしまい)。」ではなしが終わっても、なんともいえない余韻に浸ってそのままじっと座っていたい気分でした。

後から解説書を読んだり、柳田国男の資料館や遠野市立博物館等を訪れて「おしらさま」の筋書きがきちんと把握できました。娘と飼い馬の恋に怒った娘の父親が馬を桑の木につるして皮を剥いだところ、娘がその皮に包まれて天へ上っていってしまったのです。父母は大いに嘆き悲しんでいました。そこに娘が夢枕に立って親不孝を詫び桑の葉を用いて養蚕を行う方法を告げ、貧しい両親が豊かになったという話だったのです。。当然お客様方もあまりよくお分かりにならなかったので、秋田出身の添乗員のSさんに助けてもらいながら、みんなで理解できました。

その後立ち寄った横手も、バスの運転手さんが「あの土手も満開になると見事なんだけどな。」と教えてくれた桜並木もまだ固いつぼみのままでした。ここは今年は5月半ばにならないと開かないようです。横手の「ふれあいセンターかまくら」の中の冷蔵保存してあるかまくらを見て、皆さん寒い寒いと言いながら楽しそうに記念写真を撮ってから、今夜の宿の秋田へ向かいました。

Kamakura.jpg



今でも、あの温かみのあるゆったりした口調の語り部の声が耳に残っています。方言がバリアどころか人の心をつなぐこんなにも大きな役割を果たしていることに気付きました。帰京してからもう一度「遠野物語」をめくりなおして、改めて座敷わらしの愛らしさに心揺り動かされ、会ってみたいなと思う日々です。  (続く)        

(徳重 富士子)

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