pagetop

リポーターブログトップ > 記事詳細

後期高齢者医療制度にみる終末期医療

2008-05-12 20:18:22

blue.jpg「後期高齢者の方本人のみならず、家族や医療従事者と共同で、ご本人の希望に沿った、安心できる終末期の医療を目指します。」
(厚労省HP:http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info02d_77.pdf)</a>

後期高齢者終末期相談支援料:75歳以上で「終末期」と診断された患者が医師と相談し延命治療の有無などの希望を文書で示すと診療報酬200点が病院に支払われる(1回限り)。

厚労省が意思表示の文書の例とした、全日本病院協会作成の文書
「医療行為について、以下のように希望すること、それはいつでも撤回、変更できること。撤回、変更時には書面または口頭で行う」として、次の項目に関して、それぞれ(希望する)(希望しない)を選ぶようになっています。
(1)輸液(2)中心静脈栄養(3)経管栄養(胃ろうを含む)(4)昇圧剤の投与(5)人工呼吸器(6)蘇生術
http://www.ajha.or.jp/about_us/activity/zen/071219_1.pdf

後期高齢者医療制度に掲げられた終末期医療への批判が高まっています。その声を集めてみました。
4月23日の厚労省委員会での民主党・長妻委員の指摘
「終末期と判断したことを示した上で、人工呼吸器や蘇生術などの医療を(希望する・希望しない)選択肢では、の書式では患者側が選ばなければならないととらえてしまう可能性がある、話し合いの経過を記載する欄もないため、患者や家族の複雑な思いが反映されなかったり、医療者からの情報提供が適切であったかを検証できないのではないか」
注)厚労省は、希望の有無を(する・しない)で答えなくてもいいとしています。

日本ALS協会
二者択一方式の見直しを求めています。川口美子理事は、一度意思表示をすると医師がそれ以降治療方針を相談しなくなることがあった。こういった問題が後期高齢者に拡大することを懸念しているとしています。
注)ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が変性する病気。

医療者の意見

茨城県医師会:http://www.ibaraki.med.or.jp/
後期高齢者医療制度は医療費抑制であり、年齢により人間の価値を差別する制限医療が目的だと位置づけ、撤回を求めて運動していくことを表明。
原中会長は、日経メディカルオンラインの取材に「文書化すると200点の収入になる仕組みも導入された。延命措置はダメ、点滴はダメと言っているようなものだ」とコメント。

全国保険医団体連合会:http://hodanren.doc-net.or.jp/
200点が加算されるという仕組みは終末期の医療費抑制の役割を医師、看護師等に押し付けるもの。医療費抑制のためには手段を選ばない、人間の尊厳を踏みにじる点数設定と批判。

北海道保険医師会:http://www.h-hokenikai.com/picup/jiron.html
どのような終末期医療が提供されるのか国民に明らかにされないまま始まった。

国は、終末期医療に関してどのように考えているのでしょうか。

平成19年5月、終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会による「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン 解説編」で、次のように書いています。


1 終末期医療及びケアの在り方
?医療従事者からの適切な情報提供に基づく話し合いで、患者本人による意思決定が基本
?終末期医療の開始・不開始、医療内容の変更、医療行為の中止等は、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべき
?疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、患者や家族の精神的・社会的な援助も含めた総合的なケアが必要
?生命を短縮する積極的安楽死は、本ガイドラインでは対象としない
2 終末期医療及びケアの方針の決定手続き
第一に患者の意思確認。それができない場合は、家族が患者の意思を推定。家族が居ない場合は、医療・ケアチームで最善の治療方針をとる。
上記の方法によっても妥当で適切な医療内容についての合意が得られない場合は、複数の専門家からなる委員会の設置し、治療方針等についての検討及び助言を行う。その検討・助言を経て、あらためて患者、家族、医療・ケアチームが合意形成に至る努力をすることが必要である。

この文書の中には、「医学的妥当性・適切性」という言葉が何度となく出てきます。
また、医療・ケアチームについての懸念として
(1)強い医師の考えを追認するだけになる
(2)責任の所在が曖昧になる
という2点をあげたうえで、それぞれが専門家として責任を持って協力する体制をつくるためのものであることを理解してもらいたい。特に刑事責任や医療従事者間の法的責任のあり方などの法的側面については引き続き検討していく必要がある

終末期医療における、医学的妥当性・適切性とは?
法的側面の整備は?
医療従事者が終末期医療に真剣に向き合うためには、まずこの問題が解決されなければならないような気がします。
そして、医療関係者と福祉関係者など、終末期医療に関わるすべての機関が協力する仕組みが必要でしょう。

最後に、第17回社会保障審議会医療保険部会議事録(平成18年11月20日)を見てみましょう。
・終末期医療については、日本人が真面目に取り組まなければいけない問題。その機会が熟してきたのではないか。
・国民的合意形成をしていくうえでの、データの客観的な分析が必要。
・死亡した時点からの医療費というデータでは見えない部分がある。外国には、1年間生存した高齢者を見ると若者の医療費とそんなに変わらないというデータがある。
・医師は、とにかく命を助ける、どのような状態においても命を助けるということで仕事をしている。が、国民自らの意思、つまり個人の尊厳を守ることがどのような形であるのか、終末期をどのような医療にするかという議論が必要。
・病院で亡くなれば非常に高くかかるからという理由だけでなく、国民が家で終末期を送りることがその方にとって幸せなことであれば、そういうシステムを構築し推進していく必要がある。
・今までの医療は、点滴や酸素吸入、俗に管治療言われるような医療が展開される。それは本人もあまり望んでいないのではないか。私個人だったらもうあれはやめてくれと遺言書を書いておこうと思っている。
・本人の意思決定のためには、きちんとした情報開示が必要。どうしても本人が決められなければ、それぞれ違う職種の人がなるべく多く携わる事が必要。重要な事は、一つの事業体の中での違う職種というよりは、全く違う事業体でそれぞれ違う職種の人がなるべく多く携わり、決定の中に入っていくことが必要ではないか。そうしたなかで、本質的には本人がもともとこうしてほしいと思っていたものを尊重していくのがいいのではないか。

この場で意見が出された、国民的合意形成の議論や、そのためのデータ作成と検証は、その後どうなったのでしょうか。

厚労省本音とされた報道(4月24日11時25分配信 毎日新聞)です。
23日の衆院厚生労働委員会で長妻昭議員(民主)が指摘。
後期高齢者(長寿)医療制度を担当する厚生労働省の職員が、自ら執筆した解説書の中で、「75歳以上への医療費が3日で500万円もかかるケースがある」としたうえで「後期高齢者が亡くなりそうになり、家族が1時間でも1分でも生かしてほしいといろいろ治療される」「家族の感情から発生した医療費をあまねく若人が負担しなければならないと、若人の負担の意欲が薄らぐ可能性がある」などと記述、医療費抑制を訴えている。

と、ここで今回のブログを終わろうと思いましたが、一つ気になる事がありました。それは、厚労省が意思表示の文書の例としてあげた全日本病院協会作成の文書。

(3)経管栄養(胃ろうを含む) 希望する・希望しない

(胃ろうを含む)・・・終末期医療や延命措置についての国民的議論が、是非とも必要な時期にきているようです。
(胃ろうについてのページもご参照下さい)

この記事のURLコメント(0)トラックバック(0)

http://secondleague.net/user/012/012/cwtb.cgi/1372

名前
メール
URL
コメント

▲このページの上へ戻る