いよいよ夏本番。
夏休みには、家族で温泉と言う方も多いのではないでしょうか。
日常の喧噪から解き放たれた露天風呂、小粋に竹酒なんぞをちびりとやれば極楽・極楽。
遠くまで行かずとも、町中のスーパー銭湯でも、自宅のお風呂でも入浴剤を入れたり、ゆったりと半身浴を楽しんだりと、お風呂好きの日本人は、お風呂上手の日本人ですね。
もしあなたが、高齢などの理由により身体の自由が効かずお風呂に入れなくなったら、どうしますか?
大きな楽しみが一つなくなったような気になりませんか?
そんな時のためにあるのが「訪問入浴サービス」です。
浴槽が自宅へとやってきます。
私が初めて見たのは、あるマンションの入り口。
小さな煙突つきのワゴン車がとまったと思ったら、中から浴そうが出てきました。
訪問入浴車
日本財団HP:http://www.nippon-foundation.or.jp/vol/sharyo/homon.html
訪問入浴サービスとは、自宅のお風呂では入浴が難しくなった人のために、移動浴槽を自室へ運び入れての入浴サービスです。
通常看護師1名とスタッフ2〜3名で、健康チェックを行いながら入浴サービスを行うそうです。
では、日本ホスピス・在宅ケア研究会、第16回千葉大会(7月12・13日)から「看取り前の入浴サービス」のお話を紹介します。
事例1
死亡日の前日に、本人が「新たな旅立ちのために、綺麗にしてほしい」と希望
事例2
本人も子どもも美容師。子どもが母の髪をカットした後、入浴。
その10日後に看取り。
このように、看取りの一週間前でも入浴サービスを受けることが可能である事の例が紹介されていました。
ちょっとびっくりですね。
看取り前の入浴サービスには、少しでも気持ちのよい時間を過ごしてもらいたいというご家族の希望と、それをできるだけかなえてあげたいというスタッフの気持ちがあるようです。
そしてもう一つ大事な事は、介護と医療の連携です。情報を共有し、適切な判断がタイムリーになされることが、大切なようです。
お話を聞きながら思った事は、医療者側には、数値(データ)だけに頼る事なく、その人の全人的な背景も考慮して判断するのも、大切ではないかということです。
全人的な背景を考慮して判断すること、それは「本人や家族の希望をできるだけかなえてあげよう」という視点です。
「本人の希望をかなえることができて本当によかった」という思いは、
看取り後の家族の満足につながります。
そして、スタッフにも同じ事が言えるようです。
この時の発表では、看取り後のという言スタッフの感想として
「マラソンを完走したような充実感」という言葉が紹介されていました。
大切な人との別れの思い出が、湯船につかった時の笑顔だったとしたら、それは何よりのグリーフケアとなるでしょう。
(グリーフ:深い悲しみの事)
私もできれば、ゆったりと湯船につかり辞世の句を詠みたいと思います。
「極楽や ああ極楽や 極楽や」
(松尾 陽子)