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◆おとなにも贈りたいクリスマスの絵本◆『神の道化師』(トミー・デ・パオラ作)

2007-12-06 20:35:57

寒くなってきましたね。
気づけばもう12月。
ことしはどんな一年でいらっしゃいましたか・・・。

きょうは、クリスマスの絵本を1冊ご紹介させてください。
27年前に発行され、いまも版を重ねている、『神の道化師』(ほるぷ出版)です。
この本は、古くから伝わる民話をカルデコット賞作家のトミー・デ・パオラが語り変えた絵本とのこと(カルデコット賞:アメリカで出版された、子どものための最もすぐれた絵本に与えられるもの)。
裏表紙には「全国学校図書館協議会選定図書、日本子どもの本研究会選定図書」(6歳から)などとあるのですが、私には、おとなにもプレゼントしたくなるような絵本です。

この絵本との出会いは10年ぐらい前。もう充分おとなになってから!です。ある大学で受講した、たしか『家族心理学』の最後の講義のときでした。いつもより早く講義を終えた先生が「きょうは劇団で役者をしている、私の友人に来てもらいました。これから彼女が1冊の絵本を読んでくれます。みなさん、すみませんが机を横に片づけて、床にこのブルーシートを敷くのを手伝ってください」
ん?どういうこと??という表情で、私たち受講生は互いに顔を見合わせながら、ともかく机などをかたづけブルーシートを敷き、靴を脱いで全員がそこに座りました。そのうち、なんだか子どものころにもどったみたいで、ちょっとわくわくしてきました。
そして、前に置かれた椅子にすてきな女性が座り、絵本を私たちに見えるように開くとお話が始まったのです。

DSC01280.jpg
ストーリーは・・・

主人公は、ジョバンニという名の男の子。
ジョバンニに家族はなく、小さいときからずっとひとりでした。
でも、なんでも空中に投げ上げてお手玉のように上手に回すことが
でき、その技で元気にたくましく生きていました。
やがて、町にやってきた旅芝居の一座に加わります。
芸で有名になると、その後ひとり立ちして大人気に。

時が流れてジョバンニは歳を取り、芸も飽きられ人気がなくなります。
そしていちばん得意な芸にも失敗し、疲れ切って故郷へ帰ることに。
故郷にたどりついたのは、寒い冬の夜。みぞれまじりの雨のなか、教会の修道院にもぐりこんで眠ります。
にぎやかさに気づいて目を覚ますと、その日はクリスマス。
多くの人たちが、子どものイエスをひざに乗せたマリアの像に、ささげものをしにきていました。
みんなが帰ったあと、ジョバンニはその像に近づいて、こう言いました。
「あなたのお子さんは、こんなにどっさりすばらしいおくりものを
おうけになっても、まだ ひどくかなしそうにみえますぜ。
そうだ、ちょいとまっててくださいよ。わたしは ひとを
よろこばせるのは、お手のものだったんでさ」
そして、ジョバンニは自分のいちばん得意だった芸を精一杯演じ・・・・・・、見事に演じ切って、息絶えます。
かけつけた修道院の人がイエスとマリアの像を見ると、
イエスがにっこりほほえんで、ジョバンニが高く投げ上げた玉の1つを手に抱いていました。


こんなふうにまとめてしまうと味気ないのですが、実際は、トミー・デ・パオラの描いた色彩豊かで美しく、どこか思索的な雰囲気漂う絵と、ゆあさふみえさんの味わいのある翻訳がしっくりと合った、魅力ある絵本になっています。

『家族心理学』の先生は、絵本の朗読が終わったあと特別何を語ることもなく、「きょうが最後の講義でしたね。ありがとうございました。それでは、みなさんお元気で。」とブルーシートとともに去っていきました。

私はこの絵本を読んでもらったとき、ジョバンニの精一杯生き切った姿と、それが受け止められた最後のページに感動しました。
それから毎年、クリスマスが近づくとこの本を開くのも、『一生懸命やったことやその思いは、きっとどこかで誰かが受け止めてくれる、わかってくれる』というあたたかいメッセージを感じて、気持ちが楽になり励まされるからだと思うのです。一生懸命やっても、誰もわかってくれなかったら、やっぱりさびしいですよね。
「受け止めて、わかってくれる(くれている)誰か」は家族、友だち、恋人、これから出会う人・・・などと人によってちがうかもしれません。でも、もし今気づいていなくても、出会っていなくても、一生のうちできっとひとりは、いる。そう思わせてくれる本です。

私はこんなふうに感じたのですけれど、もし、この絵本を読んだことのある方がいらしたら、ぜひ感想をお聞かせください。

先月のブログでも少しご紹介した、柳田邦男さんの『大人が絵本に涙する時』(平凡社)のなかに、こんな言葉がありました。
---大人こそ絵本を読もう。絵本は子どもだけのものではない。生涯を通じて心の友となるだけの豊かな内容が語られている。心が渇き切っているとき、絵本は心に潤いを取り戻してくれるオアシスとなり、生きるうえで本当に大事なものは何かをあらためて気づかせてくれる。だから、気に入った絵本を生涯座右に置こう。---(本文より)

お気に入りの絵本をお持ちでしょうか。
まだという方は、いつかご自分にプレゼントするつもりで探してみてはいかがでしょうか・・・・・・。


『神の道化師』(ほるぷ出版)
トミー・デ・パオラ 作
ゆあさ ふみえ 訳
1980年発行
                          (成相陽子)

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