
Golden Week、いかがお過ごしですか?<
私は、Gorogoro Weekを満喫しています。
今回は、私が近ごろ思う事を、少し書いてみようと思います。きっかけは、特別養護老人ホームに看取りについて質問したところ、経管栄養(
胃ろうについてをご参照下さい)についての次のように書かれていたことです。
『病院では経管(経鼻・経腸チューブ)栄養だった方が、病院では点滴をするだけだからということで、施設に帰ると再び口から食べられるようになることも幾度と無く経験して来ました。』(
愛媛県・樋谷荘
施設に帰ると再び口から食べられるようになった、という事は、精神状態によるものという事は明らかです。
高齢者にとっては、「安心」が一番の薬なのだろうと思いました。
では、日本の現状はと考えたところ、漠然とした不安が広がっているように思います。
高齢者の不安? 医療に関する事
父が生前よく言っていた事です。
「老人の身体を専門に、総合的に診てくれる科がほしい」
その頃の父は、内科・泌尿器科・眼科、時には脳外科、そして、漢方医と、様々な病院へ通いつめていました。どこを受診しても、どんな薬をもらっても、手術をしても決してよくはならない自分の身体を持て余し、自分の身体の事をちゃんと診てもらっていないという不安があったように思います。
当時、慶応義塾大学付属病院で「老年内科」があるのは知っていたのですが、1時間以上もかかる病院へ行く気力は、父にはありませんでした。
慶応義塾大学病院、老年内科
高齢者の健康を、その生活環境をも含めた視点で診ていこうとしているようです。
京都大学老年内科
子どもが小児科に行くように、高齢者はまず老年内科で総合チェックをと、呼びかけています。
高齢者の不安 「死」への不安
再び父の言葉です。
「ちょうど半分いなくなったな」
同窓会名簿を見ていての一言です。
高齢になると、身近な人の死や友人の死に遭遇する機会が増えます。その事は自分の死を受け入れる準備期間である一方、確実に近付いてくる死を実感し漠然とした不安を抱くのではないでしょうか。
同窓会名簿を手にした父には私という話し相手がいましたが、これが独り暮らしだったらどんな気持ちでしょうか。
厚労省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者世帯のうち48.5%が独り暮らしだといいます。
厚労省 平成18年度 国民生活基礎調査
高齢者の不安 経済的理由
長寿にともなう経済的不安もあるようです。
日本総研HPより
公的年金を主な収入源とする高齢者世帯で家計赤字が深刻化。金融資産の取り崩しで対処可能なものの、長寿化が進展するなか将来半数以上の高齢者世帯で金融資産が不足する可能性が大きいといいます。
総務局の家計調査によると、世帯主65歳以上で配偶者60歳以上の無職世帯で、家計の赤字が90年代の月平均1.3万円から2000年以降は、3.4万円に拡大。高齢者が生涯にわたり日常生活費の不足分を賄うために必要な最小限の資金を1700万円と見積もると、自己の金融資産のみで生活費を賄うことが可能な高齢者世帯は半数未満。
高齢者の主な収入源の国民年金
スタート時(昭和61年)には、40年加入で月3,500円受給という謳い文句。
この額は、「老齢者の1か月の支出額が、光熱費など共有費的なものを除き3500円だから(旧厚生省)」(毎日新聞 2008年4月24日 東京朝刊)
「共有費を除くもの」というこの基準は、ここには、夫婦のみや独り暮らしなどの現状が反映されていません。
永久に高齢者の経済的不安は拭えないでしょう。
高齢者の不安と政策
こうした、病気や死への不安・経済的な不安を抱えている高齢者たちの感情を逆撫でしたのが、4月1日から始まった後期高齢者医療制度ではないでしょうか。
そのあたりを、新聞紙面から探ってみました。
塩川正十郎元財務相
自身のコラムで「その紙切れは私の人生を否定するものでしかなかった」と発言。(産経新聞4月17日)
医療を控える高齢者続出か
町の医院に通っている患者数がどっと減っている。老人が医療を控えている。負担金が増えていくと、医療費を節約しようという気持ちになる
医療費が高騰していく理由の一つには、医療機械の導入がある。本当に必要な医療費というのが、実はあまり使われていない。改革すべき点はたくさんある(毎日新聞4月21日夕刊、精神科 なだいなださん)
厚生省のある通知
厚労省は、都道府県や政令市所管の福祉事務所が、全額公費負担で医療を受けている生活保護受給者が医療機関で薬を処方される際、ジェネリック(後発薬)を使うよう周知徹底ことを通知。〈厚労省は08年度、ジェネリックの使用で220億円の医療費削減を掲げている〉(4月27日毎日新聞)
その3日後
厚労相(桝添要一)は、「生活保護の方だけではなく、国民全体で3割の後発医薬品を使うということを懇切丁寧に説明しろと指示した」(4月30日 毎日新聞)
後期高齢者医療制度の見直しの動き
政府:低所得層への負担軽減策
政府は30日、後期高齢者医療制度について、自治体による補助がなくなって保険料が急激に上がり生活が苦しくなった人への補助など、低所得層への負担軽減策を導入する方針で検討に入った。
(4月30日毎日新聞)
参院自民:低所得者は全額免除
5月1日低所得者の保険料の全額免除を柱にした運用見直し案を月内にまとめ、政府に提言する方針を固めた。
首相記者会見
「どのような問題が生じているか集中的に点検」(4月30日の記者会見)
厚労省
新制度導入に伴う負担の増減について調査。低所得者への減免措置を実施した場合に必要となる財源の試算を進めている。
療養病床廃止へ向けて
厚生労働相の諮問機関中央社会保険医療協議会が、高齢者向けの入院施設「療養病床」の入院基本料を引き下げることなどを08年度診療報酬改定骨子案に盛り込む。
厚労省は、06年2月当時38万床あった療養病床を、5年で15万床に削減する方針。
しかし、計画通り進んでいないため入院基本料を約4割減とし、療養病床を抱える医療機関の収入が減るようにするというもの。(毎日新聞 2008年1月18日)
インドネシアから、看護師・介護福祉士受け入れ決定
インドネシア人の看護師・介護福祉士を2年間で1000人受け入れ決定。
インドネシアからの希望者は、来日3〜4年間で看護師か介護福祉士の国家試験に合格しなければ帰国せざるを得ない。
羽生施設長(東京都墨田区特別養護老人、ホームたちばなホーム)は「試験に合格できなければ使い捨てになる」と心配する。
日本看護協会(約58万人):働きやすい職場作りを優先すれば、人手不足は解消、日本介護福祉士会(約5万5000人)報酬を上げてやりがいのある職場にすれば、国内で人手は確保できると、そろって反対している。
(毎日新聞 2008年4月17日)
看護師や介護福祉士の待遇改善という根本的な問題が、まず話し合われるべきではないでしょうか。
黒枠封筒
千葉県木更津市が、後期高齢者医療制度対象者向けの保険料通知の送付。窓が黒い太枠で囲まれていて、訃報を連想させると苦情殺到。市は「言い訳のしようもない」と深く反省している模様。
官僚は制度ばかりを見て、現場を知らない(ある与党議員)
ここしばらくの新聞報道で、印象に残った、そして非常に残念な言葉です。
高齢者が安心して暮らせる社会、それは、すべての人が安心して暮らせる社会だと思います。制度におけるユニバーサルデザインが必要なのかもしれません。
そのためには、私たち国民も傍観し、文句を言っているばかりでいいのでしょうか?
千葉県の山武地域では、地域医療崩壊を地域ぐるみで考えようというNPO法人があります。『のんびる』6月号で紹介しますので、そちらもあわせてお読み下さい。