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高齢者の終末期医療―胃ろう(PEG)―

2008-01-29 10:39:57

口から食事をできなくなった時
食べる事、それは楽しみでもあります。食べるという楽しみがなくなった時、「一つの楽しみが減るだけ。他にも楽しみはいっぱいある」と思えるのか、それとも「食べる事ができなければ、死んだ方がまし」と思うのか……。

高齢になると、嚥下(飲み込み)力の低下や障害で口から食物を摂取できなくなる場合があります。病気が原因となることもありますが、高齢であることや寝たきりであることで、噛む力や飲み込む力が弱くなるという事もあります。
人は、食べなければ衰弱して死に至ります。
あなたやあなたのご家族は、その時、何をどのように決断すればよいのでしょうか。
その、の医療は何をするか
中心静脈栄養:高カロリー輸液を点滴(中心静脈栄養)
経管栄養:胃ろう・腸ろう、経鼻経管栄養などで、胃や腸に直接栄養を流し込みます。

胃ろうと経鼻経管
ともに管で栄養を胃に流し込むものです。
静脈栄養(点滴)との大きな違いは、残された機能(胃や腸)を使い、自然な形で栄養摂取(栄養の消化吸収)ができることです。

胃ろう:胃に穴を空け管を通します。最初に、手術が必要ですが、ごく簡単な手術で負担も少ないものです。管理は比較的容易で、在宅での管理にも問題ないと思われます。但し、定期的(年1〜2回)管を入れ替えるための手術が必要です。最初の手術同様、ごく簡単な手術です。
装着時に、違和感はありません。。


経鼻経管:鼻から胃へ管を通します。
管を通すための手術は必要ありませんが、装着時の違和感や苦痛から自分で抜いてしまう事があります。栄養を流している時に抜くと、栄養分が肺に流れ込み“嚥下性肺炎”を起こす危険性があります。嚥下性肺炎は、命の危険を伴うものです。そのため、家族の了解を得て(ミント型の手袋のようなものを手にはめるなどの)拘束する場合もあります。
胃ろう同様、定期的に管を交換する必要があります。(手術の必要はありません)

経鼻経管も胃ろうも、リハビリなどにより嚥下機能が向上した時、すぐにでも抜くことができます。胃ろうの穴は、元通りにふさがります。

胃ろうについては、下記のサイトをご参照下さい。
NPO法人 PEGドクターズネットワーク:
http://www.peg.or.jp/index.html

オリンパスPEG(胃ろう)情報サイト
http://www.pegnet.jp/


高齢者と胃ろう
高齢者が胃ろうを造るかどうかを問われた時、どのように考えればよいかについての参考にするため、主に家族や看護師の意見を集めてみました。

肯定的意見
・嚥下機能が回復し、経口摂取が再び可能となって、その後何年間かを元気に生活できる人もいる。
・食事摂取が困難となった場合、経管栄養をすることによって、これまでより皮膚の色が良くなり、本人の気持ちも安定してくることもある
・胃ろう(PEG)の操作はとても簡単。92才のご主人が介護した例や、ひとりで栄養管理をしている方もいる
・「育ててもらった恩がある。長生きできる方法があるのに、それを使わない手はない」という人。その方は「人工呼吸器もお願いするつもり」という。
・「自分で食事ができなければ人生も終わりかとも思うが、どうしても生きてほしかった」という夫。スプーンで口元に運ばれたプリンなどを食べるまでに回復した妻を見て、うれし涙を流した。

否定的意見
・経管栄養を開始するとそのままになってしまうことが多く、時には植物状態の患者さんをつくることにもなる。
・ある特老のヘルパーが家族から聞いた言葉「いつ逝ってもらってもいいんだども」「こんなの入れたから、長生きしてしまって」
・脳出血で病院に運ばれ、退院時「施設入所のためには、胃ろうが必要」「無理に口から食べさせれば、肺炎を起こす」と説明され了承。意思疎通もおぼつかないまま数年以上たち、「これが本人にとって幸せなのか」と思い悩む。
・「胃ろうをつくると、どんな将来になるのか十分な説明はなかった。長生きをしてほしいが、意識がないまま胃ろうで栄養をとる母は本当に幸せなのか」と話す家族。
・意思疎通ができなくなると、家族の見舞いの足も遠ざかりそのまま終末期を迎える患者をみていてつらいという看護師。

103歳のおばあさんの事例
超高齢者のホームホスピスケア(http://www.reference.co.jp/sakurai/hospice1.html)より
明治33年生まれのおばあさん。大腿骨頸部骨折後、寝たきりに。誤嚥性肺炎を繰り返すため経鼻チューブを入れるが、自分で抜いてしまう。
娘さんは「手をしばってまで鼻から管を入れたくない」と言い、胃ろうに否定的。
本人の意思が確認できればよいが、終末期になってから本人の希望を知るのはむずかしい。
「栄養はあくまで口から」と決めたものの、家族の心は揺れ2〜3度点滴を試みるが、血管確保が困難で継続できなかった。口からの食事が摂れなくなり意識もほとんどなくなっていたが、お風呂好きなおばあさんのため訪問入浴を利用。その翌日、訪問看護師が訪れた時をまっていたかのようにす〜っと息を引き取った。

こんな考え方もあります
・「胃ろうをつけるのを望む人も、つけて悩む人も、根本には家族への愛情がある。その思いを大切にしたい」と話す看護師。
・胃ろうや中心静脈栄養によって死をひきのばしている間に死生観が徐々にかわって、家族が死を受容できるようになるという場合もある。
・延命と呼ばれている期間は、家族にしてみれば、死をみつめる重要なステップになっているのではないか。

次週は、医師の側からの意見を紹介します。

参考にしたHP
YOMIURI ONLINE:
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20060927ik02.htm

栄養管理ガイド:
http://www.1eiyoukanri.net/chuushinseimyaku.html

元検弁護士のつぶやき:
http://www.yabelab.net/blog/2006/09/23-203227.php

さくらいクリニックホームホスピスケア:
http://www.reference.co.jp/sakurai/hospice1.html

高齢者の終末期医療を考える会
http://www.fureai-net.com/syuumatuki.htm#03

最新医療情報
http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/EiyouYomei.shtml


(松尾 陽子)

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