小さな小さな天然酵母のパン屋さん---お父さんの地域デビュー
小平市のわが家の近くに昨年9月にオープンした小さな小さなパン屋さん。
その名のとおり、3人の客が入れば身動きできなくなるほどの店です。
周辺にはいい香りが漂い、もちろん味も抜群。
常時8種と、日替わりで1〜2種を焼いています。
聞けば、定年退職後にパンづくりを趣味で始め、それが高じてこの店になったとか。
地域に生まれたそんなパン屋さんを、皆さんにご紹介します。


【吸い寄せられるような香りいっぱい】
【いつか物作りがしたかった】
お店に入ると、中には穏やかそうな雰囲気のご夫婦。
パンづくりにハマったのはご主人の堤正義さん。現役時代は、電機メーカーの営業マンで、海外出張も多く、そんな時に印象に残ったのが各国でのパンの味。
せっかくメーカーにいたのに、物作りには関わっていなかったので、いずれは自分で何かを作ってみたいとは思っていたそうです。
定年退職後、ご夫婦でバス旅行などを楽しみましたが、いっしょになったのは70代以上の方達ばかり。これでは、若いのに申し訳ない・・・。そこで、思いいたったのが各国で味わったパン。それを作ってみようとパン教室で1年間学び、その後、自宅で2年ほど200種のパンを焼き続けました。
天然酵母のパンづくりは酵母菌を生かしておくためにパンを作り続けなければならず、食べきれない分をご近所に配っても、お返しなど気遣ってもらうばかり。それならば、「いっそパン屋さんをやろう」と決心、開業となったのです。

【コシの強いジャガイモ入りのパンに出会って】
日本酒の麹菌のもとになる天然酵母を使うと、発酵に20時間ほどかかります。
朝4時から仕込みに入り、週4日の開店日に焼くパンは毎回150個ほど。開店は11時と、13時。奥様がパン作り以外の作業を引き受けています。開店当初は15分で売り切れてしまい、すぐに閉店。ようやく最近は1時間ほどはお店を開けていられるようになったとか。
ご主人のこだわりは、店名でもあるPOTATO(ジャガイモ)の美味しさが活きるパンです。
きっかけはテレビ番組で見たルーマニア地方のパン(コブリッジ)。それはジャガイモが入った独特な食感と美味しさだと紹介されていました。さっそく挑戦してみると、今までになくとても木目細かでコシの強いパンができ上がり、それがこの店の代表作となったのです。
「まだジャガイモが入ったパンは2種です。少しずつ増やしていきたいですね」

【ジャガイモが入り、岩塩が効いたコシの強い”コブリッジ”。クセになる味です】

【「プロからは1台の窯でパン屋をやるのは挑戦だと、言われました」】
【こんな喜びがあると思わなかった】
「リピーターがほとんどで、「おいしい」と言われるのが、ほんとうにうれしい」
お店には、パンを買いにくるお客さんの差し入れの絵や花、時にはお惣菜までが届きます。
「皆さんが応援してくれるんですよ。働いていた時には考えもしなかった地域の人たちとのつながりができました。こういう喜びがあるとは思わなかった」
今年のお正月明け、年初の開店が大雪の日だったにもかかわらず、お店を開けると、お客さんが並んでいてくれて、それには本当に感動したそうです。

【取材中も、どんどん商品がなくなります。あ、私の分が。。。】
取材中、通りかかった学生が、携帯の写真を見せながら「このパン美味しかったのでお礼を言いに来ました」と寄っていきます。お二人の輝く笑顔にこちらまで幸せ気分に。
パンを焼くのが嬉しくて仕方ないという感じの堤さん。その脇で「ありがとうございます」と、深々と頭を下げ心のこもったお礼を言う奥様。パンの味ももちろんですが、そんなご夫婦にリピーターが引き寄せられ、応援したくなるんですね。

【二人でやれる範囲を超えない、がモットー。バックの壁にある絵も、お客さんからの差し入れ。足下にも差し入れの花が飾ってありました】
「突っ走る性格ですからね」とご本人。奥様は「今さら商売を…!?」と、最初は反対されました。でも、「やりたい人」ではなく、「やる人」だったから夢を実現できたし(本ブログの
リポーター田中さんの記事に詳細があります)、充実感いっぱいのセカンドライフが過ごせているのだなと、思いました。
POTATO 営業日 火水金土 (11時と、13時開店。売り切れ時点で閉店)
電話080-3433-0579
小平市たかの台11-7(西武国分寺線鷹の台駅徒歩8分。