映画、テレビ、舞台でと大活躍の女優藤村志保さんは、その忙しい日程の中でも社会貢献をとボランティア活動を熱心に行っています。
認知症患者向けの絵本『わたし大好き』(リディア・バーディック作、みらいなな訳、童話屋刊)の読み聞かせと子供への絵本の読み聞かせを行っています。『わたし大好き』はアメリカ人の女性心理学者が認知症になった自分の母親のために書いた本で、『葉っぱのフレディ』の翻訳者みらいななさんが翻訳したものです。
A Two Lap Book 「ひざを寄せて読む絵本」との副題のついた『わたし大好き』を読むときには相手の隣に座ってひざをつけてスキンシップをしながら読むことが大切と志保さんは言います。実際に志保さんが病院でひざをくっつけて読み聞かせをしてみるとすっかり心を閉ざして何ヶ月もの間誰とも口を利かなかったおばあさんが、心を開いて反応し口を利いて看護師さんたちを驚かせたという経験があるそうです。
一方、子供たち向けの朗読でも、ただ読み聞かせに終わるのでなく子供たちとのふれあいをもとても大切にしています。
もう一つのボランティアはお母さんたちにもっと子守唄を歌ってほしいと子守唄の伝承と普及をしている『日本子守唄協会』(代表 西舘好子さん)の活動に参加協力しています。(『のんびる』6月号22ページに掲載、6月2日の当ブログでも取り上げました。)「子守唄はお母さんが子供の幸せを祈って歌ういのちの賛歌なのです。人は誰でも子守唄を聞くとき、胸がキューンとなるようななんともいえない気持ちになるでしょう?子守唄にはお母さんに抱きしめられておっぱいを飲ませてもらったあのスキンシップを伝える何かがあるのです。もっともっとこのスキンシップがあってもいいのよね。」と志保さんは言うのです。
こんなことを考えながら、藤村志保さんは読み聞かせと子守唄の普及活動のボランティアを一生懸命にやっています。
そして幸運にも、志保さんの実際のボランティア活動の現場を見せていただく機会に恵まれました。それはそれは心温まるものでしたので、是非ご報告したいと思います。
志保さんは求められれば時間の許す限り、どこへでも出かけていってボランティア活動をします。本屋さんのコーナーだったり、町の小さな図書館だったり、お寺の境内やお堂であったり・・・。今回はカトリック教会の日曜学校の子供たちのための朗読会でした。朝のミサが終わった後、子供たちだけでなく父兄も、ミサに来た老若男女の希望者がみんな集まって100人近くになっていたでしょうか。
いつも着物姿の美しい志保さん、今日は梅雨の季節にあわせて、絽の着物に手書きの紫陽花がひときわみずみずしい帯で登場です。すらりと細身の志保さんが、舞台やテレビで聞くあの温かい張りのある声で『葉っぱのフレディ いのちの旅』(レオ・バスカーリア作、未来なな訳、童話屋刊)を読み始めました。
最前列に陣取った子供たちは志保さんをジーッとみつめて耳を澄ましています。
葉っぱのフレディの一生を通して、わたしたちはどこから来てどこへ行くのだろう。生きるとはどういうことだろう、死とは何だろう。こんなことを問いかけているこの絵本の内容が志保さんのあの柔らかい口調で語られていきます。志保さんはいつの間にか壇上から降りて子供たちの座っているところまで寄ってきて読み聞かせています。日曜学校の子供なので小学生がほとんどですが、みんな身じろぎもせずに聞き入ってます。幼稚園に入る前くらいの子供たちも内容は難しかったでしょうがみんなおとなしくじっと聞いています。葉っぱのフレディは若葉だった春から成長し、立派な葉っぱになった夏が過ぎ、秋も過ぎ、冬になって色あせ枯れてきたときに”いのち”は永遠に生きているのだと知って、恐れることなくふわふわとした雪の上に降り立って眠りにつくところまで来ると会場はシーンとなりました。
お母さんたちやおじいさん、おばあさんたちもみんな涙ぐんでいました。勿論本の内容の良さ、訳の良さはありますが、女優さんというのは本当に表現力が豊かなので、人の心に訴える力を持っています。志保さんの朗読はみんなの心にしみこんで、訴えかけていました。
第二部は子守唄の部です。「四年前に母を看取ったとき、年老いた母が子供のように『お母さんのところへ行きたい』というのを聞きました。その後子守唄の活動をし始めて、子守唄が時には親守り唄にもなると気付かされました。姑が亡くなるときには子守唄のCDをかけてあげたらとても安らかな顔つきになったのです。」と子供たちだけでなく親とのスキンシップの大切さをも志保さんは語ります。
教会のメンバーで音楽の先生でもある鈴木陽子さんが本庄加南江さんの伴奏で『江戸の子守唄』『中国地方の子守唄』『ねむの木の子守唄』を歌ってくれました。鈴木さんの声もまた温かく人の心を包んでくれます。最後に全員合唱で『ゆりかごの歌』をうたいました。みんなで歌っている間、志保さんは会場の小さな子供たちの席を回って子供たちの隣にぴたっと座って顔を見つめあいながら歌っていました。
まさしくスキンシップを実践していました。志保さん、立派です!!
志保さんの心優しさ、温かさ、気さくさに会場に居合わせた人たちはみんなとりこになりました。
子供たちから花束が贈呈され、終わったときにはしばらく拍手がやみませんでした。子供も大人もみんなみんな、心の中に温かい贈り物をもらって帰って行きました。
藤村志保さん、本当に有難うございました!これからもご活躍くださいね。
(徳重 富士子)