後期高齢者医療制度って、ご存知ですか?
来年度から始まる新しい医療制度です。
後期高齢者とは、75歳以上の高齢者の事です。
新しい医療制度の内容を見る前に、以下の国民医療費の数字を頭の片隅にいれておいて下さい。
(参考資料)
―厚労省発表、05年度における国民医療費―
国民医療費:33兆円(3年連続最高更新)
国民一人あたりの医療費:25万9300円
―年代別の一人あたり医療費―
65歳未満:15万9200円
65歳以上:65万5700円
では、2007年9月4日に厚生労働省が、社会保障審議会特別部会に提示した骨子案から、新制度を見てみましょう。
老人保健制度と後期高齢者医療制度の違い(保険料から見て)
今までの老人保健制度との大きな違いは、高齢者一人ひとりが新制度に加入するという事です。
夫や、子どもの扶養家族になっていた高齢者も、それぞれが加入して、保険料を負担する事になります。
高齢者の負担が増えるという事です。
これには、高齢者の医療費が増えているという背景があるようです。
新制度の保険料っていくらになるの
新制度の保険料は、一ヶ月約6200円(年間7万4000円)くらいになると言われています。
所得や地域で保険料は違ってきます。
そして、この保険料を命のある限り払い続けなければなりません。
また、今後高齢者の割合が増えてくると、それに応じて保険料は高くなると思われます。
新制度で注目すべき点―理想―
『この制度の中で誰もが迎える死』と死を真正面からとらえています。
また、『死を目前にした高齢者が、安らかで尊厳ある生活をできるような医療』が、後期高齢者にふさわしい医療だとしています。
具体的には、主治医が高齢者を一元的に管理(高齢者の持つ複数の疾患を診る)して、無駄な検査や投薬を減らすとしています。
これは、高齢者にとって、あちらこちらと病院の梯子をしなくてすむようになるかもしれません。
入院に関しても、入院期間の短縮を掲げ、退院してからの医療をどのようにするか、本人と家族、医療チームが、話し合うとあります。
これは安定期に入ったら、住み慣れた所でゆっくり静養したいという理想がかなうということでしょうか。
終末期医療に関しては、“「延命」より「緩和ケア」”と、痛みの緩和ケアの促進をあげています。
そして、本人が望む終末期医療を書面にして、医療チームと家族が、その情報を共有するとあります。
本人が決定できない場合は、家族と医療チームが話し合って、治療を進めていくとあります。
これは、国民が『自分の死に方』『尊厳死』を、真剣に考えるきっかけになるかもしれません。
新制度で注目すべき点―現実―
上記の理想で掲げた点、裏を返せば、厳しい現実が見えてきます。
まず、主治医が一元的に患者を管理するとありますが、そのような名医が自分の家の近くにいるかわかりません。
主治医をいつ頃決めておけば、全てを任しきれる信頼関係ができるのでしょうか?
在宅医療に関しては、75歳以上の高齢者世帯で、高齢の妻や夫が、高齢の夫や妻を十分に看護し、介護することが可能でしょうか?
老々介護に、老々看護、在宅の介護にも看護にも、この問題はつきまといます。
独り暮らしの高齢者は、どうすればいいのでしょうか?
終末期医療・延命治療についても、人それぞれに死生観が違います。
死という微妙な問題を、「尊厳死」というなんとなく心地よい響きの言葉にして、国民的議論もないままに法制化される事の危うさを、感じないわけにはいきません。
また、新制度には、財政面からみた制度改革という意味合いが、垣間見えるのも、気になるところです。
参考にしたHP
厚生労働省HPより
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/hoken83a.pdf
日本医師会
http://www.med.or.jp/
日本医師会の考え
http://www.med.or.jp/nichikara/koukikourei.html
全国保険医団連合会
http://hodanren.doc-net.or.jp/
(松尾 陽子)