若くても歳をとっても、地域で働く場があって、支え合いながら暮らせたら、どんなに幸せでしょう。
そんな働き方と、働く側の今の価値観ををもう一度見直そうというシンポジウムが開かれました。
『地域でともに働きたい』
〜生きる場・であう場・つながる場〜
3月23日(日)13時半〜
会場 アミューたちかわ(立川市民会館)
主催 特定非営利活動法人 市民活動サポートセンター・アンティ多摩

【地域で働く可能性を考えたい】
基調講演と進行役は、朝日新聞の編集委員である竹信三恵子さん。暮らしや労働に関わる報道や取材を通じて、人間らしい働き方や社会政策のあるべき方向を模索し続けてきました。
そんな彼女からの提案は、社会保障が確保された正社員という立場に固執する結果、長時間労働・長時間通勤という働き方に縛られているけれど、あらためてお金や幸せの価値観を見直してみたら、地域で働くというワークライフバランスの取れた方向もあるのではないか、というものでした。

地域で働く実践報告例として二人のパネラーが出席されました。
【結構しんどい。でもおもしろい】
その一人紀平容子さんは、NPO法人高齢社会の食と職を考えるチャンプルーの会代表。
神戸出身の彼女は、震災のとき人と人のつながりが街を大きく復興させたのを目の当たりにしたそうです。
一方、彼女が暮らす東京都立川市の団地や商店街で、逆につながりが薄れ、徐々にだけれど街が崩壊していく危機感を感じていたそうです。団地に暮らす働く女性50人が毎月1回、夜集まっておしゃべりをしていたところから、この住み慣れた街で歳をとっても元気で暮らすために、人が出合い楽しみ、働く場を自分たちのために作ろうと、立川市のけやき台団地で「レストランサラ」をオープン。活動を始めて10年たった現在は「ひろばサラ」「デイサービスサラ」も運営しています。
「地域で働き、お金の面で私個人が自立していると言えるかどうか、それははなはだ心もとないです。夜中、突然ガバッと起きて、今月の支払いをどうしよう。なんて悶々とした時もありました。自分たちの仕事も、結構しんどいのが現実です。でも、サラにくるお年寄りの顔が無表情から笑顔に変わっていったり、関わる人たちが変わっていったり、そんなことがとても楽しい。お金に価値をおくのではなく、やりがいや街づくりのおもしろさに価値を見いだせているから、続けてこられているのでしょうね」

【多面的なつながりと仕事を楽しめる可能性がある】
もう一人のパネラーはNPO法人やまぼうし理事長、由木かたくりの会総施設長の伊藤勲さん。2つのコミュニティレストランを起点にした障がい者の働く場づくりをしています。「やまぼうし」は、日野で活動を始めて25年。入所施設から出て地域で暮らしたいと望む障害者たちが暮らし続けられる場づくりに重点をおく事業を推進しています。
「やまぼうしに関わる仲間は、いろんな人がいて、いろんな個性がある。でも、それぞれがお互いにパーフェクトを求めないし、できないことを認め合う。そんな中で、健常者は障害者にどう接したらより良いのかを障害者から学ぶんです。お互いに学び合って、仕事もレベルアップしていくし、関わる人たちに多面的な関わりが産まれます。農作業でこの会に関わっている人に、たまたまそこにいた障がい者のトイレ介助をお願いしたりすると、そこで新たな学びやつながりができるでしょ」。

「地域で働くことは、楽ではない。でも、組織ではできないことができる。結局自分が好きだからやれているのだろうと思います。この仕事をどう楽しめるかが、大きなポイントではないでしょうか」。
【自分が切実に感じた事柄に地域の仕事の芽が】
お二人のお話しから、地域で働くことも結構しんどそうですね。
でも、地域と縁のない会社に通勤していては手に入らない、地域の人とのつながり、支え合える関係、そして街づくりへの貢献ができそうです。そのためには、価値観を「金持ちより人持ち」にギアチェンジする必要があるのでしょう。
じゃ、具体的にどんなことを仕事にするか。。。
それは、「自分の困ったり悩んだりした経験、嬉しかった経験を思い起こし、まだ人がそれほど参入していない、そんな仕事を見つけ出せば、まだまだ参入の余地は十分」とは、竹信さんからのアドバイスでした。
自分が切実に感じた事柄、そこに自分を輝かし、楽しめる仕事の芽が潜んでいそうです。
(吉田和子)