今週も引き続き『家族を亡くしたあなたに 死別の悲しみを癒すアドバイスブック』
(キャサリン・M・サンダーズ 著 白根美保子 訳 筑摩書房)から、死別の悲しみについて考えてみたいと思います。
その人が大切であった分だけ深いという死別の悲しみ。
その悲しみには
五つのプロセスがあります。
1 ショック
信じられない、混乱して考えがまとまらない、気持ちが落ち着かない状態が続きます。
大切な人の死を体験した時のショックで混乱し、人々からの助けが必要な時でもあります。その一端を担うのがお葬式です。
お葬式が終わり、人々が日常生活へと戻ると、死別の悲しみは次のステップへ移行します。
2 喪失の認識
精神はまだまだ混乱しています。毎日コロコロ変わる感情、止めどなく溢れる涙や突然沸き上がる怒り。
この混乱は悲しみを癒すプロセスにとって大切な時期と、じっと受け入れる事が必要です。
この混乱に疲労困憊してきた時、次なる悲しみのステップが始まります。
3 引きこもり
死別の悲しみによる混乱で疲労困憊した身体が、エネルギーを蓄えるための時期です。一人になって休む事が必要です。
そして、死を真正面からとらえ、死が現実に起こった事で変えることのできない事実であることを受け入れられるようになってきます。
悲しみの深い海のはるか上方に、うっすらと陽が射してきます。
4 癒し
自分自身を見つめ直し、大切な人のいない世界を実感する時です。一人で生きていかなければならないことを自覚し、自然治癒(癒し)の時が始まるのです。
この時期には、適切な栄養管理と適度な運動により、心身共に自然治癒力が高まっていきます。
さあ、いよいよ再生の時がやってきます。
5 再生
大切な人を失った世界を受け入れられるようになった時、悲しみのプロセスに終止符を打つ「儀式」を行いましょう。
そして、遠慮なく思い出話をしましょう。あなたには、思い出を持ち続ける権利があります。
五つの段階のどこに自分がいるかを知ること、そして、時間がかかっても再生の時期は必ず来るという事を信じ、今の自分を受け入れる事がなにより大切なようです。
この本を読みながら、父や母の事を思い出していました。

父の死亡の知らせを聞いて病院に行った時の、妙に饒舌だった事。
映画のワンシーンを見ているような気持ちだった母の葬儀。
母を亡くした時の片腕をもぎ取られたような感じ。
「ああしていれば」「こうしていれば」という後悔。
こうして考えれば、私は今親を亡くしたグリーフの真っ直中にいるような気がしてきました。けれども、五十路にもなっているのに、親を亡くして悲しいというのも何か変だなという気持ちもありました。
すると本に「いくつになっても親を亡くした悲しみは大きい、その事への無理解が多い」という事が書いてあり、ほっと癒されたような気持ちにもなりました。
本を読み終わって一番に思う事は、この本を読む事が私のグリーフケアになっていたのではないかという事です。
本では、グリーフケアにける通夜や葬儀など「儀式」の大切さにも触れています(お葬式については、次回詳しく取り上げます)。
そして、思い出話や、日記やアルバムの整理もグリーフケアにとっては大切だといいます。

時はお盆。
家族や親戚が集まる機会もあるのではないでしょうか。
亡くなられた方の思い出話をするのも、大切な先祖供養だとか。
日本人は「供養」という言葉を使い、その実、生活の中に丈夫にグリーフケアを取り入れていたのではないかと思います。
最後に、お盆つながりで、私の不思議体験を……
母の葬儀の時の事、姉に母の死の二日前に見た夢の事を話しました。すると同じような夢を姉も見ていたのです。
「ベッドの上に起きあがり、こっちを見て笑っていた」
この本にも、予知的な夢を見る人もいるという事が書いてありました。「訪れ」と呼ばれるこの種の夢は、別れを告げるチャンスを故人に与えているような気がするとも書かれていました。
(松尾 陽子)