『のんびる』8月号の“はじめる情報”で紹介したフェアトレード商品のお店「ぶりっぢ」。
代表の荒井さんは「この店ではストーリーを売っている」とおっしゃいます。
今月のキーワードは
「ストーリー」です。
地球には様々なストーリーがあります。文明の力でいわゆる文化的で快適な生活を送っている私たちが想像もできない世界がそこにあります。
今回は、そのストーリーの中から一人の日本人を紹介します。
ネパールとの運命的な縁を感じて山奥の村々を歩き、支援しているOKバジこと垣見一雅さんです。
ハチドリのひとしずく
「ハチドリのひとしずく、今私にできること」光文社HP
垣見さんは著書の中で、「ハチドリのひとしずく、今私にできること」の話を紹介し、村々をまわればまわるほど限りなく出てくる問題への支援を、このハチドリの一滴に例えています。
そして、たくさんの鳥たちが火を消し始めてくれて、一滴の水が一枚の葉の火を消していることを実感できるようになったとしています。
この火を消し始めたくれた鳥たちの一つが、「ぶりっぢ」です。
―垣見さんの事―『OKバジ』(垣見一雅・著 サンパティックカフェ・発行 (株)星雲社・発売)より
OKバジは、垣見さんが連発する「OK」という言葉を耳ざとくキャッチした子どもたちがつけたニックネーム。バジとは、じいさんという意味。
天の導き
雪崩で死んだポーター、バス事故で肋骨を折った事、この二つの事故を「天の導き」と感じて垣見さんのネパールへの支援が始まります。
ネパールの山奥で見たもの
紙もえんぴつも見たことがないという村の子どもたち。
貧しさと教育の欠如から、医者や病院に行くことができない貧困の悲劇。
子どもをおぶって病院へと向かう途中で、母親の背中で息を引き取った幼い子ども。
差別を受け、時には親にも見捨てられたような障がいを持つ子どもたち。
支援への疑問
当初は形だけの支援だったと言う垣見さん。
ところが、一見素朴で無欲に見える村人たちへの純粋な支援が金欲をあおってしまう現実にぶちあたります。自分が、テレビのように、これでもかこれでもかと物欲をあおっているような気がしてくるという垣見さん。そんな時、勇気づけてくれた二つの言葉があります。
If you judge people, there is no time to love them.
こんな人、あんな人と言っていると、その人に愛を注ぐ時間がなくなっちゃうよと叱られているようなマザーテレサの言葉
If I cannot do great things, I will do small things in a great way.
大きなことを考えるより、目の前の小さなことをしっかりやれればすごいことだという、カナダの友人。
そして垣見さんは言います。
……もう考えるのをやめよう。
「できることをします」とはっきり言えばいい。
村人と一緒に生きていたい、一緒にいたい、だから自分にできることをさせてもらおう。
愛の種蒔く農夫
ある雑誌に「なぜ人間は両足で立つようになったのか」と題し、「あまった両手を“はいどうぞ”と他の人に貸すためだよ」と書いてあった事を思い出した垣見さんは、日本や世界からの“愛の種”(支援)を、ネパールの山奥に蒔く農夫になりたいと思います。
また、「愛の種」を残すほんの一つの初歩的な思いつきとして、ユースクラブが責任を持って月2%でまわしてくれるファンドを創設。2000年から四つのファンドが動き出しました。
1、貧困のため小学校に通えない子どもたちのために
2、政府からも村からも、親からも見捨てられているかもしれない身体障害児のために
3、病院へチェックにもいけない病を抱えた子どもたちのために
4,教師の給料のために
ぶりっぢが蒔いた愛の種
2007年山奥の学校となりました。学校の壁には「BRIDGE(ぶりっぢ)」の名が刻まれたプレートが飾られています。
村から届いた感謝状

フェアトレード商品を、こんなストーリーを聞きながら購入する……。その商品を手に取り、そこに生きる人々の生き様までも感じることができたなら、そして、子どもたちの笑顔を思い描くことができたなら、私たちにとっても喜びとなるでしょう。それこそがフェアトレード商品を購入するということかもしれません。
ぶりっぢHP:http://www.bridge.e-ichihara.jp/index.htm
(松尾 陽子)