この本の著者、西田小夜子さん(東京都羽村市)は、「定年夫はなぜこんなにじゃまなのか」(ソニーマガジンズ)や
「定年漂流」(小学館)などの執筆活動の他に、各地で講演活動もされ、テレビやラジオでも活躍中です。
また、快適な老後を過ごすための「定年塾」も主宰。
その塾とは、地域の寺や集会場に20人ほどが集まり、座禅やソバ打ち、語り合いを行なっているという内容だそうですから、興味津々、一度のぞいてみたいですよね。
93組の夫婦の実像に、おかしいやら驚くやら
今回ご紹介する本、『妻と夫の定年塾』(中日新聞社、1,300円+税)は、東京新聞・中日新聞に連載したコラムの中から100点を抜粋したものです(2007年6月初版発行)。
熟年夫婦の暮らしの一辺を切り取った場面が、多種多彩に描かれていて、「え〜っ、こんな夫いるの、今どき?!」と骨董品まがいの夫がいたり、「あ、うちの夫みたい」「私もこうしちゃうよな〜」と自分たち夫婦を語られたようでドキッとしたり、「そうか、なるほど!」とほれぼれするほど実行力のある熟年妻に刺激を受けたりと、セカンドステージに向かう人にも、今まさに渦中の人にも、夢中で楽しく読める本です。プッと吹き出したり、切なくなったりする100点のコラム、すべてが本当の夫婦の話だということですから、驚きです。
8割もいるという引きこもり夫たち
「1日中茶色い毛布にくるまって暮らし」、「次のステップに向け充電中などと」言いながら1年も2年も充電している「みのむし夫」たち。そんな「家庭内引きこもり夫は、ある調査では八割」も存在するとありますから、ほんとうにビックリ。
地域では、様々な仕掛けを作り、定年退職者に地域デビューしてもらおうと盛んに働きかけているのに、です。引きこもった夫と暮らす妻のことを思うと人ごととは思えなくなります。
「働きすぎた体をのんびり休ませようとする。実はこれがいけないらしい。百キロ近いスピードで走っていた車に急ブレーキをかけるのと同じ」には、思わず納得。その後、停まったままウンウンとアイドリングをしたままでは、一向に車は前に進まないですよね。
まずは、夫たちに家の中で自立してもらい、住み慣れた地域で夫婦仲良く、活動的に暮らしてほしいと。「定年後の男性はあれこれ考えるだけだけでなく、あきらめずにやりたい趣味に飛び込んでほしい。習い始めた後に考えればいいのだ」は、まさに「みのむし夫」を変身させた著者からの、実感のこもったエールなのでしょう。
この本が、「みのむし夫」たちにとって、そして彼らとずっと暮らしていく妻たちにとっても、大きなヒントをくれること請け合いです。
ちなみに定年を数年後に控える夫にこの本を勧めたところ、「おれのめし」の章では「おれだけじゃないんだなぁ」と妙に感心し、仲間を得たようでとても嬉しそう。「私の伝えたい主旨がわかっとらん!」のでした。