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都会に残されたオアシス『東大農場』(2)

2007-11-10 21:33:11

         都会の中の里山

農場の奥へと歩を進めると、東大農場のシンボル、サイロとポプラ並木が見えてきます。なんだか北海道にいる気がしました。

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中村さん曰く、「北大のポプラ並木が台風でやられてからは、こちらが日本一といわれています。」現在は牧畜をしていないのでサイロは使われていないけれど、この風景は誰もが好むようで、数人が写生しています。

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「よくいらっしゃるのですか?」「はい、ここの風景が好きでよく描きに来ます。なんだか心が解き放たれる気がするのです。」と60代の女性。「お友達に誘われて初めてきました。」ともう一人の女性が言います。「皆さん、絵を描いたり写真をとりにきたりしますよ。」と中村さん。少し離れたところでは、シニアの男性が三脚を立てて写真を撮っています。

奥の畑では、トラクターが掘り起こしたジャガイモを学生たちが収穫していました。

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そのバックに近代的なマンションが見えて「あ、ここは都会だったのだ!」と気づかされます。

一方、畑のそばのテーブルの上にたくさんビンが並んでいて、学生が整理していました。「何の農薬ですか?」好奇心からたずねると「除草剤です。」との返事です。

Gakusei2.jpg

そうですね。こんなに広い畑だったら、手で雑草を取っていたら間に合わないのでしょうね。

そこへ颯爽と自転車に乗った女性が通りかかりました。「土井さんです。」と中村さんが紹介してくださいました。

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去年まで西東京市の市議会議員で、この会の活発な会員でもあります。10年ほど前、市議会でこの場所をスポーツ公園にしようという案が出た時、たった一人で反対し、あくまでもこの自然のみどりを保全しようと頑張られた方だそうです。いろいろな人たちの努力でここのみどりは残されているのだと改めて感じました。

すぐ後ろのフェンスのなかには、ダチョウがいました。学生が実験的に飼っているそうです。鶏くらいの大きさのヒナが一年であっという間に成長するとのことです。

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ここでも小さな子供たちが「ダチョウさ〜ん!」と大きな声で呼びかけていました。ダチョウも声のするほうへ走って近づくので子供たちも大喜びしています。

畑の奥へ行くと、なにやら昔の雰囲気を漂わせた建物が何棟もありました。現在も使われている研究棟をはじめ、昭和初期に建てられた牛舎や飼料小屋、種の薫蒸室、農機具収納庫などは、歴史的にも重要な価値があり、近い将来ミュージアムとして保存される方向で検討されていると中村さんから伺いました。

ジャガイモ畑のはるかかなたに見えたマンションは、隣の敷地にあった工場が移転し、工場地帯なので高さ制限が緩やかなので、高層ビルが建てられたそうです。あちらは、こちらを借景として楽しんでいるでしょうが、別天地にタイムスリップしていた夢が突然破られた気がしました。都会の宿命ですね。

気を取り直してさらに進むと、武蔵野の雑木林の面影を残した演習林に入ります。樹木の研究のためですから、さまざまな種類の木が植えられていますが、年月が経っているので、完全に自然林の様相を呈しています。「この演習林の中には、たくさんの昆虫と鳥と小動物がいます。狸やモグラは畑にでますよ。営巣はしていませんがオオタカも来ます。」と中村さんはちょっと誇らしげです。木の切り株に腰を下ろして一休み。気がつくともう二時間近くになります。

「東大農場のみどりを残す市民の会」の初期の目標の移転計画中止が達成された今、次なる活動計画はどうされるのかを中村さんに伺いました。

来年の総会に向けて具体的な目標を絞っていきますが、当面は東大農場塾、10月のアースデイ(イベント)などのほか、毎月第一金曜日午前10時から12時に行われている見学会に力を入れていきたいとの意向です。「出来るだけたくさんの方々に東大農場の自然のすばらしさを知っていただきたくて、見学会を開いています。私たちの会のメンバーがご案内して説明します。この自然のすばらしさを知れば知るほど大切にしたいと願うようになっていただきたいからです。」(中村さん)

移転中止こそ決定しましたが、この東大農場を横切って都道349号線が建設される計画があります。東大側としてはこの計画に反対はしない方針ですが、16m道路なので環境に与える影響は避けられないので、今後どのように対応していくかというのは大きな課題となるでしょう。

願わくは、この自然が壊されることなく西東京市民だけでなくここを訪れるすべての人たちの心と体を癒してくれるオアシスとしていつまでも今の姿が保たれますように。(次回は見学会に参加した報告を書きます。)

(徳重 富士子)

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