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やっぱりややこしい成年後見人

2008-03-03 14:31:07

高齢者が安心して暮らせるためにと設けられた成年後見人制度。その利用はあまり進んでいません。その理由は何でしょうか? 成年後見人制度を悪用した事件や医療についての問題点があるようです。

成年後見人制度についてのおさらい
2000年4月に施行された制度
高齢に伴い判断能力が不充分になった人の財産や権利を保護し、支援するための制度。
(不動産や預貯金の管理、介護サービスや施設入所のための契約、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消すなど悪徳商法の被害から守るなど)
成年後見人には、法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度
家庭裁判所によって選ばれる(『後見人とは』参照)
判断能力や本人の事情に応じて、次の3種類があります。
後見:判断能力が欠けているのが通常の状態
保佐:判断能力が著しく不充分
補助:判断能力が不充分

任意後見制度
判断力があるうちに、将来に供え財産管理や療養看護、生活全般についての代理権を与える契約(任意後見契約)をします。契約は、公証人の作成する公正証書で行います。任意後見の契約は、公証役場で行います。
全国の公称役場所在地:http://www.koshonin.gr.jp/sho.html
日本公証人連合会:http://www.koshonin.gr.jp/index2.html

判断能力が衰えた時には、契約内容に基づいた事務を任意後見人が行います。任意後見人は、家庭裁判所が選任した任意後見監督人の監督のもと、その仕事を行います。
例えば、親と子どもとの間で結ばれた任意後見契約に基づき後見事務を開始する時の事を考えてみましょう。
まず、子どもが家庭裁判所に任意後見監督人選任の審判の申し立てをします。その申し立てを受けて、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。監督人が選任されたら、契約に従い、子どもによる任意後見が始まります。仕事は、契約書に書かれたもの(生活全般や財産管理の事務)で、監督人がその仕事を定期的に監督する事になります。

任意後見制度では、自分が一番信用できる人に後見人を頼めますが、法定後見制度とは違い、悪徳商法などに巻き込まれた時に、取消件を行使できません。
悪徳商法などでの契約を取り消せるのは、法定後見人のみとなります。ですから、被後見人の状態により、法定後見の申し立てをすることも考えておく必要があります。

後見人には誰がなれるのでしょうか
成年後見人になれるのは
親族後見人:本人(被後見人)の親族
専門職後見人(行政書士、司法書士、社会福祉士、弁護士など)
福祉関係の公益法人やその他の法人です。
また、成年後見人は複数選ぶことも可能です。
親族後見人と専門職後見人の中間的立場の市民後見人というのもあります。

2005年度に誰が成年後見人が選任されたかの内訳(最高裁判所)
親族が77.4%(子供:30.4%を含む)
司法書士:8.2%)
弁護士:7.7%
社会福祉士:3.3%
法人(1.0%)

市民後見人
親族と専門職の中間に位置するもので、ボランティア精神でアドバイスや後見活動を行います。市民後見人になるための講座を受講して、活動を始めることになります。

市民後見人は、成年後見制度は、相談もしやすく、後見制度がより身近に感じられたりという利点はありますが、他人の財産や権利を預かるという大切な仕事が、ボランティアの精神だけでやっていけるのか疑問が残ります。今後、より充実した法整備が必要ではないでしょうか。

成年後見制度にまつわる事件
★成年後見人として世話をしていたいとこの預金約3000万円を着服(秋田県)。
秋田家裁本荘支部から00年11月にいとこの成年後見人に選任された男性が、管理を任されていた銀行預金口座から01〜04年に計20回にわたり、計3085万円を自分の口座に振り込んで着服した疑い。

★成年後見人となっていた義弟の銀行口座から現金1200万円を引き出した女性が逮捕(熊本県)。04年5月~06年11月、熊本市内の施設に入所している義弟(68)の口座から24回にわたって現金を引き出して横領した疑い。

★重い障害を患う無職男性が、成年後見制度を悪用されて暴力団関係の男性に、少なくとも1億2000万円の財産を奪われた(愛媛県)。後見人は実母。親族女性が暴力団関係の男からホストクラブの共同経営の話を持ちかけられ、無職男性の財産を狙った。実母は親族女性の言うままに預貯金を降ろし渡していた。実母が心臓病や脳萎縮(いしゅく)にかかっていることも判明し、後見人を代えることになった。

★社会福祉士が、成年後見業務を担当していた女性の死後、347万円の遺産を受け取っていた(東京都)。女性は、社会福祉士のすすめで遺言を遺し、遺産を分配する「執行人」にも社会福祉士が指定されていた。同時に、社会福祉士の夫を後見人とする任意契約も結んだ。日本福祉士会は、報酬以外の受け取りを禁じた倫理綱領を逸脱したとして、戒告処分にした。

★めいの成年後見人の妹から、交通事故で重度の障害をおっためいの保険金などの財産管理を委託された男性が、約1億5000万円を着服(青森県)。

財産管理や保全のための後見制度が悪用される話は、時折耳にします。裁判所によるチェック機能があるにもかかわらず、現時点ではそれが万全とは言えないのでしょうか?より一層充実したチェック機関や、チェック機能が望まれます。

成年後見制度と医療行為
成年後見人は、「病院に入院するかどうかの医療契約については同意権がある」が、生命を左右する「医療行為については同意権がない」のです。
手術・採血・予防接種・点滴などの医療行為は、本人の同意がないと行われないため、重度の認知症の場合、医療現場でさまざまな問題が起こっています。
現場で困っている医師に対し、立法的立場から、医療倫理等の問題があり、成年後見における医療の代理権・決定権の規定を導入するには時期尚早という意見があるのです。
全ての代理権・決定権を認めることは、尊厳死や延命治療などに関する決定権も得るという問題もあるのでしょうか。

高齢社会を生きるためのリスク管理として、成年後見制度を上手に活用する事が大切だと思います。けれどもこの制度には、まだまだ考えなければならない側面も多く見受けられます。よりよい制度にしていくためにも、先ずは、後見制度について知ることが必要ですね。

参考にしたHP
(社)成年後見センター・リーガルサポート
http://www.legal-support.or.jp/

裁判所
http://www.courts.go.jp/saiban/wadai/1703_1.html

法務省 民事局
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html

高齢社会NGO連携協議会
http://www.janca.gr.jp/topics/071101.html

NPO法人 成年後見相談センター・ラパス
http://www.lapaz-j.net/info.html

三井ボランティアネットワーク
http://www.mv-net.com/kanto_bunka0704_1.html

市民後見センター京都
http://www.kyoto-koken.net/question/support3.html#s4


(松尾 陽子)

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