地域デビューしたお父さん達、輝いています--「新しいことに挑戦」で豊かに広がるセカンドライフ
『のんびる』6月号の特集でも『厨房デビュー』で男性のための料理教室が紹介されていました。最近は、あちこちにあり、小平市にもそんな男性の料理教室があります。名前は「料理いろはの会」。でもスタートは今からなんと21年も前、まさに先駆け的存在です。
「そう、その頃はなかったです。妻に先立たれ、食事を簡単な物ですましている毎日に、自分の食べている物は食事ではなくエサだと思ったんです」と、この会を立ち上げた、会長・眞田三喜彦さん(84歳)。
「薄味の物を食べたくても作り方がわからない。そこで社会福祉協議会に相談に行きました。そしたら女性の料理教室を紹介されたんですが、どうもなじめなくてね。で、お隣の小金井市にある男性の料理教室を見学して、じゃ小平市でも作ろうって」

【会長の眞田三喜彦さん】
たまたま、そのときボランティア登録をしていた二人の女性が講師になってくれて「そのお陰で21年間、この会が続いています」と会員の方々も感謝を表します。

【栄養士の中山幸子先生が細やかに指導されます】
月2回の土曜日の午後1時から、20名前後の人たちが中央公民館の調理室に集まってきます。
取材日のメニューは、「とり高野、キュウリの酢の物、すまし汁、水羊羹」
まず先生が今日の料理の作り方をまとめて説明。すごい! デモは無しなんですね!
出来上がりを見なくても、説明が終われば、2〜3人1組で調理台に向かい、作業にとりかかります。
皆さん手際よい!
でもときどき「あれ? 次どうするんだっけ」と独り言を言いながらレシピを見ては、また真剣に取り組みます。
「ちくわの切り方説明しなかったけど、大丈夫? 小口切りよ」と栄養士の山中先生が言うと「小口切りね」。OKとばかり頷き、なかなか慣れた感じです。
女性の料理教室は、なんとなく殺気立った雰囲気が感じられる時がありますが、こちらは真剣そのものだけど、喜々として取り組んでいます。この雰囲気、何かに似ているなぁと思いましたが、子ども達の工作作りの雰囲気です(失礼!)。
「自分で作った物には、文句言えないよね。作ってもらっていただけの時は、言ってたけど、へへへ」と笑う藤原さん。

料理っておもしろいですよ。ボクは作りますよ。仲がいいお宅は作ってもらえるからいいよなぁ」と冷やかす石田さん。
「作って楽しい、食べて楽しい、そしておしゃべりが、なお楽しいんです」と荒川さん。

【「は〜い、手早くね」とお母さんのように指導する配島先生】
1つのテーブルで、「あ、先生ショウガ汁を入れ忘れた!」という声が。
「じゃ、先にお腹へ入れちゃえば」なんて隣のテーブルからはチャチャが入ります。
「鍋の中の煮汁に入れちゃえばいいわよ」と先生も臨機応変。
「こういうことがあるから、楽しいね」と、ときどき他のテーブルに神出鬼没の眞田さん。

にもかかわらず84歳の眞田さんと、85歳の田中さん(左)ペアーは、手際よくいつの間にか4品がほぼ完成。

余裕の眞田さんは、台ふきんで各テーブルを拭きまくっています。面倒見のいい会長さんがいるから、みんなも気持ち良く楽しめるんですね。
「なんか競争になっちゃうんだよね〜」さっきまで近づくのもはばかられるほど真剣に取り組んでいた男性が、別人のような柔和な笑顔で話しかけてきます。
「奥さんがいるときは、作らないよ。かなわないもん」とチラッと男性のプライドをのぞかせる言葉をはくメンバーも。
配島先生に21年もボランティアを続けて来た魅力をうかがうと「知り合えないような地域の人と知り合うことができて、お金で買えない財産ができたと思っていますよ」。
「一人500円の予算で、簡単にできるメニューを考えてます。あまり長いこと立ち続けるのはしんどいでしょ」と、中山先生。毎回そんなレシピを考えるのはさぞや大変だろうと思います。先生お二人にとっても、人生の財産だからこそ、無償のボランティアでも続けてこられているのでしょうね。
ボリューム満点の料理が出来上がりました。
「おいしそ〜!」と感動の声をあげる私に、「必ず毎回、デザートも作るんですよ」と誇らしく語るメンバー。

【作り終わった調理室も、あっという間にこのとおり】
さぁ、会食の時間です。

【水ようかんもなめらかで、おいしいっ!】
今回が通算で495回。500回記念の節目には、市長や社会福祉協議会の方々をお招きして「私たちがホストになって料理を食べてもらうんですよ」と眞田さん。
「じゃ、リハーサルしなくっちゃね」と食事をしながらまたまた盛り上がります。

15年ほど習っている田中さん(85歳)は、毎日3食を作っているそうです。「同じ物が重ならないように変化をつけてますよ。苦じゃない、楽しいですよ」と、いい笑顔です。
実際に家で料理をする人は少ないようですが、料理を習うことで「洗い物が苦にならなくなった」「妻がいない時は自分の食べるもの作りますよ」という声が多く聞かれました。
女性に比べれば、食事後のおしゃべりもあっさりした感じ。でも、「どう? そっちのも味見させて。やっぱりオレ達の方がおいしいや」なんて軽口をたたいたりできる、そんな仲間にひととき会える、そういう時間を楽しめる場があることが日々の暮らしの張りになるのだろうなと思いました。
料理という新しいことに挑戦しているからか、皆さんお元気!
それに料理のほかに、いろんな活動をされている方が多いそうです。きっかけは料理、それが人とのつながりや、自分の世界をより豊かに広げてくれるのだろうと思いました。
(吉田和子)